ODA(政府開発援助)

平成30年8月28日

原稿執筆 在ウクライナ日本国大使館

大きな困難を抱えたリハビリセンター

 2004年に首都キエフ近郊に所在するブロヴァリー市に設立された障がい児社会リハビリセンターは,身体に障がいを抱えた子供や自閉症の子供を受け入れる市内で唯一のリハビリセンターです。これまでエレベーターが設置されていなかったため,保護者や職員が児童を車椅子ごと持ち上げて,1階と2階を階段で移動している状況でした。児童用送迎バスも老巧化した小型車両1台のみのため,安全で効率的な送り迎えには適していませんでした。

子供たちに安心と安全を!

(写真1)引渡式の様子 引渡式の様子

 日本はこのような状況を改善するため,リハビリセンターにエレベーター1基と児童送迎用バスを導入するための支援を行いました。引渡式では,マリーナ・ポロシェンコ大統領夫人が出席する中,多くの子供たちとともにプロジェクトの成功が祝されました。角大使は,地元メディアの取材に対して「障がいを持っている児童と健常者が同様に遊び,学び,社会で活躍できる仕組み作りが重要である」と支援の意義を説明しました。式典の最後には,子供たちの健康と輝かしい未来を祈って風船が解き放たれるなど,とても盛大な引渡式となり,多くの関係者から日本の支援に対する感謝の言葉が寄せられました。この式典の模様はウクライナの主要なテレビ局でも生中継されました。

(写真2)送迎用バスの視察 送迎用バスの視察
(写真3)エレベーター前でのテープカット エレベーター前でのテープカット

国民の生活に直結する日本の支援

 ウクライナでは東部での紛争が続く中,東部での人道支援が注目されがちですが,このような社会福祉の問題になかなか予算が割り当てられず,厳しい生活環境を強いられている障がいを抱えた児童やその家族がたくさんいます。都市と農村部の生活の格差は非常に大きく,老朽化した危険な医療機器やインフラ設備を使用せざるを得ない人々も多くいます。中央・地方政府ともに財政難を抱える中で,このような保健・医療や教育といった国民の生活向上に直接寄与する支援はとても有意義で,大切なことです。

全ての子供たちの明るい未来に向けて

 ウクライナの子供たちが見せてくれた笑顔は,この支援の意味を再確認させてくれるものでした。最後に,障がいの有無や住んでいる地域に関わらず,全ての子供たちの未来が希望に満ちあふれるものになることを願ってやみません。

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