ODA(政府開発援助)
ジブチに響く「赤とんぼ」
原稿執筆 在ジブチ日本国大使館
このメロディは!?
東アフリカに位置し,「世界一暑い国」とも言われる国,ジブチ。人口100万人に満たず,四国の1.3倍ほどのこの国では日本人になじみの深い,「赤とんぼ」のメロディを毎日のように聴くことができます。
日本から遠く離れたこの地でいったいなぜ?音源の正体は市内を走るオレンジ色のゴミ収集車。首都のジブチ市内を毎日巡回し,市民からゴミを回収しています。そのゴミ収集車にはジブチの国旗と並んで日本の国旗が。実はこれ,日本のODAで2014年に無償で供与されたもの。
「赤とんぼ」が合図
ジブチ市内では近年の急激な人口増加とともにゴミの量も増加し,ゴミ処理を行う車両の老朽化もあって,未回収のゴミが市内に増えていました。こうしたゴミは違法な埋立てや野焼きによって処理されたため,悪臭,有害物資の発生,火災や土壌汚染といった環境問題を引き起こしました。そんな状況を改善するため,ゴミ収集車や散水車といった清掃・ゴミ処理車両がODAで供与されることになったのです。
ゴミ収集車は2014年にジブチ到着。それ以降,市内のあちこちで日本の国旗が描かれたオレンジ色のゴミ収集車を見かけるようになりました。「赤とんぼ」のメロディが流れると各家庭はゴミを出しに外に出ます。そうしてゴミ収集車が家庭ゴミを回収する。この仕組みによってゴミの回収作業も効率化されました。
より身近な日本に
ゴミ収集車を管理するジブチ清掃局の代表も日本の支援を受けてから市内が「1000倍(!)きれいになった」と大満足。1日当たりのゴミ回収量は以前の約2倍になったとのこと。「赤とんぼ」のメロディも今やすっかり日本のものと認識されているようです。
ゴミ収集車の整備場の倉庫を訪れると,車両とともに供与されたスペアパーツが整然と保管され,車両の運行記録も丁寧につけられているなど,日本のゴミ収集車が大切に使われている様子がうかがえました。
先日,市内で見かけたゴミ収集車の写真を撮っていると,こちらに気づいた住民から「ジャパン?」と聞かれました。こちらがうなずくと,ゴミ収集車を指しながら,「いいね!」。こうした住民に寄り添った支援によって日本がより近くに感じられている。そう感じさせる光景でした。