ODA(政府開発援助)

平成28年2月1日

原稿執筆 在エチオピア日本国大使館

着々と進むインフラ整備

 「貧困」のイメージが強いアフリカ大陸において,人口約9000万人を擁し,過去10年間連続2桁と言われる経済成長率を記録しながら,めざましい発展を遂げている東アフリカのエチオピア。人口の7割が30歳以下で占められていると言われており,非常に若く活気に満ちた国です。首都であり,経済成長の中心地であるアディスアベバでは,週末も返上しての建設ラッシュの最中で,高層ビルや道路などのインフラ整備が着々と進んでいるところです。

都市化に伴う新たな貧困問題

 しかし,めざましい経済発展とは裏腹に,300万人を擁するアディスアベバでは,その約1割の30万人もの人々が経済的自立の困難な女性を家主とする世帯に属していると言われており,依然として貧困問題を抱えていることも事実です。特に貧困層の女性の多くは,家族を養うために,森で拾ってきた木々を売るなどして僅かな日銭を稼いだり,十分な稼ぎを得るために,家事従事者として湾岸諸国などへ出稼ぎに行かざるを得ない状況に立たされていることもあります。

日エチオピア友好のシンボルに:女性自立支援プロジェクトの実施

  2014年安倍総理のエチオピア訪問に併せて昭恵夫人が「サラム子供の村」をご訪問。

 こうした状況を改善するために,日本政府は,アディスアベバで経済的に困難を抱えている寡婦やシングルマザーの自立を支援しているNGO,「サラム子どもの村(Selam Children Village)」に対し,2015年2月から,草の根・人間の安全保障無償資金協力を活用し,縫製技術習得による女性の経済的自立を支援するための職業訓練センターの建設を行っています。衣類生産をはじめとする繊維分野は,皮革製品や農産加工物と並んで,エチオピアの更なる経済成長を後押しする有望な輸出産品の一つであり,今後の成長が期待されている分野です。この支援によって多くの女性が職業訓練を受けられるようになり,経済的に脆弱な立場に置かれている女性の雇用促進が期待されています。なお,本プロジェクトは,2014年1月の安倍総理のエチオピア公式訪問の際に,安倍昭恵総理夫人とロマン・エチオピア首相夫人がこの「サラム子供の村」を訪問されたことを契機に,実現に向けた調整が進められてきたものです。

  プロジェクトの起工式の際にテープカットを行う鈴木駐エチオピア大使とロマン首相夫人。
  縫製センターの様子。この場で毎日女性が熱心に縫製技術を学んでいる。
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