ODA(政府開発援助)

平成27年8月27日

原稿執筆 在セネガル日本国大使館

セネガルの工業技術をボトムアップする日本の技術支援

 日本のセネガルにおける人材育成支援は,1980年代にさかのぼる。当時のセネガル政府は,農業に依存する経済から,工業に転換することを望んでいたが,国内ではそれを担うための技術者が圧倒的に不足していた。セネガル政府の要請を受けた日本は,1984年,無償資金協力によりセネガル・日本職業訓練センター(CFPT)を設立し,各コースの開設に向けて,センター運営や指導官への技術指導,カリキュラム作成などの技術協力を行った。

 当初開設されたコースは,電気技術,電子工学,電子機械,自動車整備の中等技術の4部門だった。その後,時代とともに変化する産業界のニーズに合わせるため,ワンランク上の上級技術者資格取得コースを5部門設置するとともに,夜間コースを開設する等,内容を拡充してきた。

足かけ30年,周辺国へも広がる日本の技術支援

  CFPT拡張事業の竣工式にてテープカットを行うサル大統領。
(平成22年度対セネガル無償資金協力「職業訓練機能強化計画」)
CFPTでは女性指導官,女子生徒も各学科に在籍している。

 2013年,無償資金協力により建築設備保守科と重機保守科を新設する竣工式には,セネガル側から,サル大統領,タラ職業訓練・研修・手工業大臣,ンジャイ外務・在外セネガル人大臣,トゥ-レ法務大臣が出席し,CFPTのセネガルにおける重要性を改めて示すものとなった。サル大統領は式典で「技術移転を重視する日本の協力は模範である」と述べ,日本への感謝の意を表するとともに,「本校がアフリカ随一の職業訓練校として,日アフリカ協力の象徴となるように引き続き努力していく。」と発言した。

 このように,開設以来進化を重ね,セネガルの人材育成に貢献してきたCFPTは,昨年で設立30周年を迎えた。卒業生は累計2,500人を超え,その多くがセネガルや周辺国の産業界で技術者として活躍している。また,CFPTはアフリカ仏語圏を対象とした第三国研修により,現在までに16か国からの指導員約300人を研修生として受け入れている(注)。さらには本年「TICAD産業人材育成センター」のひとつとして選定され,セネガルだけでなく,周辺国への貢献が今後ますます期待されている。

(注)ある分野で進んでいる途上国が支援する側になり,他の途上国の技術者を集め,開発経験や知識,技術の移転を行うことを第三国研修という。

  ジョヌ首相に設備の紹介をするCFPTの生徒たち。
(CFPT設立30周年記念イベントにて)
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