ODA(政府開発援助)
日本のマスタープランで都市開発 マナグア市の大改造
原稿執筆 在ニカラグア日本国大使館
なぜ,マナグアには都市開発プランが必要なの?

【写真提供:JICAニカラグア事務所】
中米ニカラグアの首都マナグアは,1972年のクリスマス直前に地震で甚大な被害を受けました。
復興が進まない中,1979年の革命や1980年代の内戦を経て,無計画・無秩序な町となりました。市街地はどんどん郊外へ広がるも,公共都市交通網が無く,渋滞等により都市機能と環境が悪化し,災害に弱い町となったことが大きな問題になっていました。
そこで,我が国に対し,マナグア市都市開発マスタープランの策定が要請され,2015年から1年半の調査を経て,2017年8月に報告書の発表会が行われました。
このマスタープランは,2040年にあるべき首都マナグアの姿を示しています。都心,副都心の場所,都市内公共交通網の整備,市街地の広がりの制限や,緑地を残した環境保全などが図られています。都心部では中層規模の建物を中心に,コンパクトで効率が良く,持続的で良好な居住環境のある町を提案しています。
マスタープランへの市民の反応は?

マナグア都市開発への決意表明をするトーレス・マナグア市長
【写真提供:JICAニカラグア事務所】
あらためて首都マナグアを見れば,町並みは無秩序で道路は渋滞,雨が降ればすぐ冠水し,このままでは良くないよね,という問題意識が市民に共有されてきています。そこに,我が国の技術協力による「マナグア市都市開発マスタープラン」が発表されたことは,市民にも大きな関心を呼びました。発表会は,我が国の資金にて整備されたニカラグア日本友好公園内にある,和風の外観を持つコンベンションセンターで行われ,多くの報道陣・市民も詰めかけて,大賑わいとなりました。

【写真提供:JICAニカラグア事務所】
その後も,マナグア市の都市開発の話題になると,必ずと言っていいほど「マナグア市都市開発マスタープラン」が引用されます。東京で言えば,首都高速道路,新宿西口副都心,お台場,はたまたオリンピックに向けた都市開発を思い起こしてください。
今後は,このマスタープランの提案に従い,例えば日本の協力により,都心幹線道路上に「ゆりかもめ」のような公共交通が整備されるかもしれないのです。高度成長期の段階にある今のニカラグア市民にとって,2040年に向けた首都マナグアの新しい姿を示すこのマスタープランは,とても魅力的な明るい未来に映るのだと思います。