ODA(政府開発援助)

平成29年11月21日

原稿執筆 在エクアドル日本国大使館

(写真1)日本のルートイン・BCリーグ・トライアウトに初挑戦したホスエ君と青年海外協力隊員 日本のルートイン・BCリーグ・トライアウトに
初挑戦したホスエ君と青年海外協力隊員

 プロ野球選手を目指しているエクアドル共和国のひとりの青年ホスエ・ダビッド・バティスタ・セグラ君が,ルートイン・ベースボール・チャレンジ・リーグ(Route Inn Baseball Challenge League:北陸・信越・北関東を活動拠点とするプロ野球の独立リーグ。以下ルートインBCリーグ。)のトライアウトを受けました。

 エクアドル共和国では,野球は未だメジャーなスポーツではなく,指導者はおろか十分な練習施設さえありません。そのような状況のなかで,日本でのルートイン・BCリーグ・トライアウト挑戦に至った背景には,日本の開発協力がありました。

(写真2)野球のルール説明を熱心に聞くエクアドルの子供達 野球のルール説明を熱心に聞くエクアドルの子供達

 ホスエ君が所属するグアヤス県スポーツ連盟のチームには,数年前より,青年海外協力隊の野球隊員が指導者として派遣されています。2013年~2015年に派遣されていた野球隊員が,このチームのチームメートを日本の野球に触れさせたいと考え,青年海外協力隊を育てる会や母校の大学に応援を募り,日本遠征を実現させました。その時に日本遠征に行ったメンバーの一人にホスエ君がいました。
 日本での遠征を終え,野球への情熱を高めたホスエ君は,2015年~2017年に派遣された野球隊員と日々の練習に励みました。ホスエ君の野球への情熱に感化された野球隊員は,エクアドル野球隊員OBの方々の協力を得て,ルートイン・BCリーグ・トライアウト挑戦のための準備を進めました。今回の挑戦へ協力・援助してくれたのは,4人のエクアドル野球隊員OBの母校や勤務先でした。

(写真3)草の根文化無償資金協力で整備された球場で練習試合をするエクアドルの子供達 草の根文化無償資金協力で整備された球場で
練習試合をするエクアドルの子供達

 ホスエ君は,青年海外協力隊の事業により指導者に恵まれたものの,十分な施設での練習は出来ていませんでした。しかし,日本の草の根文化無償資金協力により,グアヤス県スポーツ連盟の練習施設が整備されました。

 平成25年度には「グアヤス県スポーツ連盟エヨ・ウラガ野球場及びエル・レクレオ野球場整備計画」が実施され,野球場の芝生,スプリンクラーおよびフェンスの整備が行われました。この計画が実施される前は,雨季になれば球場は浸水し,乾季になれば芝生が枯れる状態で,毎日継続的に練習が出来ていませんでした。

 現在,この計画の実施によりホスエ君は毎日思う存分練習に励めています。
 また,平成26年度には同連盟に対し「グアヤス県スポーツ連盟エヨ・ウラガ野球場ディエゴ・バレンスエラ室内練習場整備計画」のための資金が援助され,トレーニング・ジムが整備されました。トライアウトを受けるには,まだまだ細身なホスエ君は,そのジムで体を鍛え,トライアウト挑戦に向けて準備をしてきました。

(写真4)エクアドルの野球少年・少女と青年海外協力隊 エクアドルの野球少年・少女と青年海外協力隊

 2017年11月4日~5日,異国の地で緊張のなか臨んだトライアウトの結果は残念ながら不合格でした。
 国外での挑戦で世界の壁の高さを実感することになりましたが,「学びが多い挑戦だった」とホスエ君。
今回の日本訪問では日本の大学生や高校生の野球の試合や練習も見学し,「日本の野球のレベルの高さ,規律ある練習そして野球への情熱にふれ,日本でプレーしたい気持ちがさらに高まった。エクアドルに戻って,チームメートに今回の経験を共有しながら,今まで以上に練習に励み再挑戦したい。今回の挑戦に協力してくれた日本の皆にとても感謝している。」と熱い気持ちを語ってくれました

 日本の開発協力の2つのスキームが繋いだホスエ君の夢への挑戦ははじまったばかりです。
 今後のホスエ君の活躍が,エクアドル共和国の野球を発展させていくことを願っています。

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