ODA(政府開発援助)

平成29年5月17日

原稿執筆 在アルメニア日本国大使館

スピタク市救助隊員による,東日本大震災犠牲者のための「ハチュカル」の建立

スピタク市のアルメニア教会司祭によるミサの写真 スピタク市のアルメニア教会司祭によるミサ

 東日本大震災から6周年を迎える2017年3月11日,アルメニア北西部の地方都市,スピタク市では,同震災犠牲者のための「ハチュカル」(アルメニアに古代から伝わる伝統文化で石の十字架の意)の前に,田口栄治大使夫妻及びトノヤン非常事態大臣,アルメニアの救助隊員及びスピタク市民ら総勢約100名が参列し,アルメニア教会司祭によるミサが行われ,同震災犠牲者のための追悼式典が開催されました。

追悼式典に参列したスピタク市の救援隊及び市民の写真 追悼式典に参列したスピタク市の救援隊及び市民

 同式典においてトノヤン大臣は,これまでの日本の支援に改めて深く感謝し,日本人は様々な防災の努力によって天災の多い地理的な困難を克服しようとしており,アルメニアもこのような日本の取組から学び,災害に強い社会の構築に向けて困難を乗り越えていきたいと述べました。

 スピタク市に建立されているこの「ハチュカル」は,東日本大震災後,JICAの研修で日本を訪れたスピタク市の救助隊員が,同震災犠牲者への弔いとアルメニアに対するこれまでの日本の防災協力への感謝の意をこめて,2012年に建立したものです。以降,毎年3月11日にはスピタク市によって追悼式典が行われ,昨年から田口大使をはじめとする日本大使館関係者らが参列しています。

田口大使とトノヤン大臣による献花の写真 田口大使とトノヤン大臣による献花
東日本大震災犠牲者のための「ハチュカル」の前でスピーチを行う田口大使の写真 東日本大震災犠牲者のための
「ハチュカル」の前でスピーチを行う田口大使

 なおこの「ハチュカル」の隣には,もう一つの「ハチュカル」が建立されています。スピタク市は,アルメニア全体で約2万5千人の犠牲者があった1988年のアルメニア大地震の震源地として大きな被害を受けました。この地震が発生した12月7日にも,この犠牲者を弔うために建立された「ハチュカル」の前で,スピタク市により開催される追悼式典に日本大使館関係者が参列しています。

日本とアルメニアの防災協力

 1988年に発生したアルメニア大地震の際,日本は国際緊急援助隊の派遣,緊急援助物資の供与等の緊急援助を行いました。アルメニアと日本は,ともに地震を始めとする災害の多い国であり,この大地震以降,両国の間ではアルメニアの消防車両の整備や地滑り災害対策等,様々な防災協力が行われています。

 なお,日本からアルメニアに供与されたこの消防車両は,アルメニア国内のみならず,2010年にロシアで大規模な森林火災が発生した際に3台が現地に派遣され,アルメニアの救援活動はロシアからも感謝されています。

 同式典において田口大使からも述べたとおり,両国民は過去の地震からの教訓を学び,将来に備えていく必要があります。東日本大震災を経験した日本は,可能な限り多くの人命の救助及び災害に強い社会を築いていくために,今後もアルメニアとの防災協力を発展させ,より安全な社会を築いていくことが重要であると考えています。

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