ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成28年12月28日
評価年月日:平成28年11月11日
評価責任者:国別開発協力第1課長 原 圭一
1 案件名
1-1 供与国名
ミャンマー連邦共和国
1-2 案件名
マグウェイ総合病院整備計画
1-3 目的・事業内容
本計画は,マグウェイ地域において,中核病院である総合病院の施設及び機材を整備することにより,同病院の医療サービスの向上を図り,もって国民の生活向上に寄与することを目的としている。供与限度額は,22.81億円。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
以下の事項がミャンマー政府により実施される必要がある。
- (1)プロジェクトサイトの確保と整地,インフラの引込み(電気),一部医療機材調達等
- (2)諸手続手数料等,維持管理・運営のための予算及び人材の確保
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)ミャンマーの保健医療セクターにおいては,依然母子保健(2014年5歳未満児死亡率:出生千人に対して72人)や感染症(2010年マラリア死亡率:人口10万人に対して6.8人)の状況は悪く,特にマグウェイ地域は2014年5歳未満児死亡率は出生千人に対して108人と全国平均より大幅に高い。
- (2)ミャンマー保健スポーツ省は,「国家保健政策」及び「国家保健計画2011-2016」のもと,「医療サービスの質の向上」について施設の整備,十分な保健医療人材・物資(機材・医療品等)の配置及び研修による人材育成等によって,病院におけるサービスの質の向上を目指している。
- (3)マグウェイ地域の州/地域総合病院であるマグウェイ総合病院は,郡病院以下の病院からの患者の受入れ等,地方の保健医療サービスの中核及び,郡病院以下の医師及び看護師等の育成も担うことが期待されている。しかしながら,同院は施設・機材の破損や老朽化に加え,病床占有率は100%を超え,病床数不足により患者の療養環境は劣悪な状況である。また,患者やスタッフの移動動線が整備されておらず,救急患者の院内での移動に時間を要するなど適切なサービスの提供が困難な状況である。このような状況のもと,同地域における保健医療サービスの向上及び保健医療人材能力強化のため,マグウェイ総合病院の施設・機材の整備が緊急の課題となっている。
2-2 効率性
保健医療サービスの質の向上に資する人材育成のため,全医科大学を対象に技術協力「医学教育強化プロジェクト」及び長期研修「医科大学教員」(両事業とも2015年~2019年)を実施中。マグウェイ総合病院はマグウェイ医科大学の教育病院を兼ねていることから本計画はこれら活動と相互補完するもの。
2-3 有効性
本計画の実施により以下のような成果が期待される。
定量的効果
基準年(2015年実績値)→目標値(2022年:事業完成3年後)
- (1)分娩数:1,420件/年→1,633件/年
- (2)手術数(外科):1,572件/年→1,809件/年
- (3)手術数(整形外科):1,202件/年→1,382件/年
- (4)手術数(産婦人科):1,868件/年→2,149件/年
定性的効果
- (1)新棟内に救急部門を設置することにより,救急動線が改善され,緊急搬送患者の救急処置及び検査室,手術室への移動が効率的に行われる。
- (2)施設・機材が整備されることにより,医療従事者の臨地実習環境が改善される。
- (3)手術部門が整備されることにより,安全な環境での手術が可能となる。
- (4)マグウェイ総合病院の保健医療サービスの向上により,州内で対応が不可能であった患者の受け入れや治療が可能となる。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)ミャンマー連邦共和国政府からの要請書
- (2)JICAの事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)