ODA(政府開発援助)

平成27年10月28日

原稿執筆:在エジプト日本国大使館

小児医療の包括的支援,足かけ30年

 カイロ市街中心部,車と人でごった返す交差点の一角。周りは黄土色の煤けた建物が並ぶ中で,ひときわ目を惹く大きな煉瓦造りのモダンな建物がある。カイロ大学小児病院である。
 カイロ大学小児病院は,1982年に日本の無償資金協力により建設され,その後更なる無償資金協力による増築・改修を経て現在の姿になった。加えて,1983年から2002年にかけて断続的に,小児医療サービス技術の向上,小児心臓疾患に関する診療・治療技術を中心とした技術移転,救急医療体制の確立といった目的の技術協力プロジェクトがJICAにより実施され,人材育成や医療サービス・技術の向上が図られてきた。今でも,日本で研修を受けた,日本の専門家と共に働いた,質の高い日本製の医療機器を大切に使っている,と熱を込めて話してくれる病院スタッフに会うことができる。さらにこの病院では,日本とエジプトが協力して実施する中東・アフリカ諸国向け第三国研修も積極的に受け入れている。

「日本病院」と呼ばれる

 往来の激しい通りから病院の正面玄関を中に入ると,外来診療の順番待ちをしている子供とその家族や,病室に入りきれない入院中の子供の家族たちが目に入る。この病院は,カイロ大学医学部附属の教育機関であると同時に,小児医療専門の公的医療機関として,エジプト国内における小児医療サービスの中核的役割を担っており,その高い技術と優れたスタッフを求めて全国各地から,時には周辺国からも患者が集まってくる。ほとんどの患者は重症の子供たち,貧しい家庭の子供たちであるが,人々は,病院が日本の支援によるものであることをよく知っており,親しみを込めて「日本病院」と呼ぶ。

外来施設拡充を計画中,もっともっと地域に貢献!

病院は煉瓦造りのモダンな建物

 病院の建設・改修に日本企業が関わったばかりでなく,院内で使われている医療機器の多くは日本製のもが使われており,病院スタッフは,ハード・ソフト両面で日本式の医療に対する思いが強い。この病院は,日本式の小児医療サービスの普及促進のみならず,日本企業の優れた医療機器の海外展開にも貢献している。
 現在,より効率的・専門的な外来診療の実施を目的として,近隣の土地に外来診療専門施設を日本の無償資金協力により建設する計画が進んでいる。カイロ大学小児病院は,エジプトにおける先端小児医療専門機関として,また日エジプト間協力の象徴として,その果たす役割が今後ますます期待されている。

ある病室:入院患者の両親が付き添っている
外来待合室で待つ人々
看護学校から授業を受けに来た学生たち
日本で研修を受けたことを誇らしげに話すスタッフ
新生児用集中治療室に使われている日本製機器
別の集中治療室でも日本製機器が使われている
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