外交青書・白書
第2章 地域別に見た外交

2 中国・モンゴルなど

(1)中国

ア 中国情勢
(ア)内政

3月に開催された第13期全国人民代表大会(「全人代」)第4回会議は、「第14次5カ年計画と2035年までの長期目標」を採択するとともに、香港の選挙制度を変更する決定を行った。7月1日には、中国共産党創立百周年祝賀大会が開催され、習近平(しゅうきんぺい)総書記が党創立百周年の目標とされていた「小康社会(ややゆとりのある社会)」の全面的実現を宣言した。

11月8日から12日にかけて開催された中国共産党第19期中央委員会第六回全体会議(「六中全会」)は、「党の百年奮闘の重要な成果と歴史的経験に関する中共中央の決議」を採択するとともに、第20回党大会を2022年の下半期に北京で開催することを決定した。中国共産党が歴史に関する決議を採択したのは、1945年、1981年に続き3回目である。

新疆(しんきょう)ウイグル自治区を始めとする中国の人権状況について、国際社会の関心は引き続き高く、2020年に続いて2021年も6月の国連人権理事会と10月の国連総会第3委員会において、新疆ウイグル自治区の人権状況に深刻な懸念を示す共同ステートメントが読み上げられ、日本はいずれのステートメントにもアジアから唯一の参加国として参加した(201ページ 特集「日本の人権外交の取組」2.(2)参照)。また、日本として、2021年10月の首脳電話会談で、岸田総理大臣より、香港情勢及び新疆ウイグル自治区の人権状況についても直接提起し、林外務大臣からも、11月の外相電話会談で王毅(おうき)国務委員兼外交部長に対し深刻な懸念を表明した。

2022年2月から3月にかけて、北京冬季オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、米国が、開催に先立つ2021年12月、中国における人権侵害に鑑みて、外交的又は公式の代表団を送らないと発表し、オーストラリア、英国、カナダなども同様の立場を表明する中、日本は、山下泰裕日本オリンピック委員会会長及び橋本聖子東京2020組織委員会会長がオリンピックに、また森和之日本パラリンピック委員会会長がパラリンピックに出席し、政府代表団は派遣しなかった。

香港においては、全人代における選挙制度変更の決定を受け、全人代常務委員会が3月30日に行政長官及び立法会の選挙制度を変更する香港基本法改正案を採択し、同改正法に基づき9月に予定されていた第7期立法会選挙は延期を経て12月19日に実施された。選挙制度変更に関わるこれらの動向に対しては、3月のG7外相声明8、5月のG7外務・開発大臣会合コミュニケ9、6月のG7首脳コミュニケ10及び12月のG7外相声明11において、それぞれ重大な懸念が表明されたほか、6月の国連人権理事会において読み上げられた共同ステートメントでは香港情勢についての深い懸念を表し、日本も同ステートメントに参加した。また、日本として、全人代及び全人代常務委員会の決定、並びに立法会選挙の実施に際し、外務報道官談話を発出し、香港において関連の選挙が幅広い政治的意見を代表する候補者を含む公正な形で実施されることを求めるとともに、重大な懸念を表明した。

(イ)経済

2021年通年の実質GDP成長率は前年比8.1%増となり、同年の目標値である前年比6%以上を達成した。

中国のGDPの推移
中国のGDPの推移

2021年上半期の実質GDP成長率は、新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」という。)の感染拡大の影響を受けた2020年からの反動もあり、前年同期比12.7%増と大きく経済の回復が進んだ。一方、2021年下半期に入ると、石炭などの原材料価格の上昇や半導体不足、一部地域での洪水、「ゼロコロナ」政策に加え、中国各地での電力制限や不動産市場の混乱など、成長の下押し圧力に直面し、上半期と比較して経済成長は減速した。

3月に開催された第13期全人代では、2016年から2020年までの第13次五カ年計画の主要目標・任務は成功裡(り)に達成したとするとともに、「2021年から2025年までの第14次五カ年計画及び2035年までの長期目標」が採択され、その後発表された。第14次五カ年計画では、科学技術での「自立」、「自強」、製造強国戦略の実施、国内・国際の双循環政策の促進、経済安全保障強化などが強調された。経済成長率目標は、毎年度の実際状況に応じて打ち出すとし、提示されなかった。また、2035年までの長期目標として、一人当たりGDPを「中等先進国」水準までに引き上げること、共同富裕の実質的進展などが提示された。

対外経済政策については、引き続き対外開放を継続していく方針を示した。9月にTPP11協定への加入を正式に申請したほか、11月には第4回中国国際輸入博覧会を開催した。また、日本や中国を含む10か国について地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が2022年1月1日に発効した。

12月に開催された中央経済工作会議では、2021年は党・国家の歴史において画期的な1年であり第一の100年の目標(共産党結党100周年の2021年までに小康社会を全面的に完成させること)を実現し、第二の100年の目標(建国100周年の2049年までに社会主義現代化強国の全面的な完成)に向かって新たにスタートし、第14次五カ年計画の良好なスタートを実現したと示した。一方で、中国の経済発展は需要の収縮、供給ショック、期待の弱さの三重の圧力に直面しているとした。2022年の経済政策の重点任務として、(1)マクロ政策は安定的で有効に、(2)ミクロ政策は市場主体(企業)の活力を持続的に刺激、(3)構造政策は国民経済の循環の円滑化に注力、(4)科学技術政策は着実に推進、(5)改革開放政策は発展の原動力を活性化、(6)地域政策は発展のバランス・協調性を強化、(7)社会政策は民生のボトムラインを守り抜くことを掲げた。これに加え、中国の発展は多くの新しい理論と実践問題に直面しており、正確な認識と把握が必要であるとし、共同富裕を実現するための戦略目標や資本の管理監督の強化、環境政策などにも言及した。

安定的に党・政権を運営するためには、一定の経済成長を確保しつつ国内外の各種課題に対応する必要があり、今後の経済財政政策の動向が注目される。

(ウ)新型コロナへの対応

中国から世界に感染が拡大した新型コロナについて、中国では2020年1月20日の習近平国家主席による重要指示を皮切りに、党中央のトップダウンの下、感染拡大の元となった湖北省武漢市及び省内全市のロックダウンが約2か月半にわたり行われるなど、厳格な感染防止措置が講じられた。感染拡大初期は「内防拡散、外防輸出(国内の拡散防止、国外への流出防止)」措置が全面的に実施されたが、感染の抑制が進むに従い「外防輸入、内防反弾(国外からの流入防止、国内でのリバウンド防止)」措置への方針転換が行われ、国内の市中感染が落ち着いた後も一貫して厳格な水際措置が講じられてきている。

感染防止措置の一環として、中国は、国内でのワクチン開発・生産を強力に推進し、全国民を対象に順次ワクチン接種を開始した。2021年12月29日の衛生当局による記者会見において、国内の接種率は89%に達したと発表した。

2021年後半以降、デルタ変異株の拡大を背景に局地的な市中感染が他地域へ拡大する例が散発したが、当局は医療機関からの診断報告や感染者の行動履歴などを基に感染源や濃厚接触者を迅速に特定するとともに、感染地区の移動制限、住民の集団PCR検査、集団隔離などの厳格な措置を講じ、比較的短期間で感染拡大を抑え込んできた。このような方針に関して、衛生当局は12月の記者会見において、市中感染の迅速な抑制に重点を置き、社会経済の発展と感染症対策のバランスを最大限考慮した現段階における中国の最良の選択であると説明している。

(エ)外交

新型コロナの発生以降、2020年1月の習近平国家主席のミャンマー訪問を最後に、中国要人の外国訪問は、楊潔篪(ようけつち)中国共産党中央政治局委員と王毅国務委員兼外交部長によるものに限られた。また、2021年に中国を訪問した各国要人の外交活動は、2022年2月の北京冬季オリンピック・パラリンピック競技大会の開幕前に至るまで、いずれも北京以外の地方都市で行われた。習近平国家主席は電話会談やオンライン会談などを通じた「元首外交」を展開し、米国、ロシア、欧州との関係の安定、周辺諸国との善隣友好、途上国との互恵協力を模索した。こうした中、中国と様々なレベルで緊張関係にある米国や欧州各国とも対話を重ねてきている。

2019年末以降、新型コロナが中国から世界に拡大する中、中国は、国産ワクチンの開発と生産を強力に推進するとともに、2021年6月には「一帯一路」ワクチン協力パートナーシップを提唱し、国際場裡(り)における中国製ワクチンの展開を推進した。また、COVAXファシリティを通じたワクチン支援も進めており、8月5日に中国の主催で開催された新型コロナワクチン協力国際フォーラムにおいては、習近平国家主席が、2021年1年間で全世界に向けて20億回分のワクチン提供を目指すとともに、COVAXファシリティに1億ドルを拠出することを決定したことを表明した。

米中間では、前年に引き続き様々な分野で厳しい対峙(じ)が見られると同時に、対話も維持された。就任後初の外交演説でバイデン大統領は、中国を「最も深刻な競争相手」と述べ、3月に発表された「国家安全保障戦略指針(暫定版)」では、中国を安定的で開かれた国際システムに対して持続的に挑戦し得る唯一の競争相手と位置付けた。中国は、2月の米中首脳電話会談後の発表で、「米中は和すれば共に栄え、争えば共に傷つく関係であり、協力は双方の唯一かつ正しい選択肢」であると述べた上で、「米国は中国の核心的利益を尊重し、慎重に行動すべき」と述べた。

米国は中国に対して、引き続き安全保障や人権上の懸念などを理由に、輸出入制限や投資規制を強化した。10月には、2020年1月にトランプ政権下で両国が署名した、いわゆる「第一段階合意」12の履行確保や、中国の不公正な貿易慣行の是正など、バイデン政権における対中通商政策を発表した。また、人権関連では、1月、ポンペオ国務長官は、中国当局がウイグル族などに対して、「ジェノサイド(集団虐殺)」を行ってきたと判断したと表明し、さらに新疆ウイグル自治区の人権状況を理由に、同自治区からの綿やトマト、太陽光パネル関連製品などの輸入留保措置を講じた。12月には、同自治区内で生産された製品などについて、原則として米国への輸入禁止の対象とみなす「ウイグル強制労働防止法」を成立させた。加えて米国は、香港の自治や新疆ウイグル自治区における人権の侵害を理由に、中国政府高官に対する資産凍結や米国への渡航禁止を発表し、これに対し中国は、6月に制定した「反外国制裁法」に基づき、同等の対抗措置を講じた。

一方、米中間では首脳間を始めとする対話のチャネルが維持された。バイデン大統領と習近平国家主席との間では、2月と9月に電話会談が、11月にはオンライン形式の会談が行われた。3時間半に及んだオンライン会談では、米中関係の複雑な性質と、両国が責任を持って競争を管理する重要性、両国の利益が合致する分野と、両国の利益、価値及び立場が相違する分野について議論が行われた。会談後、米国側は、バイデン大統領から、競争が紛争に発展しないことを確保し、連絡経路をオープンにするためのガードレールの必要性を述べたと発表した。首脳間のやりとりのほかに、3月にアラスカで、米国側からサリバン大統領補佐官とブリンケン国務長官が、中国側から楊潔篪中央政治局委員と王毅国務委員兼外交部長が出席する形で会談が実施され、7月にはシャーマン国務副長官が訪中した。10月にはサリバン大統領補佐官と楊潔篪中央政治局委員がスイスのチューリヒで会談を行ったのに続き、ブリンケン国務長官と王毅国務委員兼外交部長がローマで会談を行った。

また、バイデン政権は、気候変動などの分野では、4月にジョン・ケリー気候変動問題担当大統領特使が訪中して、解振華(かいしんか)中国気候変動問題特使らと協議し、米中両国は気候危機に対応するとの共同声明を発表した。ケリー特使は9月にも再訪中し、気候変動対応について中国側と協議を行った。また、英国グラスゴーで開かれた国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第26回締約国会議(COP26)期間中の11月10日、米中両国は、2020年代の重要な10年において、各々の加速化された行動を通じて、またUNFCCCプロセスを含む多国間プロセスにおける協力を通じて気候危機に取り組むことにコミットする米中共同宣言を発表し、主要な温室効果ガスの一つであるメタンガス削減に向けた取組などでの協力強化などを盛り込んだ。

米中両国間で安定的な関係が構築されることは、日本のみならず、国際社会全体の関心事であり、引き続き今後の動向が注目される。

(オ)軍事・安保

習近平国家主席は、第19回党大会(2017年)で、今世紀半ばまでに中国軍を世界一流の軍隊にすると述べた。また、2020年10月に発表された第19期党中央委員会第5回全体会議(「五中全会」)コミュニケでは、「2027年の建軍100周年の奮闘目標の実現を確保する」との新たな目標が示された。

中国の国防費は過去30年間で約42倍に増加しているが、予算の内訳、増額の意図については十分明らかにされていない。こうした中、中国は「軍民融合発展戦略」の下、核・ミサイル戦力や海・空軍戦力を中心として、軍事力を広範かつ急速に強化・近代化し、宇宙・サイバー・電磁波やAI、無人機といった新たな領域における優勢の確保も重視しており、「機械化・情報化・智能化による軍の近代化」を推進している。中国による不透明な軍事力の拡大は、東シナ海・南シナ海における一方的な現状変更の試み及び軍事活動の拡大・活発化と相まって、日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっている。2021年は、推定中国籍の潜水艦の接続水域内航行、日本を周回する中露艦艇による共同巡航、屋久島南での中国海軍観測艦による日本の領海内航行などの動きが確認された。

また、中国は、国連平和維持活動(PKO)のほか、各種人道支援、災害救援活動などにおいて、継続的に積極的な姿勢をとっている。

近年、中国は、政治面、経済面に加え、軍事面でも国際社会で大きな影響力を有するに至っている。疑念を払拭するためにも、中国が国防政策や軍事力の透明性を高めていくことが強く望まれる。日本としては、日中安保対話などの対話や交流、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムなどの意思疎通の枠組みを通じて、日中間の相互信頼関係を増進させながら、関係国と連携しつつ、透明性の向上について働きかけるとともに、日本を含む国際社会の懸念を払拭していくよう、強く促していく考えである。

イ 日中関係
(ア)二国間関係一般

日中両国間には隣国であるが故に様々な懸案も存在する。尖閣諸島をめぐる情勢、東シナ海、南シナ海における一方的な現状変更の試み、日本周辺における軍事活動の拡大・活発化は、日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念である。また、中国は、世界第2位の経済大国となり、様々な面で、その行動の国際社会への影響は増している。中国が、国際社会のルールに則(のっと)り、大国としての責任を果たし、国際社会の期待に応えていくことが重要である。同時に、隣国である中国との関係は、日本にとって最も重要な二国間関係の一つであり、両国は緊密な経済関係や人的・文化的交流を有している。中国に対して、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、共通の諸課題については協力するという「建設的かつ安定的な日中関係」を双方の努力で構築していくことが重要である。

2021年は、前年に引き続き、電話会談などを通じて首脳間を含むハイレベルでの意思疎通が継続的に行われ、両国間の様々な懸案を含め、二国間関係から地域・国際情勢に至る幅広い議題について意見交換を積み重ねた。

4月5日、茂木外務大臣と王毅国務委員兼外交部長との間で5度目の電話会談が行われた。両外相は、両国が共に責任ある大国として地域・国際社会に貢献していくことの重要性を確認し、2022年の日中国交正常化50周年に向けて幅広い分野で交流・対話が進むことへの期待を表明した。また、茂木外務大臣から、改めて中国海警船による尖閣領海への侵入、中国海警法、南シナ海情勢、香港情勢及び新疆ウイグル自治区の人権状況について深刻な懸念を伝達し、具体的な行動を強く求め、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を改めて求めた。

10月4日に岸田総理大臣が就任し、同月8日には日中首脳電話会談が行われた。岸田総理大臣からは、両国間の様々な懸案を率直に提起した上で、こうした問題を含め、今後対話を重ねていきたいと伝え、両首脳は共通の諸課題について協力していくことで一致した。また、岸田総理大臣は、日中国交正常化50周年である2022年を契機に、上記のような考え方に基づき、建設的かつ安定的な関係を共に構築していかなければならないと述べた。習近平主席からは、そうした考え方に対する賛意と共に日中関係を発展させていくことへの意欲が示された。両首脳は両国間の経済・国民交流を後押ししていくことで一致した。さらに、岸田総理大臣から、拉致問題を含む北朝鮮への対応について提起し、引き続き日中が連携していくことを確認した。

11月に林外務大臣が外務大臣に就任して間もなく、同月18日に王毅国務委員兼外交部長と電話会談を行った。林外務大臣から、2022年は日中国交正常化50周年であると言及しつつ、「建設的かつ安定的な日中関係」の構築を含め、10月8日に行われた日中首脳電話会談で両首脳が一致した共通認識の実現のため、王毅国務委員兼外交部長と共に努力していきたいと述べ、王毅国務委員兼外交部長から賛意の表明があった。また、林外務大臣から、尖閣諸島をめぐる情勢や東シナ海、南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区などの状況に対する深刻な懸念を表明するとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性につき述べた。さらに、林外務大臣から、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を強く求めた。その上で、こうした問題を含め、今後対話や協議を重ねていきたいと伝えた。両外相は、日中経済に関し、対話と実務協力を適切な形で進めていくことを確認するとともに、2022年の日中国交正常化50周年を契機に経済・国民交流を後押しすることで一致した。また、両外相は、気候変動問題や北朝鮮を含む国際情勢についても意見交換を行った。北朝鮮への対応については、林外務大臣から拉致問題の即時解決に向けた理解と支持を求め、両外相は引き続き緊密に連携していくことを確認した。

このほか、外交当局間では、新型コロナ下でも、6月の日中開発協力政策局長級協議8月の船越アジア大洋州局長と劉勁松(りゅうけいしょう)外交部アジア司長とのテレビ会議11月の日中経済パートナーシップ協議(次官級会合)など、日中間の意見交換が継続された。2月及び12月には、日中高級事務レベル海洋協議が開催され、東シナ海などに関する様々な問題について率直な意見交換を行った。

また、12月27日の岸信夫防衛大臣と魏鳳和(ぎほうわ)国務委員兼国防部長とのテレビ会談など、外交当局間以外の日中間協議も継続して行われた。

2022年2月21日、北京市内において、在中国日本大使館員が、その意に反して中国側当局により一時拘束されるという事案が発生した。本件は、外交関係に関するウィーン条約の明白な違反であり、到底看過できず、断じて受け入れられないことから、中国側に対し厳重な抗議を行うとともに、謝罪と再発防止を強く求めている。

(イ)日中経済関係

日中間の貿易・投資などの経済関係は、非常に緊密である。世界的な新型コロナの感染拡大は2020年来の日中経済に大きな影響を与え、引き続き日中間のビジネス関係者の往来も大きく制約されている。しかし、こうした中でも、2021年の日中間の経済活動は前年よりも大きな回復を見せ、同年の貿易総額(香港を除く。)は、約3,500億米ドルであり(前年比14.8%増)、中国は、日本にとって15年連続で最大の貿易相手国となった。また、日本の対中直接投資は、中国側統計によると、2020年は約33億7,400万米ドル(前年比9.3%減(投資額公表値を基に推計)、2021年の数値は未公表(2022年3月末時点))と、中国にとって国として第3位(第1位はシンガポール、第2位は韓国、第4位はオランダ、第5位は米国)の規模となっている。

新型コロナの感染拡大の影響でハイレベルを含む往来が制限される中でも、日中間の経済対話は引き続き行われた。10月に行われた日中首脳電話会談では、両首脳は両国間の経済・国民交流を後押ししていくことで一致した。11月に行われた日中外相電話会談では、両外相は、日中経済に関し、対話と実務協力を適切な形で進めていくことを確認した。また、同月には第15回日中経済パートナーシップ協議(次官級会合)が前年に続きオンライン形式で開催され、両国経済の現状、ビジネス環境、農産物貿易、知的財産、環境・省エネ、医療・ヘルスケアなどを含む両国間の課題・今後の協力や、気候変動、開発金融・債務問題、WTOを含む国際場裡(り)における課題・協力について幅広く意見交換を行った。日本側からは、日本企業の正当なビジネス活動や公平な競争条件の確保などについて改めて提起したほか、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を改めて強く求めた。また、日中双方は、日中経済に関し今回の協議を踏まえつつ、引き続き対話と実務協力を適切な形で進めていくことを確認するとともに、2022年の日中国交正常化50周年を契機に経済・国民交流を後押しすることで一致した。

そのほか、民間レベルの経済交流としては、12月に第7回日中企業家及び元政府高官対話(日中CEO等サミット)がオンライン形式で開催された。

日中貿易額の推移
日中貿易額の推移
日本の対中直接投資
日本の対中直接投資
(ウ)両国民間の相互理解の増進
〈日中間の人的交流の現状〉

中国との間では2020年11月30日から「ビジネストラック(ビジネスでの短期出張者を念頭に置いた措置)」、「レジデンストラック(長期滞在者などの往来を可能とする措置)」の運用が段階的に開始されたが、2021年1月14日、日本政府は全ての対象国・地域との運用を停止し、以来両トラックによる外国人の新規入国は認められていない。また、日本政府は新たな変異株に対する水際措置強化を同年11月30日から適用しており、その後2022年3月1日に一部緩和されたものの、いまだ人的往来の全面的な再開には至っていない。

中国からの訪日者数は、新型コロナの影響により前年に引き続き大幅に落ち込み、2021年は約4万2,000人(2022年3月末時点、日本政府観光局(JNTO)暫定値)と、訪日者数として過去最高を記録した2019年(約959万人、同確定値)比で99.6%減と、依然として低水準である。

〈日中青少年などの交流〉

2021年は、前年に続き、新型コロナの影響により国境を越える往来が制限される中、対面での交流事業は実施できなかったものの、対日理解促進交流プログラム「JENESYS」などにより、両国の学生・研究者の相互理解及び対日理解促進を目的とするオンライン交流を開催するなど、新たな交流の在り方を模索しつつ日中間の青少年交流を継続した。

「JENESYS2020」第2回日中大学生オンライン交流「私の理想の働き方」をテーマに日中の大学生40人が参加(10月28日)
「JENESYS2020」第2回日中大学生オンライン交流
「私の理想の働き方」をテーマに日中の大学生40人が参加(10月28日)
(エ)個別の懸案事項
〈東シナ海情勢〉

東シナ海では、尖閣諸島周辺海域における中国海警船による領海侵入が継続しており、また、中国軍も当該海空域での活動を質・量とも急速に拡大・活発化させている。

尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も日本固有の領土であり、現に日本はこれを有効に支配している。したがって、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない。日本が1895年に国際法上正当な手段で尖閣諸島を日本の領土に編入してから、東シナ海に石油埋蔵の可能性が指摘され尖閣諸島に対する注目が集まった1970年代に至るまで、中国は、日本による尖閣諸島の領有に対し、何ら異議を唱えてこなかった。中国側は、それまで異議を唱えてこなかったことについて、何ら説明を行っていない。その後、2008年に、中国公船が尖閣諸島周辺の日本領海内に初めて侵入した13

尖閣諸島周辺海域における中国海警船による領海侵入の回数は2021年の1年間で34回に上った(2020年の領海侵入回数は24回、2019年は32回)。2020年5月以降、中国海警船が尖閣諸島の日本の領海に侵入し、当該海域において日本漁船に接近しようとする動きが発生、継続している。2020年10月の事案においては領海侵入時間が過去最長となる57時間以上となった。また、2021年の接続水域内での年間航行日数が332日を記録したほか、同年2月から7月にかけて、接続水域内での連続航行日数は過去最高の157日を記録するなど情勢は厳しさを増している。尖閣諸島周辺の日本の領海で独自の主張をする中国海警船の活動は、そもそも国際法違反であり、このような中国による一方的な現状変更の試みに対しては、外交ルートを通じ、厳重な抗議と退去要求を繰り返し実施してきており、引き続き、日本の領土・領海・領空は断固として守り抜くとの決意の下、冷静かつ毅然と対応していく。

また、2020年6月、人民武装警察の権限や任務を規定する「中国人民武装警察法」が改正され、同法において、「海上権益擁護法執行」が武装警察の任務として明記された。2021年2月には中国海警局の海上権益擁護のための法執行の任務などを規定する「中国海警法」が施行されるなど、中国の海上権益擁護のための法整備が進んでいる。特に、中国海警法については、曖昧な適用海域や武器使用権限など、国際法との整合性の観点から問題がある規定が含まれており、この海警法によって、日本を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならないと考えており、こうした日本の深刻な懸念については中国側に対し伝えてきている。中国の法整備に係る動向については、引き続き高い関心をもって注視していく。

さらに、中国軍の艦艇・航空機による日本周辺海空域での活動も活発化している。2021年は、奄美大島東側接続水域における推定中国籍の潜水艦の航行、日本を周回する形での中露艦艇による共同巡航や、東シナ海から日本海などにおける中露共同飛行、屋久島南方での中国海軍観測艦による日本の領海内航行などの動きが確認された。また、航空機の活動についても引き続き活発であり、2012年秋以降、航空自衛隊による中国軍機に対する緊急発進の回数は高い水準で推移している。このような最近の中国軍の活動全般に対して、日本としては外交ルートを通じ提起してきている。

日中中間線付近において設置が確認された中国の海洋構造物(写真提供:防衛省)
日中中間線付近において設置が確認された中国の海洋構造物(写真提供:防衛省)
日中中間線付近において設置が確認された中国の海洋構造物(写真提供:防衛省)
詳細は、https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/higashi_shina/tachiba.html参照

加えて、東シナ海における日中間の排他的経済水域(EEZ)及び大陸棚の境界が未画定である中で、中国側の一方的な資源開発は続いている。政府は、日中の地理的中間線の中国側で、2013年6月から2016年5月にかけて新たに12基、それ以前から確認してきたものを含めると合計16基の構造物を確認している。このような一方的な開発行為は極めて遺憾であり、日本としては、中国側による関連の動向を把握するたびに、中国側に対して、一方的な開発行為を中止するとともに、東シナ海資源開発に関する日中間の協力についての「2008年合意」14の実施に関する交渉再開に早期に応じるよう強く求めてきている。なお、2019年6月に行われた安倍総理大臣と習近平国家主席との首脳会談においては、両首脳は資源開発に関する「2008年合意」を推進・実施し、東シナ海を「平和・協力・友好の海」とするとの目標を実現することで一致している。

また、東シナ海を始めとする日本周辺海域において、中国による日本の同意を得ない調査活動も継続しており、その都度、外交ルートを通じて中国側に申入れを行っている。

日中両国は、これらの懸案を適切に処理すべく、関係部局間の対話・交流の取組を進めている。2018年5月の李克強(りこくきょう)国務院総理訪日時に妥結し、同年6月に運用開始した日中防衛当局間の「海空連絡メカニズム」は、両国の相互理解の増進及び不測の衝突を回避・防止する上で大きな意義を有するものであり、最終調整段階にある「日中防衛当局間のホットライン」の早期開設に向けて調整を引き続き進めていく考えである。さらに、2018年10月の安倍総理大臣訪中時に署名された日中海上捜索・救助(SAR)協定により海上捜索救助分野における日中協力に関する法的枠組みが構築され、これまで以上に円滑かつ効率的な捜索救助活動が可能となることが期待される。

日中首脳会談を含む累次の機会に日本側から述べているように、東シナ海の安定なくして日中関係の真の改善はない。日中高級事務レベル海洋協議や他の関係部局間の協議を通じ、両国の関係者が直接、率直に意見交換を行うことは、信頼醸成及び協力強化の観点から極めて有意義である。日本政府としては、個別の懸案に係る日本の立場をしっかりと主張すると同時に、一つ一つ対話を積み重ね、引き続き意思疎通を強化していく。

〈大和堆(やまとたい)〉

日本海大和堆周辺水域において、中国漁船による違法操業が数多く確認されたことから、中国に対して、日本側の懸念や漁業者への指導などの対策強化を含む実効的措置をとるよう繰り返し強く申入れを行った。また、4月の日中外相電話会談の場でも、茂木外務大臣から王毅国務委員兼外交部長に強く要請した。

〈日本産食品輸入規制問題〉

中国政府による日本産食品・農産物に対する輸入規制については、2020年11月に日中外相間で立ち上げることで一致した「日中農水産物貿易協力メカニズム」での協議を継続しているほか、2021年4月の茂木外務大臣と王毅国務委員兼外交部長との日中外相会談や、同年11月の林外務大臣と王毅国務委員兼外交部長との日中外相電話会談など、あらゆる機会を通じて、中国側に対して早期撤廃を強く働きかけている。

〈邦人拘束事案〉

邦人拘束事案については、日本政府として、これまで首脳・外相会談など、日中間の様々な機会に早期解放に向けた働きかけを行ってきており、これまで5名が起訴前に解放され、3名が刑期を満了し帰国している。12月には上海市で邦人1名が新たに中国当局に拘束された。政府としては、あらゆるレベル・機会を通じて、早期解放、法執行及び司法プロセスにおける透明性、邦人の権利の適切な保護、公正公平の確保並びに人道的な取扱いを中国政府に対して強く求めてきているほか、邦人保護の観点から、領事面会やご家族との連絡など、できる限りの支援を行っている。

〈遺棄化学兵器問題〉

日本政府は、化学兵器禁止条約に基づき、中国における旧日本軍の遺棄化学兵器の廃棄処理事業に着実に取り組んできている。2021年は、新型コロナの影響を受ける中、吉林省敦化(とんか)市ハルバ嶺地区での廃棄処理や、中国各地における遺棄化学兵器の砲弾輸送などの事業を実施した(12月現在の遺棄化学兵器廃棄数は累計約5万8,000発)。

(2)台湾

ア 内政・経済

5月、台湾において新型コロナの市中感染が一時拡大し、ワクチン不足問題も背景に蔡英文(さいえいぶん)政権への世論の批判が強まった。しかしながら、6月以降の日本や米国などからのワクチン支援のほか、台湾自らがワクチンを十分に確保する体制が整い、厳しい水際措置や集会・外食制限などの措置が功を奏した結果、11月以降、新型コロナの感染者数はほぼゼロの低いレベルに抑えられた。

9月、野党・国民党の主席選挙が実施され、現職の江啓臣(こうけいしん)氏が敗北し、朱立倫(しゅりつりん)氏が党主席に就任した。12月に行われた「成長促進剤のラクトパミンを使用した豚肉輸入禁止」など4案に関する公民投票は、全ての提案の否決を呼びかける与党・民進党と可決を呼びかける野党・国民党が全面対決したが、いずれも反対票が賛成票を上回り、4案全てが否決される結果となった。

2021年の台湾経済は、特に上半期の電子製品、情報通信などに対する海外からの高い需要を背景に比較的好調が続き、年間実質GDP成長率予測は、プラス5.88%となった。9月には、TPP11協定への加入を正式に申請した。

イ 両岸関係・対外関係

10月9日の辛亥(しんがい)革命110周年記念大会において習近平国家主席は、両岸の平和的統一を目指す方針を表明しつつ、外部からの干渉を容認せず、主権と領土を守る中国の意思と能力を過小評価してはならないと強調した。これに対して翌10日に、蔡英文総統は、自主防衛努力を含め、両岸関係の「現状維持」に最大限努力していく姿勢を強調した。

近年、中国が軍事力の強化を急速に進める中、中台の軍事バランスは全体として中国側に有利な方向に変化している。中国は、台湾周辺での軍事活動を活発化させており、例えば、台湾国防部発表によれば、10月1日から4日の4日間にかけて延べ149機の中国軍機が台湾が定める防空識別圏に進入した。特に、10月4日の延べ56機は、2020年9月に台湾当局が中国軍機の動向を継続的に公表開始して以降、最多となった。

こうした中、2021年3月の日米「2+2」において台湾に言及したのを始め、同年には、日米首脳会談(4月)G7外務・開発大臣会合(5月)日EU定期首脳協議(5月)日豪「2+2」(6月)G7サミット(6月)、2022年に入ってからは、日豪首脳テレビ会談(1月)日米「2+2」(1月)日仏「2+2」(1月)日米首脳テレビ会談(1月)日米韓外相共同声明(2月)において、台湾海峡の平和と安定の重要性と両岸問題の平和的な解決を促すことについて一致してきている。また、10月には欧州議会がEU・台湾政治関係と協力に関する報告書を採択し、呉釗燮(ごしょうしょう)台湾外交部長や台湾経済ミッションがスロバキア、チェコなど欧州を歴訪、11月に欧州議会代表団が公式代表団として台湾を初訪問するなど、欧州・台湾関係が強化される動きも見られた。

一方、11月、中国政府は、台湾の行政院長、立法院長、外交部長を「頑固な台湾独立分子」として、中国への入国禁止などの制裁措置をとることを発表した。また、同月、リトアニアに「台湾代表処」が開設されると、中国はリトアニアとの外交関係を臨時代理大使級に格下げした。12月、ニカラグアは、台湾との断交を発表し、訪中していた代表団が中国との外交関係回復に係る共同コミュニケに署名した。この結果、台湾が外交関係を有する国は14か国となった(2016年の蔡政権発足後、8か国が台湾と断交)。

台湾は、2009年から2016年には世界保健機関(WHO)総会にオブザーバー参加していたが、2017年以降は参加できていない。日本は、従来、国際保健課題への対応に当たっては、地理的空白を生じさせるべきではないと一貫して主張してきた。特に今回の新型コロナのような、全世界に甚大な影響を与える感染症については、台湾のように、コロナ対策で実効的な措置をとり、成果を上げた地域を含め、世界各国・地域の情報や知見が、自由・透明・迅速な形で、広く共有されることが重要であると考えており、こうした観点から台湾のWHO総会へのオブザーバー参加を一貫して支持してきている。

ウ 日台関係

台湾は、日本にとって、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人である。日本と台湾との関係は、1972年の日中共同声明に従い、非政府間の実務関係として維持されている。日台双方の市民感情は総じて良好であり、公益財団法人日本台湾交流協会の調査(2019年2月実施)によれば、「日本に親しみを感じる(どちらかというと親しみを感じる)」と台湾住民の70%が回答し、台北駐日経済文化代表処の調査(2021年11月実施)によれば、「台湾に親しみを感じる(どちらかというと親しみを感じる)」と日本人の75%が回答したとの結果も出ている。

6月、日本は海外へのワクチン支援の第一弾として、台湾に対して124万回分のワクチン無償供与を実施(9月までに累計420万回分を供与)し、台湾側からは蔡英文総統、頼清徳(らいせいとく)副総統、蘇貞昌(そていしょう)行政院長らから、日本への謝意が繰り返し表明された(8ページ 巻頭特集囲みコラム参照)。同年9月には、台湾から日本に対しパルスオキシメーター及び酸素濃縮装置などの医療機材が寄贈された。

東日本大震災後に台湾が日本産食品に課している輸入規制については、2022年2月21日、福島県、群馬県、栃木県、茨城県、千葉県で生産・加工された農水産物・食品に対する輸入停止措置の緩和実施が発表された。日本側としては、台湾の残された輸入規制が、科学的根拠に基づいて早期に撤廃されるよう、引き続き台湾側に粘り強く働きかけていく。

(3)モンゴル

ア 内政

1月、新型コロナ対応に当たる現場当局に不手際があったことの責任を取るとして、フレルスフ内閣が総辞職した。これを受けて、オヨーンエルデネ内閣官房長官が新首相に就任し、新内閣が発足した。同首相は、前政権の路線を基本的に継続・踏襲すると発表し、政権運営を開始した。

6月、2020年の憲法改正後初の大統領選挙(直接選挙)が行われ、与党人民党の推薦を受けたフレルスフ前首相が70%近い得票率で圧勝し、大統領に就任した(任期6年、再選なし)。人民党出身の大統領誕生は12年ぶりとなった。

新型コロナの感染状況については、3月以降、1日当たり新規感染者数が急速に拡大し、9月には過去最高の3,963人を記録したものの、その後は徐々に減少している。オヨーンエルデネ内閣は前政権に引き続き、大規模な緊急経済対策を実施した。また、2月から国民へのワクチン接種を開始し、12月現在、全人口のうち92%が2回目の接種を完了しており、ブースター接種も開始した。なお、5月にモンゴル政府がファイザー製ワクチンを調達した際、日本政府は国連児童基金(UNICEF)を通じ、235万回分の同社製ワクチンの調達・供給を支援した。

一方、新型コロナ下でも経済活動が徐々に回復し、石炭や銅などの輸出が増加したことなどに伴い、2021年の政府経済統計では、前年比で輸出22.1%増、輸入29.2%増を記録した。また、12月の統計では、税収8.5%減、工業生産44.6%増を記録した。

イ 日・モンゴル関係

日本とモンゴルとの間では新型コロナによる往来の制限が続く中でも、普遍的価値を共有する地域の重要なパートナーとして「戦略的パートナーシップ」強化に向けた対話や協力が着実に実施された1年となった。

7月には、日本政府からの円借款によって建設され、三菱商事株式会社、成田国際空港株式会社、日本空港ビルデング株式会社、株式会社JALUXから構成される日本企業連合がモンゴル国営企業と共に設立した空港運営会社により運営されるチンギス・ハーン国際空港が開港した。開港式には、フレルスフ大統領、ハルタル道路・運輸開発相、バトツェツェグ外相などが出席し、菅総理大臣からの祝賀メッセージも披露された。同空港は、日本とモンゴルとの協力の新たな象徴となるものである。

また、同月には、オヨーンエルデネ首相が就任後初の外遊として訪日し、菅総理大臣との間で首脳会談が行われた。両首脳は、2022年の両国外交関係樹立50周年を「青少年交流推進年」とすること、また、50周年に向け様々な分野で協力を深めていくことで一致した。加えて、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力や、地域・国際場裡での協力・連携を一層進めていくことで一致した。また、同首相は訪日中、2020年東京オリンピック競技大会の開会式に出席した。

12月、林外務大臣とバトツェツェグ外相との間でテレビ会談が行われ、2022年の日本・モンゴル外交関係樹立50周年を、新型コロナを乗り越え国民交流回復の年とするとともに、これまでの50年を振り返り、次の50年に向けての礎、絆(きずな)をつくる年とすることで一致した。

日・モンゴル首脳会談(7月22日、東京)
日・モンゴル首脳会談(7月22日、東京)
チンギス・ハーン国際空港の開港式典(7月4日、モンゴル・ウランバートル)
チンギス・ハーン国際空港の開港式典
(7月4日、モンゴル・ウランバートル)

8 香港の選挙制度の変更に関するG7外相声明:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_000504.html

香港の選挙制度の変更に関するG7外相声明QRコード

9 G7外務・開発大臣会合コミュニケ:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100187048.pdf

G7外務・開発大臣会合コミュニケQRコード

10 G7カービスベイ首脳コミュニケ:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100200083.pdf

G7カービスベイ首脳コミュニケQRコード

11 香港立法会選挙に関するG7外相声明:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press3_000683.html

香港立法会選挙に関するG7外相声明QRコード

12 中国が米国産品の輸入拡大や知的財産権保護などを約束。また、米中双方が追加関税措置の一部見送りや引下げ(ただし、大部分は据え置き)で合意

13 尖閣諸島に関する日本政府の立場については外務省ホームページ参照:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/index.html

外務省ホームページ掲載箇所QRコード

14 2008年合意についての外務省のホームページの掲載箇所はこちら:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/higashi_shina/press.html

外務省ホームページ掲載箇所QRコード
このページのトップへ戻る
青書・白書・提言へ戻る