ODA(政府開発援助)
アンゴラ全土に埋もれた地雷を取り除く日本の支援
原稿執筆 在アンゴラ日本国大使館
1975年にポルトガルから独立したアンゴラは,27年間続いた内戦により国内のインフラが荒廃しました。長期に渡って戦争中に埋められた地雷の範囲は,日本の約3.3倍の国土面積があるアンゴラの全土におよぶと言われており,国民の安全な生活への脅威と経済開発を妨げる要因になっています。アンゴラ政府の報告書によれば,2016年には地雷が原因で16人の死者,29人の負傷者が出たとの記録があります。
日本政府は1990年代以来,アンゴラから地雷をなくすために,国際機関を通じた支援のほか,草の根・人間の安全保障無償資金協力及び日本NGO連携無償資金協力により,地雷除去のプロジェクトを23件実施してきました。
2002年の内戦終了後に本格的に始まった地雷除去活動の結果,2007年に3277か所あった地雷の危険区域は,2018年現在1416か所になりましたが,依然として,約158平方キロメートル(東京ドーム約3390個分)の土地に地雷や不発弾などの爆発性危険物が未だ埋まっている可能性があるとされています(2018年4月時点)。
日本の支援は地雷除去活動のみにとどまらず,地雷リスク回避教育や地雷被害者への支援,日本企業との連携によるコミュニティ開発,政府機関である国家地雷除去院(INAD)への地雷除去機の調達,INAD能力強化のための日本人地雷専門家の派遣など様々な角度からアンゴラの地雷対策を支えています。アンゴラ政府は,長年にわたる日本の地雷除去活動への支援に感謝しており,アンゴラで地雷ゼロを達成するためには日本との連携が不可欠であると,日本の協力を高く評価しています。
本年11月6日には,アンゴラ中部に位置するウアンボ州において,日本政府と英国政府の連携のもとで,国際NGOであるHALO Trustを通じた15か所の地雷(対人地雷28個,対車両7個,不発弾7個,弾薬355個)除去を完了させました。地雷除去された土地は,住民が農地としてトウモロコシなどの栽培に活用できるだけでなく,送電線敷設や学校建設などの国家開発事業の推進が可能になります。同州はこのプロジェクトの完了を経て,州内における地雷の完全な除去に向け大きく前進することができました。
対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)に基づき,アンゴラは2025年末までの地雷除去の完了を目標としています。日本政府はこの目標達成まで支援を継続し,アンゴラの全ての人々が自由に移動でき,豊かな生活を送れる基盤を作るために協力を続けていきます。