ODA(政府開発援助)

令和3年4月16日
北東部における食料安全保障及び生計強化計画
実施年度 令和2年度
供与限度額 9.5億円
案件概要  本計画は、UNDPを通じてシリアに対し、小麦生産からパン製造までにかかる支援として、灌漑施設の修復、小麦の生産性向上のための資機材供与、公営の製粉所及び製パン所の修復等を行うと同時に、農業従事者を含む市民やコミュニティに対する地雷回避教育を行うものです。
裨益効果  この協力により、シリア国内避難民を含む市民への安定的な食料供給及び雇用機会の確保を通じた生計強化を図り、もって同国内での人道的危機状況の改善に寄与することが期待されます。
東グータにおける水、衛生及び母子保健サービスへのアクセス強化計画
実施年度 令和2年度
供与限度額 4.89億円
案件概要  本計画は、UNICEFを通じてシリアに対し、首都ダマスカス郊外の東グータ地区の上水及び下水関連設備の修復を行うと同時に、小児・産婦人科クリニック等に医療資機材を供与するものです。
裨益効果  この協力により、シリア国内避難民を含む市民への安定的な水、衛生及び母子保健サービス供給を図り、もって同国内での人道的危機状況の改善に寄与することが期待されます。
北東部における保健医療サービス強化計画
実施年度 令和2年度
供与限度額 6.34億円
案件概要  本計画は、WHOを通じてシリアに対し、二次医療サービスを提供する地域の中核病院であるカミシリ国立病院の修復を行い、救急救命医療サービスや人工透析サービス等の専門的医療サービスの提供に必要な医療資機材を供与するものです。
裨益効果  この協力により、シリア国内避難民を含む市民への安定的な保健医療サービス供給を図り、もって同国内での人道的危機状況の改善に寄与することが期待されます。
アレッポ保健分野強化支援計画(WHO連携)
実施年度 令和元年度
供与限度額 5.69億円
案件概要  本計画は、アレッポ県東アレッポ地区にある小児向け基幹病院に新生児保育器、人工呼吸器、CTスキャン等の医療資機材を供与するものです。
裨益効果  今般の協力により、アレッポ及び周辺地域のシリア国内避難民、帰還民及び市民へ安定的な保健医療サービスの供給を図り、シリア国内での人道危機の改善に寄与することが期待されます。
アレッポにおける地域社会のための早期保護支援計画(UNHCR連携)
実施年度 令和元年度
供与限度額 2.60億円
案件概要  本計画は、アレッポ県東アレッポ地域等において、コミュニティセンターを拠点とした保護活動等を支援するものです。
裨益効果  今般の協力により、同地域の女性、子ども、障害者などの最も脆弱な人々を含むシリア国内避難民、帰還民及びシリア危機の影響を受けたコミュニティの保護ニーズに応えることにより、シリア国内での人道危機の改善に寄与することが期待されます。
アレッポ早期復旧及び生計支援計画(UNDP連携)
実施年度 令和元年度
供与限度額 4.24億円
案件概要  本計画は、アレッポ県東アレッポ地域において、緊急的な基本インフラの修復(小児科病院の修復、生産セクターへの資機材供与等)を支援し、保健サービス提供の強化と持続可能な生計支援及び地元経済の早期復旧支援を実施するものです。
裨益効果  今般の協力により、アレッポ及び周辺地域のシリア国内避難民及び市民の基本的社会サービス及び生活環境の改善等に寄与することが期待されます。
東グータにおける人道的早期復旧及び強靱性強化計画(UNDP連携)
実施年度 平成30年度
供与限度額 5.57億円
案件概要  本計画は、首都ダマスカス郊外の東グータ地区において、大規模な損害を受けた社会サービスと基本インフラ(病院、学校、上下水道等)の緊急的な修復を支援し、地域経済の復旧と脆弱な人々への社会経済支援等を実施するものです。
裨益効果  今般の協力により、同地域のシリア国内避難民及び市民の生活環境の改善及び基本的な社会サービスへのアクセス向上等をはかり、人道状況の改善に寄与するものです。
シリアにおける包括的保健分野強化計画(WHO連携)
実施年度 平成30年度
供与限度額 11.48億円
案件概要  本計画は、医療機材等の供与、一次医療保健施設の改修及び保健分野を対象とした能力強化活動等を行うものです。
裨益効果  今般の協力により、国内避難民を含むシリア国民への安定的な医療サービス供給を図り、もって同国内での人道危機の改善に寄与するものです。
アレッポ人道的復旧及び強靱性強化計画(UNDP連携)
実施年度 平成29年度
供与限度額 6.52億円
案件概要  この協力は、市街地の瓦礫処理や、病院、学校等社会インフラの修復等を実施することにより、シリアの人々への人道支援を行うものです。
 この協力は、2017年12月に河野外務大臣が第13回マナーマ対話で発表したシリア及びヨルダンに対する新規支援の一部であり、また、2016年5月、G7伊勢志摩サミットにおいて安倍総理大臣が中東地域安定化のための包括的支援として表明した、2016年から2018年の3年間で総額約60億ドルの支援を具体化するものです。
裨益効果  2017年1月から7月にかけて、40万人を超える避難民がアレッポへの帰還を果たしており(2017年8月現在、国際移住機関(IOM))、帰還民は損壊した住居での貧困状態の中、生活を再建せざるを得ない状況となっています。
 この協力により、シリアの国内避難民、帰還民及び市民の人道状況の改善に寄与します。
シリア保健分野強化支援計画(WHO連携)
実施年度 平成29年度
供与限度額 11.70億円
案件概要  この計画は、シリアの国内避難民を含む市民に対する緊急・人道的性格を有する支援として、医薬品の供与等を実施するものです。
裨益効果  シリア国内避難民及び市民への安定的な医療サービス供給を図り、もってシリアの人々の人道ニーズに寄与するものです。
シリアにおける人道的必要性に対応するためのジャンダール火力発電所ローター修復計画(UNDP連携)
実施年度 平成28年度
供与限度額 5.64億円
案件概要  この計画は、ジャンダール火力発電所において、故障した部品の供与及び修理を実施するものです。
裨益効果  安全かつ安定的な電力の継続提供を図り、もってシリアの人々の厳しい生活環境の改善に寄与するものです。
危機の影響を受けたシリアのコミュニティにおける緊急の人道的必要性に対応するための電力安定供給計画(UNDP連携)
実施年度 平成28年度
供与限度額 13億円
案件概要  バニアス市及びアルザラ地区にある火力発電所において、老朽化した同火力発電所の調査を行い、必要な部品の供与及び修理を実施するものです。
 本案件によって、電力不足によって運営が困難となっている教育施設、医療施設、上下水道等への安定的な電力の継続提供を図り、シリアの国内避難民を含む市民に対する緊急人道支援を行うものです。
裨益効果
  • (1)2カ所の火力発電所に対して、そのパーツの老朽化等により低下した最大発電量を設定当初の水準まで回復します。
  • (2)両発電所の発電量はシリアの電力の30%に相当し、本事業の実施により、約57万人が安定的な電力を使用可能になります。
  • (3)現在両発電所の部品が老朽化しており、いつ発電が停止する状況になってもおかしくない状況にあるが、本計画による修理によって電力の安定供給が可能になります。
  • (4)国内避難民を含む市民の生活に必要な最低限の電力が使用可能になることにより、電力不足が一因となって活動停止を余儀なくされていた教育機関や医療機関が再開され、これにより、市民生活の維持のみならず、産業や社会活動の維持に繋がります。
太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画
実施年度 平成21年度
供与限度額 5.60億円
案件概要  本件協力は、首都ダマスカスとヨルダン国境を結ぶ幹線道路の主要地点に太陽光パネル街灯システムを設置するものです。同幹線道路は、現在、夜間でも交通量が多いにもかかわらず、大部分で街灯が未設置のために、危険な状況にあります。
 本件は、「鳩山イニシアティブ」の一環として実施されるものであり、シリアでは、石油生産が減少傾向にある一方、電力需要は急増しているところ、再生可能エネルギーの導入を推進しています。
裨益効果  本件協力により、シリア国内の排出削減に貢献し、また、我が国の優れた環境関連技術がシリアに広く紹介され、その普及促進に貢献するとともに、幹線道路に街灯が設置されることで、交通の安全が向上することが見込まれます。
第二次地方都市廃棄物処理機材整備計画
実施年度 平成21年度
供与限度額 9.85億円
案件概要  本件協力は、シリア国内の6県15自治体において、一般廃棄物及び医療廃棄物の収集能力の更新・増強を図るための機材を供与するものです。
 シリアでは、経済活動の活発化と人口増に伴い、廃棄物発生量が増加する一方、各自治体で使用されている収集機材は老朽化が激しく、廃棄物収集能力の更新なくして、今後の廃棄物増加には対応できない状況にあります。また、医療廃棄物の分別収集体制の未整備も課題となっています。
裨益効果  本件計画の実施により、計350万人以上が居住する6県15自治体で一般廃棄物及び医療廃棄物の効率的な収集できるようになり、住民の生活衛生環境の改善に資するとともに、医療廃棄物の分別収集体制が確立されることが期待されます。
アレッポ大学学術交流日本センター日本語学習機材整備計画(一般文化無償資金協力)
実施年度 平成21年度
供与限度額 0.24億円
案件概要  シリアは中東和平問題等中東情勢の鍵を握る重要な立場にあり、シリアへの支援は中東和平プロセスへの積極的参加を促す観点から重要です。
 アレッポ大学はシリアの最高学府の一つとして高等教育分野の中心であり、人材育成に大きな役割を果たしています。同大学の学術交流日本センターは1995年に日本研究や日本語教育普及、日本の大学・研究機関との交流を目的として設立されました。本計画は、この学術交流日本センターにおいて、日本語教育の環境改善を目的として日本語学習に必要な機材を整備するものです。
裨益効果  本計画は、日本語教育普及や日本研究振興、ひいては人材育成に資するものです。また、同日本センターを通じて日本との交流や対日理解が更に促進されることが期待されます。
ネイラブ・パレスチナ難民キャンプ整備計画(UNRWA経由)
実施年度 平成20年度
供与限度額 3.89億円
案件概要  1948年の第一次中東戦争により、多くの人々がヨルダン川西岸、ガザ、そしてシリア、ヨルダン等の周辺諸国に流出しパレスチナ難民となりました。シリア北部のネイラブ難民キャンプには現在も約1万8,000人の難民が滞留していますが、その生活環境は非常に厳しい状況にあります。特に、2008年末に生じたガザ情勢の悪化は、シリアを含むイスラエル周辺地域に滞留するパレスチナ難民の将来への不安や反イスラエル感情を急激に高めていることから、国際社会としても、これら難民の急進化を防止するための対策を早急に図っていく必要性が生じています。本計画は、ネイラブ難民キャンプ内の生活環境を改善することにより、同キャンプ難民の穏健化を図り、中東和平プロセスの進展を側面的に支援することを目的としています。
 本計画は、2009年3月2日(月曜日)にエジプトで開催された、ガザ復興のためのパレスチナ経済支援に関する国際会議において、伊藤信太郎外務副大臣が表明した当面2億ドルの支援の一環として実施するものです。
裨益効果  本計画により、約430名の就学児童のための学習環境を整備するために学校が建設されるほか、約280名の難民キャンプ住民のための住宅が建設され、併せてコミュニティ・センターの整備及び地域社会開発支援活動を通じて、約2,200名の難民が啓発教育や各種研修活動等を受講できるようになります。
救急医療整備計画
実施年度 平成20年度
供与限度額 8.61億円
案件概要  シリアは中東和平の鍵を握る重要な国であり、我が国は同国の安定化、市場経済化努力を支援するため、シリアに対して国民生活の向上に資する援助を実施してきています。シリアでは、交通量の増加等による交通事故の増加により、救急患者が増加しつづけています。本計画は、特に緊急の対応が必要な首都圏のダマスカス県など6県の救急医療体制を強化するため、160台の救急車両や、関連医療機材、救急患者の搬送体制を構築するための無線機材等を整備するものです。
裨益効果  本件協力により、対象6県の住民約1,120万人(シリア全体の人口の約60%)を対象とするシリアの救急医療体制が改善されることが期待されます。
地方都市廃棄物処理機材整備計画(第2期)
実施年度 平成19年度
供与限度額 4.49億円
案件概要 ・本計画の内容
 シリア地方都市ラタキア県及びホムス県が、同県の住民約194万人の衛生環境を改善するために必要な廃棄物処理機材の整備のための資金を供与する。
 本計画により、コンパクタ車33台、ダンプトラック8台、医療廃棄物収集車3台、道路清掃車8台等が供与される。
・本計画の必要性
 ホムス市、ラタキア市(周辺三都市を含む)では、平成16年時点でそれぞれ一日当たり約900トン及び約450トンの廃棄物が排出されている。シリアの人口増加率は2パーセントから3パーセントと高く、人口増加に伴う廃棄物収集能力の整備が追いついていないことから、同地域の廃棄物収集率は約70パーセントに留まっており、一日当たり150トン及び115トンの処理が追いついていない状態である。このため、廃棄物の飛散、悪臭、浸出水による地下水汚染等同地域の衛生環境に悪影響を及ぼしている。
 また、医療廃棄物収集については、ラタキア市では、専用収集を行っておらず、一般廃棄物への感染の危険がともなっており、専用収集の徹底が急務である。ホムス市では一部専用収集を行っているが、処理能力は廃棄物発生量の25パーセント程度であり、処理機材の整備が必要である。
 このような状況の下、シリア政府は、同市における廃棄物処理機材整備の実施のために必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
 我が国は、本計画(第1期)に対し、平成18年度5億8,300万円の協力を実施し、コンパクタ車64台が整備された。
裨益効果  本計画(第1期及び第2期)の実施により、ホムス市の一般廃棄物の収集量が一日当たり750トンから955トンへ、ラタキア周辺市の収集量が一日当たり335トンから470トンへと増加し、対象地区の住民計約194万人(計画年次2010年)の衛生環境が改善される。
 更に、ホムス市及びラタキア市の医療廃棄物の専用収集が徹底される。
地方都市廃棄物処理機材整備計画(第1期)
実施年度 平成18年度
供与限度額 5.83億円
案件概要  シリアにおいては、人口増加率が年2~3%と高く、都市化の進展により廃棄物の発生量が毎年増加している。しかしながら、収集・運搬機材の不足により、廃棄物は市内に放置されたままとなっており、悪臭や病害虫の発生など環境衛生面で重大な問題となっている。本計画の対象地域であるホムス市、ラタキア市、他周辺3都市は、人口増加に対して収集能力が追いつかず、また、狭隘な道路が多いこと等から一般廃棄物の収集率は80%程度にとどまっている。さらに、医療廃棄物についても、専用収集機材の不足により、収集率はわずか25%にとどまっており、これを一般廃棄物として処分しているため、二次感染の危険性をともなっている。
 このような状況のもと、シリア政府は開発調査「地方廃棄物管理計画調査」を実施し、自己資金によりごみ収集車両の調達や最終処分場の改修を行い、対象地域における無秩序な廃棄物処分は改善されてきている。
 一方、シリア政府は、依然として不足している廃棄物処理機材整備のために本計画を策定し、その実施のために必要な資金につきわが国に無償資金協力を要請してきたものであり、このうち第1期では、ごみ収集用コンパクタ車65台の調達等を行うものである。
裨益効果  この計画の実施により、2010年までに対象地域の一般廃棄物収集率が93%に改善されるとともに、医療廃棄物は専用収集により収集率100%が達成される。これにより、対象地域の住民190万人の衛生環境が改善されることが期待される。
ダマスカス送水トンネル改修計画
実施年度 平成17年度
供与限度額 3.90億円
案件概要  シリアは国土の大部分が年間降水量が250mmに満たない乾燥地であるが、人口は年2.7%の高率で増加しているため、貴重な水資源の開発・管理が重要な課題となっている。そのため、シリア政府が策定した第9次5ケ年国家社会経済開発計画(2001-2005年)においても、重要課題として、限られた天然資源の有効利用として、水を有効利用することが掲げられている。
 シリアの首都ダマスカス市は人口約150万人(首都圏では約300万人)であり、同市の水道事業は、住宅・建設省傘下のダマスカス市上下水道公社(DAWASSA)が担っており、2001年の配水量は1.61億立方メートルとなっている。水道水源は市近郊の2ヶ所の湧水(フィジェ、バラダ)と市内の井戸が主なものであり、このうち主力水源となっている湧水の水は、2本の送水トンネル(旧トンネルおよび新トンネル)を経由して市内のワリ貯水池まで導かれ、市内に配水されている。旧トンネルは1925年から29年にかけて建設された延長16Km、幅1.36m、高さ1.88mの馬蹄形のトンネルである。竣工後80年近くが経過しているため、経年劣化によるトンネル内面のコンクリートの剥離や鉄筋の腐食、亀裂、補強用鋼材の表面腐食の他、植物の根の進入などが生じている。また、新トンネルは1980年建設延長15Km、内径2.55mの円形トンネルであり、一部に腐食有害物質の流入による劣化が見られる。このような状況を踏まえ、シリア国政府は、送水トンネルの損傷箇所を改修するための計画を作成し、その実施につき、わが国政府に無償資金協力を要請してきたものである。
裨益効果  この計画の実施により、トンネルの漏水率が改善されることでダマスカス首都圏における水の有効利用が促進される。
ダマスカス市新規水源開発計画(第1期)
実施年度 平成16年度
供与限度額 7.33億円
案件概要  ダマスカス市およびその周辺地域(ダマスカス首都圏)の人口は年率約3.0%で急速に増加を続けており、現在既に不足に陥っている同地域の給水事情は、今後年々悪化の一途をたどると推定される。ダマスカス首都圏への主水源は、同市北西部に位置するフィジェ湧水とバラダ湧水およびダマスカス市内井戸群であるが、フィジェ湧水だけで全体給水量の65~75%を占める。しかし、この湧水量は季節や降雨量によって大きく変動し、渇水年や乾季(8月から12月まで)に深刻な水不足に見舞われる。近年では1999年から発生した旱魃時には、1日12時間以上の断水が6ヶ月間4年連続で起こる緊急事態となった。このような状況の下、本事業の実施主体であるダマスカス市上下水道公社(DAWSSA)は、ダマスカス市の北西部において新たに水利権を獲得した3水源地で地下水を開発し、新規導水管路により既存水路まで導水する水源開発計画を作成し、同計画に必要な取水・導水施設の資機材調達に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
裨益効果  この計画の実施により、1期目に1つ、2期目に2つの水源が新たに利用可能となり、渇水時の水の生産量が約1割(30,000m3/日)増加し、ダマスカス首都圏の住民約260万人が直接裨益する。また、渇水時の緊急用水源が整備されることにより、ダマスカス首都圏の渇水時の断水が減少し、断水による市民生活への経済的・衛生的・社会的悪影響、特に貧困層への圧迫が軽減される。
水資源情報管理センター整備計画
実施年度 平成15年度
供与限度額 6.05億円
案件概要  シリア政府は、「第9次国家社会開発5カ年計画(2001年から2005年)」を策定し、その中で、保健医療を含む基本的な社会基盤を充実させ、地域間格差を是正していくことを目標としており、天然資源分野においては、水を有効活用することが挙げられている。
 しかし、これまで水資源管理が適切に行われなかったこともあり、地下水の過剰摂取による地下水位の低下や水質悪化が発生している他、人口急増による水需要の増加に対し中長期的な観点からの適切な対策が十分になされてこなかった。
 このような状況の下、シリア政府は、シリア全土の水資源の現状や将来の需給の見通しを適切に把握するための「水資源情報管理センター計画」を策定し、その計画の実施のために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものであり、これはシリアに対するわが国の重点分野(水供給)にも合致するため実施することとしたものである。
裨益効果  この計画の実施により、シリア全国で安全で安定した水供給を行っていくための基本的な情報管理が可能となり、中長期的にシリア全国民約1,700万人の生活環境が改善し、それを通じ、シリアの経済社会水準の向上が期待される。
ゴラン病院医療機材整備計画
実施年度 平成15年度
供与限度額 4.52億円
案件概要  シリア政府は、「第9次国家社会開発5ヵ年計画(2001年から2005年)」を策定し、その中で、保健医療を含む基本的な社会基盤を充実させ、地域間格差を是正していくことを目標としており、保健医療分野においては、各地方の中核病院となる120床規模の病院の整備を進めている。
 また、シリア政府は、第3次中東戦争の結果イスラエルに占領された経緯もあり、同国内において最も開発の遅れた地域であるクネイトラ県の開発を積極的に進めている。
 このような中、同計画により2002年4月にクネイトラ県の中核病院として、ゴラン病院が完成したが、同国政府の財政難のため、同病院は十分な機材が整備されておらず、国民が期待する医療サービスを十分に満たすことができない状況にある。
 このような状況の下、シリア政府は、「ゴラン病院医療機材整備計画」を策定し、その計画の実施のために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものであり、これはシリアに対するわが国の重点分野(保健医療)に合致するため実施することとしたものである。
裨益効果  この計画の実施により、クネイトラ県の住民約11万2,000人が、同地において十分な保健医療サービスを受けられるようになり、それを通じ、シリアの保健医療水準の向上および地域間格差が是正されていくことが期待される。
文化省に対する文化無償
実施年度 平成15年度
供与限度額 0.32億円
案件概要  シリア文化省は、映画総局、国立図書館、音楽学院、演劇学院および考古総局等、同省が所轄している国内文化関係機関の実施する様々な文化事業を総括し、毎年、国際音楽祭や芸術祭等の文化事業を実施している。また、国内14県に設置されている文化センターを通じて地方における文化・教育活動の促進に積極的に取り組んでいる。しかし、地方の村落には現在でも文化センターや図書館等の文化・教育機関が存在しない地域があるところ、同省としては20年前に実施していた図書巡回サービスを復活させ、地方の文化教育水準の更なる向上に繋げたいと考えているが、予算上の制約から、必要な機材の購入が困難な状況にある。
 このような状況の下、シリア政府は、文化省が移動図書館車を購入するために必要な資金につき、わが国政府に対して文化無償協力を要請してきたものである。
ダマスカス繊維工業専門学校機材整備計画
実施年度 平成14年度
供与限度額 3.80億円
案件概要  シリア政府は、第9次5ヵ年計画(2001~2005)において、天候や国際市場価格の変動による影響が少ない工業部門で、国内の安価で豊富な労働力を利用し、付加価値をつける産業の育成に重点を置いている。中でも繊維産業は、生産額が製造業部門全体の約3割を占め、輸出額は国全体の総輸出の1割、製造業輸出の3割強を占める貴重な外貨獲得源である。就業者数も国営企業就労者の20%を占め、国民に対して重要な雇用機会を提供している。シリアにおいては、繊維産業を支える中堅技術者養成のための唯一の専門教育機関として、1969年に工業省の下にダマスカス繊維工業専門学校が設置され、シリアの繊維産業界に求められている国際競争力のある製品の生産とその拡大に担う技術者養成のために中心的な役割を果たしている。
 しかしながら、実習機材の多くは、製造より50年以上も経過し、老朽化が進んでいることから、機材の多くは故障あるいは機能低下の状態にあり、品質検査管理分野を含め効果的な技術教育実施に支障を来している。  このような状況の下、シリア政府は、ダマスカス繊維工業専門学校に対する教育・実習用機材の整備のため、「ダマスカス繊維工業専門学校機材整備計画」を策定し、この計画の実施に必要な資金につきわが国政府に無償資金協力を要請してきたものである。
 この計画の実施により、ダマスカス繊維工業専門学校において、繊維製品製造に必要な紡績、製布、染色および被服製造においてこれまで9工程だった履修が20工程に拡張され、より市場ニーズに近い実践的な繊維関連技術の習得が可能となり、繊維産業の発展に貢献するとともに、同国の経済発展に資することが期待される。
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ダマスカス市内配水管改修計画(第二次)(第2期)
実施年度 平成14年度
供与限度額 3.34億円
案件概要  シリアは、国土の多くが乾燥地帯に属しており、同国では水の安定供給が重要課題となっている。特に近年都市化が進行し、人口増加が著しい首都ダマスカスでは、住民の生活に必要な量の給水を行うことが緊急課題となっている。ダマスカス市内では郊外の泉や地下水を水源として給水を行っているものの、周辺での新たな水源の開発が困難であるため、限られた水量を効率的に配分・使用する必要がある。
 しかしながら、ダマスカス市内の給水システムは老朽化しており、配水本管は平均約42年前に敷設されたものであり、漏水の発生率が高く、貴重な水が使用者に届く前に失われたり、地上の漏水事故により道路が冠水し交通障害が発生するといった支障が生じている。また、漏水部分から汚水が混入することによって水質汚染が発生し、保健衛生上も問題が生じている。一方、ダマスカス市では、急速な都市化の進展により給水サービスを実施すべき区域が急速に拡大しているため、新規配水管網の建設を優先せざるをえず、既存の老朽化した配水管の改修を実施できない状況にある。
 このような状況の下、シリア政府はダマスカス市の漏水対策として「ダマスカス市内配水管改修計画」を策定し、この計画のための配水管資材等の調達に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
 これまでわが国は、第一次計画において、ワリ地区、マルキ地区、旧市街地区、大統領官邸地区、ナースル地区を対象とした協力を実施している。今回の第二次計画では、市街地外周部のカファルスセ、バグダッド、ベルゼ、ミダンおよびメゼ地区の配水管約75kmの改修を対象としており、この2/2期においては、そのうちメゼ地区の約25kmの改修を実施することとなる。
 今回の協力では、わが国が配水管の資材を供与し、わが方技術指導の下にシリア側が配水管設置工事を実施する。
 この計画の実施により、約7万4,000人に給水できる新規の水源開発に相当する約1万2,600立方メートル/日の水量が節約されることが期待される。
写真2 写真1

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