ODA(政府開発援助)

平成28年6月21日

評価年月日:平成28年3月4日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件名

1-1 供与国名

ミクロネシア連邦

1-2 案件名

コスラエ州電力セクター改善計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は,コスラエ州においてディーゼル発電機及び関連施設を更新することにより,効率的で安定的な電力供給の確保を図り,もって同国の脆弱性の克服に寄与することを目的としている。供与限度額は11.93億円である。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • (1)コスラエ公共事業公社(KUA)による施設建設予定地の障害物撤去,及び配電線ルートのうち一部必要箇所の土地使用許可取得
  • (2)コスラエ州資源管理局からの環境許認可の最終的取得(暫定許認可は取得済み)
  • (3)世界銀行が支援する予定の新設発電所及び既設発電所が適切に運転されること

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1) ミクロネシアは,ヤップ,チューク,ポンペイ,コスラエの4州からなる島嶼国である。各州では,主にディーゼル発電機を用いて電力を供給しているが,設備の老朽化に伴う発電効率の低下は燃料の輸入量増加につながり,政府の財政及び国民負担が大きくなっている。
  • (2) コスラエ州の最大電力需要は1,140kW(2014年)であるが,近々に民間の冷凍倉庫施設等が稼働する予定であり,産業部門の需要増加が見込まれている。コスラエ州では,コスラエ公共事業公社(KUA)によって電力事業が運営されており,現在,主力発電所であるトフォル発電所では,ディーゼル発電機3基(G-4号機:最大出力400kW・1984年導入,G-6号機:最大出力1,200kW・1990年導入,G-8号機:最大出力1,000kW・2007年導入)が稼働中である。しかし,G-4号機とG-6号機は既に耐用年数を超えており発電効率が低く,G-8号機も故障が発生し稼働停止・修理を要する状況にある。また,関連する変電設備(1983年整備),地下ケーブル(1975年整備),配電設備(1986年整備)は,特有の厳しい自然環境に長年さらされた結果,シロアリ被害や塩害などにより著しく劣化している。
  • (3) 同国国民の生活及び経済活動を支えていく上で,電力の安定的かつ効率的な供給は必要不可欠であり,主な電力供給源であるディーゼル発電機の更新など適切な電力設備増強が喫緊の課題である。

2-2 効率性

  • (1) 現在,世界銀行がミクロネシア4州においてディーゼル発電の更新,再生可能エネルギーの導入,国家及び各州のエネルギー計画策定等に対して支援を実施しており,同事業と整合性のある計画を実施することにより,本計画の目標をより効率的に達成する。
  • (2) 2016年から2020年までJICAが実施を予定している,大洋州地域におけるディーゼル発電機の維持管理及び太陽光発電設備等の再生可能エネルギー設備との効率的な併用運転方法に関する技術協力プロジェクトと連携することにより,ミクロネシアにおける電力セクターに対する包括的な支援として相乗効果が期待される。

2-3 有効性

 本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • (1)2014年から事業完成3年後の2021年で,(ア)本計画で整備される発電設備容量が0kWから1,200kWに増加,(イ)トフォル発電所における総発電電力量が5,463kWhから7,450kWhに増加,(ウ)電力供給制限日数(年間停電回数)が48日から24日に減少,(エ)単位発電電力量当たりの燃料消費が234g/kWhから229g/kWhに減少することで,安定的かつ効率的な電力供給の確保を図る。
  • (2)コスラエ州において安定した電力供給が確保されることにより,ミクロネシア国民の生活改善と同国の経済発展に寄与する。
  • (3)TPPを機に我が国が自由貿易圏の形成を目指すアジア太平洋地域に位置するミクロネシアに対し,日本製機材等を活用した無償資金協力を実施することにより,同国の経済社会開発を支援するとともに,日本企業の海外展開を支援する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ミクロネシア連邦政府からの要請書
  • (2)太平洋島嶼国国別評価報告書
  • (3)JICAの協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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