国連外交
茂木外務大臣の第76回国連総会出席(結果)



- 茂木敏充外務大臣は9月22日(水曜日)から24日(金曜日)にかけて、第76回国連総会ハイレベルウィークの機会にニューヨークを訪問。滞在中、12名を超える外相等との間で13の多国間・二国間の会合を実施。
- 各国外相との個人的関係も基礎にしつつ、自由で開かれたインド太平洋のビジョン及び国際社会における日本の立ち位置を強化する外交を展開。北朝鮮やアフガニスタンといった地域情勢等につき国際社会と緊密な連携を確認。
1 マルチ会合(時系列順に記載)
(1)安保理改革に関するG4外相会合(9月22日(NY時間。以下同じ。))


茂木大臣は会合の議長を務め、ブラジル、ドイツ、インドの外相とともに、安保理改革の議論の現状認識を共有し、具体的進展を図るための共通の取組について意見交換を行い、G4の結束と決意を再確認した。また、四か国外相は、政府間交渉の進展を得るため、国連総会議長を支持することで一致するとともに、アフリカ共通ポジションへの支持を表明し、アフリカを始めとする関係国とも連携しつつ、文言ベース交渉の早期開始など改革プロセスの前進のため協力することで一致した。
(2)アフガニスタン情勢に関するG20臨時外相会合(9月22日)

各国は、希望者の安全な出国を確保し、深刻な人道状況に対応し、アフガニスタンがテロの温床となることを防ぐことが重要という認識の下、国際社会が足並みを揃え、タリバーンが誤った方向に向かわないよう、統一したメッセージを出していく必要性を確認した。
(3)日米韓外相会合(9月22日)

茂木大臣は、ブリンケン国務長官と鄭外交部長官との間で、冒頭に北朝鮮について議論した。茂木大臣から、先般のミサイル発射を含め、北朝鮮による最近の核・ミサイル活動は、日本、地域、国際社会の平和と安全を脅かすものである旨述べた上で、北朝鮮の完全な非核化に向けて、外交的な取組の強化、安保理決議の完全な履行及び地域の抑止力強化の観点から、日米韓の連携を一層進めていきたい旨述べ、三者は認識の一致を見た。また、茂木大臣は、拉致問題について、引き続きの理解と協力を求め、両長官の支持を得た。三か国外相は、ミャンマー情勢、中国の動向を含む地域情勢や自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組についても意見交換を行った。また、気候変動等のグローバルな課題についても意見交換を行い、日米韓三か国による連携・協力を一層深めていくことで一致した。
2 二国間外相会談等(時系列順に記載)
(1)日英外相会談(9月22日)


茂木大臣とトラス外相は、日英安全保障・防衛協力の更なる推進を確認し、英国のTPP11加入交渉についても意見交換を行った。また、東シナ海や南シナ海、北朝鮮(先般の弾道ミサイル発射を始めとする最近の核・ミサイル活動及び拉致問題を含む)等の地域情勢、アフガニスタン情勢についても意見交換を行った。さらに、両外相は、G7を通じた連携を更に進めていくことで一致し、気候変動問題への対応や新型コロナ対策についても引き続き協力していくことを確認した。
(2)日米外相会談(9月22日)


茂木大臣とブリンケン国務長官は、日米同盟を今後とも強化していくことで一致するとともに、先週発表された米英豪安全保障パートナーシップも踏まえつつ、引き続き「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、日米、日米豪印、欧州との協力といった様々な枠組を通じて同盟国・同志国の協力を深めていくことを確認した。さらに、アフガニスタンや中国について意見交換を行ったほか、北朝鮮について、先般の弾道ミサイル発射を始めとする最近の核・ミサイル活動について意見交換するとともに、拉致問題の即時解決を含め北朝鮮への対応について日米の緊密な連携を再確認した。さらに、TPPを含むインド太平洋地域の国際秩序について戦略的な観点から議論を行い、その中で、茂木大臣から、米国のTPP復帰を促した。
(3)日韓外相会談(9月23日)

茂木大臣と鄭外交部長官は、先般の弾道ミサイル発射等を受け、北朝鮮の完全な非核化に向けて日韓間で引き続き緊密に連携していくことで一致した。また、二国間関係について率直な意見交換を行い、その中で、茂木大臣から、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦訴訟判決、その他の両国間の問題に関する日本の一貫した立場をしっかりと伝達しつつ、韓国側に適切な対応を改めて求めた。両外相は、今後とも、日韓関係を健全な関係に戻し、その上で幅広い分野で協力できるようにすべく、外交当局間の協議や意思疎通を加速していくことで一致した。
(4)日カタール外相会談(9月23日)


茂木大臣とムハンマド外相は、今後のアフガニスタンの政治プロセスにおける包摂性、女性の権利を含めた人権尊重の確保が重要であることを確認するとともに、関係者のアフガニスタンからの出国について協力していくことで一致した。
(5)日露外相会談(9月23日)


茂木大臣とラヴロフ外相は、平和条約締結問題、北方四島における共同経済活動、四島交流等事業、経済、人的交流、安全保障等の二国間関係や、国際情勢について議論した。茂木大臣から、平和条約締結問題を含め幅広く日露関係全体を互恵的に進展させていく考えである旨述べ、日露関係全体の発展に向けて、今後とも様々な機会を通じて議論を継続していくことでラヴロフ外相と一致した。また、両外相は、先般の弾道ミサイル発射等も踏まえ、北朝鮮についても意見交換し、茂木大臣から拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を求め、ラヴロフ外相から改めて支持があった。
(6)グテーレス国連事務総長との会談(9月23日)

(7)日仏外相会談(9月23日)
茂木大臣は、ル・ドリアン外相に対して、「インド太平洋国家」として日本にとり大切なパートナーであるフランスのインド太平洋地域への関与の増大及びEUのインド太平洋戦略を高く評価し、歓迎している旨伝え、両外相は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、安全保障分野を始め日本とフランス・EUとの協力を推進していくことで一致した。
(8)日インドネシア外相会談(9月23日)



茂木大臣とルトノ外相は、ミャンマー、北朝鮮(先般の弾道ミサイル発射を始めとする最近の核・ミサイル活動及び拉致問題を含む)、東シナ海・南シナ海等の地域情勢に加え、新型コロナ対策やインフラ協力について議論した。特にミャンマー情勢については、エルワンASEAN特使の活動を含む最近の動向等について意見交換し、今後も緊密に連携していくことで一致した。また、インドネシアは2022年にG20議長国、2023年にASEAN議長国を務めることから、地域・国際社会の諸課題に引き続き共に取り組んでいくことを確認した。
(9)日パキスタン外相会談(9月23日)


茂木大臣は、アフガニスタンから邦人や大使館・JICA現地職員等の安全な出国のためのパキスタンの協力に謝意を表明しつつ、引き続きの協力を要請した。クレーシ外相からは、協力を惜しまない旨の発言があった。また、両外相は、アフガニスタンにおける包括的な政治プロセス、人権尊重の確保といった目標を確認するとともに、同国が再びテロの温床となり、地域の不安定要因となることを回避すべく、国際社会と連携していくことで一致した。