外交青書・白書
第2章 地域別に見た外交

2 日本の具体的な取組例

日本は、「インド太平洋国家」として、地域の平和と繁栄に貢献していくべく、考え方を共有する国々と連携し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組を戦略的に推進していく。具体的には、(1)海洋秩序に関する政策発信や、海洋法の知見の国際社会との共有、(2)自由で公正な経済圏を広げるためのルール作り、(3)インド洋と太平洋にまたがる連結性の実現、(4)能力構築支援を通じたガバナンスの強化、(5)海洋安全保障及び海上安全の確保を始めとした取組を進めていく。

(1)については、東南アジア諸国や太平洋島嶼(とうしょ)国に対し、海上法執行能力構築支援やセミナーなどを通じた海洋法に関する能力構築支援などに取り組んできている。

(2)については、TPP11日EU経済連携協定(日EU・EPA)に続き、2020年1月には日米貿易協定が発効したほか、新型コロナにより世界経済が大きな影響を受ける中において、10月には日英包括的経済連携協定(日英EPA)が、11月には地域的な包括的経済連携(RCEP)協定がそれぞれ署名に至るなど、日本は、ポスト・コロナに向けて、経済・通商分野でのルール作りを主導している。

(3)については、「メコンの大動脈」と言われるホーチミン、プノンペン、バンコクの巨大都市を結びインド洋に抜ける南部経済回廊や、ベトナムのダナンからラオス、タイ内陸部を結びミャンマーを通じてインド洋につなぐ東西経済回廊などの連結性強化に資するプロジェクトを実施してきている。

(4)については、自立的かつ持続可能な成長を後押しするため、相手国政府の財政政策や公的債務管理に関する能力強化を目的に、マクロ経済政策アドバイザーの派遣などをアジア、アフリカを中心とした国々に対して実施している。

(5)については、自由で開かれた国際秩序を構築するため、日本のシーレーン上に位置するフィリピン・ベトナムなどに対し、巡視船や沿岸監視レーダーを始めとする機材供与、専門家派遣や研修による人材育成などを通じて海上法執行能力構築支援を積極的に実施している。

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