ODA(政府開発援助)
日本製医療機材が目指す「誰一人取り残さない」世界!
原稿執筆 在エルサルバドル日本国大使館
「持続可能な開発目標」の実現に向けた日本の保健協力!
日本から見て地球の裏側の中南米に位置するエルサルバドル共和国。この地で,今,日本の開発協力への関心が高まっています。現地主要紙の一つが,「誰一人取り残さない」世界を目指す,国連の「持続可能な開発目標」の実現に向けた取り組みとして,この国に対する日本の保健分野での協力を紹介したのです。
その一つとして挙げられているのが,「医療機材ノン・プロジェクト無償資金協力」と呼ばれる,2013年から約5年間にわたり行われた4億円分の医療機材の供与です。子供たちがX線被爆を受けることなく安心して精密な画像検査を受診できるように,エルサルバドル唯一の小児科専門の国立病院であるベンハミン・ブルーム病院に対し行われたMRI(注1)の供与のほか,CT(注2), Cアーム(注3),回診用X線装置(注4),バイタルサインモニタ(注5),救急車といった日本製の医療機材がエルサルバドル全国の国立病院等に贈与されました。
この無償資金協力は,エルサルバドル政府からも極めて高く評価されており,メンヒバル保健大臣は,これらの高度な医療機材が無償で提供されたことの重要性を,エルサルバドル国民に対して訴えかけてきました。
質の高い日本製医療機材の普及
この協力に関しては,現地主要紙だけでも11の記事が報道されています。医療機材は全て日本製のものが供与されましたが,報道では特に,その質の高さが強調されています。例えば,ソンソナテ国立病院へCTが供与された際には「エルサルバドル西部地域の公立病院の中で最も近代的機材となる」,「この日本製CTにより,迅速な診察が可能になった」と紹介されました。
この協力を通じて日本ブランドへの高評価が広まったことにより,今後,当国の医療セクターにおいて日本製医療機材がより一層普及していくことが期待されます。
(注1)X線は使わず,磁石と電波を用いて体内の状態を画像にする検査装置
(注2)X線により体内の断面画像,立体画像を得る検査装置
(注3)患者と装置の空間を保ちX線撮影を行える外科用X線撮影装置
(注4)患者ではなく,装置の方を移動させ,X線検査を行うことの出来る装置
(注5)心電図・心拍数,血圧,体温などを測定,記録する装置