ASEAN(東南アジア諸国連合)
第23回日ASEAN首脳会議
1 冒頭発言
フック・ベトナム首相の発言に引き続いて、菅総理から、冒頭以下のとおり発言。
(1)冒頭発言
ア ASEAN関連首脳会議に初参加を嬉しく思う。フック首相及びベトナム政府に敬意。
イ 日本は、ASEANの友人として、自由で開かれたインド太平洋の更なる繁栄のために、共に力を合わせて前に進んでいきたい。
ウ ASEAN各国と緊密に連携しながら、「自由で開かれたインド太平洋」を着実に実現していく。今後、ASEAN各国を訪問し、首脳の皆様と直接お話しすることを楽しみにしている。
(2)新型コロナを受けた対ASEAN協力の進捗
ア 本日、ASEAN感染症センターの設立を共に発表できることを嬉しく思う。センターが、地域の感染症対策の中核として、ASEANの人々を感染症の脅威から守る組織へと発展していくよう、日本は支援を惜しまない。ASEAN各国と手を取り合って、継続的に協力していきたい。
イ 「日ASEAN経済強靱化アクションプラン」を通じ、サプライチェーンの強靱化や、デジタル技術を活用して社会変革に取り組むビジネスを後押ししていく。
(3)インド太平洋に関するASEAN・アウトルック(AOIP)
ア ASEANが昨年発出した「インド太平洋に関するASEAN・アウトルック」では、法の支配、開放性、自由、透明性、包摂性がASEANの行動原理として謳われている。これは、日本が推進する「自由で開かれたインド太平洋」と多くの本質的な共通点を有しており、強く支持。このような基本的原則を共有していることが日本とASEANの協力の基礎。
イ 海洋協力、連結性、SDGs、経済という「アウトルック」の重点分野に沿って協力を進めていきたい。(日ASEAN・AOIP協力の取組(和文(PDF) / 英文(PDF))
ウ 連結性については、今般、既に実施中の2兆円規模の質の高いインフラプロジェクトを中心とする「日ASEAN連結性イニシアティブ( 和文(PDF) /英文 (PDF)) 」を立ち上げる。インフラ整備を通じて陸海空の回廊による連結性を強化し、今後3年間で1000人の人材を育成していく。
エ 先般、2050年までに温室効果ガス排出を全体としてゼロにすることを宣言。イノベーションを通じて「経済と環境の好循環」を加速し、パリ協定が目指す脱炭素社会の実現のため、ASEAN諸国と協力していきたい。
2 クローズド・セッション
(1)ASEAN側からは、菅総理の総理就任に祝意が述べられたほか、日本によるASEAN感染症対策センター設立に係る支援や新型コロナに関するASEAN対応基金への100万ドルの拠出決定等、日本の対ASEAN協力に謝意が表明された。また、北朝鮮による拉致問題の解決について、ASEAN側から支持が示された。
(2)菅総理から、概要以下を発言した。
(東シナ海・南シナ海)
一方的な現状変更の試みを深刻に懸念している。また、南シナ海問題に関し、航行及び上空飛行の自由をはじめとする国際法上の正当な権利が尊重されるべきである。
(北朝鮮)
全ての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向け、安保理決議の完全な履行が不可欠である。また、拉致問題の早期解決に向けた理解と協力をお願いしたい。
(香港情勢)
昨今の香港情勢についても重大に懸念する。
3 ASEAN感染症対策センター設立行事
続いて開催されたASEAN感染症対策センター設立行事においては、冒頭、短時間、ビデオクリップが放映された後、フック首相が同センターの設立を宣言した。菅総理は、同センターがASEANの人々を感染症の脅威から守る強靭な組織へと発展していくよう、日本はJICAの技術協力による専門家派遣や研修の実施を含め、これからも継続的な支援を惜しまない旨の祝辞を述べ、設立行事を了した。