ODA(政府開発援助)

平成28年9月28日

評価年月日:平成28年9月1日
評価責任者:国別開発協力第1課長 原 圭一

1 案件名

1-1 供与国名

カンボジア王国

1-2 案件名

第三次地雷除去活動強化計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は,カンボジアで最も地雷の問題が深刻なバッタンバン州において,カンボジア地雷除去対策センター(CMAC)による地雷除去機を活用した迅速かつ安全性の高い除去活動を推進するとともに,除去後の土地において農業インフラ整備及び農業トレーニングからなる住民支援を行い,もって社会開発の促進に寄与するもの。供与限度額は18.10億円である。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 CMACの活動経費・管理費等が確保される。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)カンボジアでは,1991年のパリ和平協定締結から20年以上経った現在も,深刻な地雷・不発弾による汚染が問題となっている。2014年までのベースライン調査等の結果では,依然として,地雷・不発弾汚染地域が全国で約2,839平方キロメートルと見込まれており,このような汚染地域の多くは国民の大半が居住する農村部に集中している。地雷・不発弾による死傷者数は減少傾向にあるが,2014年は154名の被災者が発生しており,依然住民の安全及び同国の社会経済発展の観点から地雷除去は喫緊の課題である。
  • (2)カンボジア政府は,1999年に「対人地雷禁止条約」を批准し,2019年を期限として同条約で義務付けられた埋設地雷の除去に向けて「地雷対策国家戦略(2010-2019年)」を遂行している。また,当国の開発戦略である「四辺形戦略」の4本柱の一つ「農業セクター振興」の中で地雷除去を重点課題として位置付け,「国家開発戦略目標(2014-2018年)」の中でも地雷除去を優先事項として取り上げている。

2-2 効率性

 過去の「地雷除去活動強化計画」において,我が国が地雷除去機を供与したことにより,除去スピードの大幅な向上に寄与したほか,地雷除去後の土地開墾,農道整備,農業トレーニングを実施し,地雷汚染地域で暮らす住民の大幅な生活環境の改善につながっており,CMACは機材の有効な操作・維持管理能力と地雷除去・住民支援活動の実施能力を有している。

2-3 有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • (1)約70.38平方キロメートルの土地の地雷除去が行われ,地雷原面積が減少し,これら地雷原周辺に住む住民の生活・農業の安全が確保される。
  • (2)農道約45キロメートルが整備され,地雷除去跡地での農業が実施されることにより,周辺住民の生活環境が改善され,生活水準が向上する。
  • (3)住民支援全体を通じ,周辺住民に加え,農道整備等により近隣住民約60,000名が間接的に裨益する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)カンボジア政府からの要請書
  • (2)JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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