3 各国との連携・協力
(1)米国(81ページ 第3節1参照)
2021年1月28日には、菅総理大臣とバイデン大統領との間で初の首脳電話会談を行い、米国のインド太平洋地域におけるプレゼンスの強化が重要であること及び「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた緊密な連携を確認した。また、同月27日には、茂木外務大臣とブリンケン国務長官との間で初の外相電話会談を行い、「自由で開かれたインド太平洋」の重要性について意見交換を行った。さらに、同年3月には、バイデン政権発足後、わずか2か月というタイミングで茂木外務大臣とブリンケン国務長官との間で初の対面での外相会談を行い、引き続き日米が主導して、オーストラリア、インドやASEANなどと連携しつつ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力を強化していくことを改めて確認した。
(2)ASEAN(72ページ 第2節7参照)
日本とASEANの間では、10月、菅総理大臣はベトナム・インドネシア訪問の際、ASEANと日本でインド太平洋地域の平和で繁栄した未来を共に創り上げていきたいという意思を表明し、そのために具体的な協力を進めていくことで一致した。また、ベトナムでは「共につくるインド太平洋の未来」とのスピーチを実施し、ASEANが2019年に発出した「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」への力強い支持を表明するとともに、自由で開かれたインド太平洋の更なる繁栄に向けて、日本とASEANが共に力を合わせていくことを呼びかけた。11月に菅総理大臣及びASEAN各国首脳が出席したASEAN関連首脳会議においては、「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)協力についての第23回日ASEAN首脳会議共同声明」を発出し、AOIPと日本が推進するFOIPが本質的な原則を共有していることを確認した。今後、日・ASEAN首脳会議で発表した「ASEAN連結性イニシアティブ」を始め、海洋協力、連結性、SDGs、経済という「アウトルック」の四つの重点分野に沿って具体的な協力案件を着実に進め、「自由で開かれたインド太平洋」実現に資する協力を深化させていく。
(3)オーストラリア(67ページ 第2節6参照)
11月、モリソン首相が訪日し、菅総理大臣にとって就任後初の日本での対面の会談相手として首脳会談を実施した。両首脳は、自由、民主主義、人権、法の支配などの基本的価値と戦略的利益を共有する「特別な戦略的パートナー」である日豪が、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて共に取り組んでいくことを確認した。茂木外務大臣とペイン外相は、10月に対面及び電話で、2021年2月に電話で、それぞれ外相会談を行い、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のため、同志国間で緊密に連携していくことで一致した。同年2月には、菅総理大臣とモリソン首相との間で電話会談を行い、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて二国間の協力及び米国やASEANとの連携を進めていくことで一致した。
(4)インド(64ページ 第2節5参照)
日本とインドの間では、9月、菅総理大臣とモディ首相との初の電話会談において、菅総理大臣から「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて両国で役割を果たしていきたいと伝達するとともに、10月の日印外相間戦略対話において、茂木外務大臣とジャイシャンカル外相が「自由で開かれたインド太平洋」の実現のための協力について幅広く意見交換を行い、インドが進めている「インド太平洋海洋イニシアティブ」を含め、引き続き連携を強化していくことを確認した。
(5)日米豪印(24ページ 特集参照)
日米豪印4か国は、ルールに基づく自由で開かれた国際秩序を強化していくとの目標を共有している。「自由で開かれたインド太平洋」を具体的に推進していくため、質の高いインフラ、海洋安全保障を始め様々な分野で実践的な協力を進めていくとともに、同ビジョンの実現に向け、より多くの国々へ連携を広げていくことの重要性を共有している。また、4か国は、「インド太平洋に関するASEANアウトルック」を全面的に支持しており、「自由で開かれたインド太平洋」に関する欧州を始めとする各国の前向きな取組を歓迎している。こうした考えの下、2020年10月には、第2回日米豪印外相会合を日本で開催し、「自由で開かれたインド太平洋」を具体的に推進していくため、様々な分野で実践的な協力を更に進めていくことで一致するとともに、より多くの国々へ連携を広げていくことの重要性を確認した。米国のバイデン政権発足後の2021年2月には、日米豪印外相電話会談を行い、4か国が、引き続き、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、ASEAN、大洋州島嶼国、欧州などの国々と一層の連携・協力を深めていくことで一致した。また、同年3月には、米国の呼びかけにより、初となる日米豪印首脳テレビ会議を開催し、首脳レベルでも「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、様々なパートナーと協力していくことで一致した。
(6)欧州
ア EU(101ページ 第5節2(1)参照)
2020年秋頃から、欧州でインド太平洋に対する関心が高まり、EUにおいてインド太平洋に関する議論が開始された。2021年1月、茂木外務大臣は日本の外務大臣として初めてEU外務理事会にオンライン形式で出席し、「自由で開かれたインド太平洋」についてEU及びEU加盟国外相に対し説明を行った。これに対し、多くのEU加盟国外相が、インド太平洋におけるルールに基づく自由で開かれた国際秩序の重要性についての理解や支持を表明し、日・EUは連結性、海洋安全保障などの分野で協力を更に進めることで一致した。
イ 英国(103ページ 第5節2(2)参照)
8月、茂木外務大臣は、新型コロナの世界的感染拡大後初の外国訪問先として英国を訪問した。ラーブ外相との会談では「自由で開かれたインド太平洋」の実現のための協力を含む幅広い分野での一層の関係強化につき議論した。9月、菅総理大臣はジョンソン首相と電話会談を行い、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた安全保障分野の協力強化を含め、二国間関係の更なる進展に向けた協力を確認した。2021年2月に3年ぶりに実施された日英外務・防衛閣僚会合(「2+2」)及び同月行われた日英首脳電話会談でも、こうした協力を更に進展させることを確認した。
ウ フランス(105ページ 第5節2(3)参照)
10月、茂木外務大臣はフランスを訪問し、ル・ドリアン欧州・外務相と外相会談を行い、インド太平洋における日仏協力の推進を確認した。同月、菅総理大臣はマクロン大統領との首脳電話会談において、日仏が共に「インド太平洋国家」として、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を進めることで一致した。
エ ドイツ(105ページ 第5節2(4)参照)
9月、ドイツは、インド太平洋における航行の自由、法の支配、連結性といった理念の重要性を強調する「インド太平洋ガイドライン」を閣議決定した。これに関し、10月、茂木外務大臣はマース外相とのテレビ会談において、ドイツの「インド太平洋ガイドライン」を高く評価すると述べ、両大臣は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け連携を強化していくことで一致した。
オ オランダ(112ページ 第5節 その他の欧州地域参照)
11月、オランダは、インド太平洋について、南シナ海へのコミットメント強化や海洋安全保障の促進などを協調する「インド太平洋:アジアのパートナー諸国とのオランダ及びEUの協力強化に向けたガイドライン」を発表した。12月、菅総理大臣はルッテ首相と電話会談を行い、オランダによる独自のインド太平洋ガイドライン発表を歓迎するとともに、両首脳は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け連携していくことで一致した。