ODA(政府開発援助)
難民受け入れ地域への一貫した支援に,感謝と期待
原稿執筆 在ヨルダン日本国大使館
第1フェーズの完成と第2フェーズの開始

2017年5月11日,ヨルダン北部のイルビッド県にて無償資金協力「北部地域シリア難民受入コミュニティ水セクター緊急改善計画」(フェーズ1)の竣工式が,また5月22日にはアンマンにて同計画のフェーズ2に係る交換公文等の署名式が開催されました。
日本が策定したマスタープラン,難民受入地域の開発を主導

(第1フェーズ竣工式)
ヨルダンはもともと世界で最も水資源の少ない国の一つですが,2011年のシリア危機発生以降は100万人を超えるシリア人がヨルダンへ避難してきており,その大多数を受け入れている北部のコミュニティでは,急激な人口増加のために給水事情が更に悪化しています。
こうした事情を踏まえ,日本政府は,特に難民流入の影響が大きいシリア国境付近の4県において実施したシリア難民の流入による上下水道サービスへの影響調査に基づき,今後20年にわたる上下水道の開発計画(マスタープラン)を策定し,同マスタープランに基づいて,水セクターの既存施設(送配水管網とポンプ)の整備を行いました(フェーズ1)。なお,同マスタープランは,ヨルダン政府のみならず各国ドナーからも高く評価され,フランスやドイツ,欧州復興開発銀行等が,同マスタープランに基づいた支援を実施しています。
継続的な支援に感謝!

(第2フェーズ署名式)
ムルキー首相やナーセル水灌漑大臣,イルビッド県知事等が参加したフェーズ1の竣工式や,ファーフーリー計画・国際協力大臣等が参加したフェーズ2の署名式では「シリア難民受入地域への日本政府・JICAの継続的な支援に感謝したい。」や「第1・第2フェーズともに,水分野の開発政策やシリア危機への対応において非常に重要な事業である。」といった声が聞かれ,日本が北部地域における水分野の支援において果たす役割に対して感謝と期待が表明されました。また,これらの様子は現地の新聞やニュースでも大きく報道され,地元民のみならず国民全体から日本の支援に対する期待が高まっています。