ODA(政府開発援助)
オルカリアI4・5号機 ケニアの電力を支える日本の技術
原稿執筆 在ケニア日本国大使館
ケニアの発電容量の4分の1は地熱発電
ケニアでは石油や石炭などの天然資源が少なく,1970年代から地熱開発が行われています。
特に首都ナイロビから西へ車で3時間ほどに位置するヘルズゲート国立公園内のオルカリア地熱発電地区では,多くの地熱発電所が稼働しており,ケニアの全電力の約4分の1を供給しています。地熱発電は,昼夜・天候を問わず24時間連続して発電することができ,利用率が高い安定電源であると共に,同規模の火力発電所を稼動させた場合と比べて大気汚染物質やCO2の排出を抑制する環境に優しいエネルギーです。
その中で一番新しいオルカリアI4・5号機地熱発電所は,295億1,600万円を限度とする日本の有償資金協力を通じて2015年1月に完成しました(同年2月運用開始)。発電容量はオルカリアI4・5号機合わせて140メガワットで,同地区の中でも最大の発電容量を誇り,安定した電源としてケニアでも知られており,広くケニアの産業や国民の生活を支えています。同発電所を運営するケニア電力公社からもケニアの電力安定供給には欠かせない存在であると言われています。
活用される日本の高い技術力
オルカリアI4・5号機をはじめ,同地区で稼働している地熱発電所のほとんどでは日本企業製のタービンが使用されています。地熱発電所の心臓部といえるタービンは,蒸気の力で回転することで電気を生み出します。同地区は世界でも有数の蒸気量があり,大型のタービンを備えた地熱発電所を建設することができます。特に大型タービンの製造には,高度な技術と経験が必要とされており,日本の高い技術力が活かされています。
TICAD VIの際に,地熱発電をはじめとする日本の強みを活かした低炭素排出型のエネルギーシステム等を民間企業と政府が一体となって推進することを安倍総理が表明したこともあって,ケニア政府やケニア電力公社などから日本との今後の更なる協力・連携に期待が寄せられています。