ODA(政府開発援助)
日本とナイジェリアの架け橋
原稿執筆 在ナイジェリア日本国大使館
効果の高いプロジェクトへの拠出で信頼醸成
豊かな天然資源を背景に,将来的に世界でトップ20の経済大国を目指すナイジェリアは,日本にとっても重要な経済的パートナーです。日本政府はナイジェリアに対して,インフラ整備や電力供給施設の建設など大規模な開発協力により,マクロ経済の発展に貢献してきました。同時に,経済発展の恩恵を受けることが困難な地方の人々への支援に取り組むことで,国内全土の発展に寄与しています。
高みを目指す農村支援
農村に住む貧しい人々にとって,農場から村のマーケットのある中心地へ移動することは大きな負担であり,マーケットアクセスの改善は,農業で生計をたてる人々の収入向上に貢献する最も効果的な方法の一つです。平均月収が2,500円ほどのグワグワ地区に住む人々のために,日本政府は橋の建設を支援しました。
命がけで川を渡る!?
グワグワ地区の住民は,主に農業で生計を立てています。農地と住宅地の間には川が流れ,住民が農地へ行くためには川を歩いて渡るしかありません。ある年の雨季には,川の水量が増加したため,5人が溺れて亡くなる事件が起きました。混濁した川を渡ることで体調を崩す農民も多々おり,不安を抱きながらも,住民は川を歩いて渡るしかありませんでした。さらに,マーケットへのアクセスが困難なことから,農作物を販売する機会が限られており,農地の4分の1しか耕作されておらず,農業で生計を立てる人々にとって橋の建設は悲願でした。
1本の橋が5万人の生活を変えた
橋が完成したことにより,住民の生活は一変しました。
あるシングルマザーの女性は,幼い子どもを2人抱え農業を営んでいました。橋が完成して,農地で取れた作物を近くのマーケットまで容易に運べるようになり,収入が上がったと喜んでいました。経済的に安定したことで,子どもたちも安心して学校に通えるようになりました。
国と国とをつなげ,よりよい未来を
この橋の建設は住民の悲願だったにもかかわらず,ナイジェリア政府や他の援助機関から支援されることはありませんでした。唯一,住民の要望に答えたのが日本だったのです。現在では1日に500人以上の人々が橋を利用し,村の経済活動の要となっています。まさに希望の象徴として人々の生活に深く根付いた日本の支援として,人々に深く感謝されています。