中華人民共和国

令和2年11月24日
(写真1)記念撮影する日中外相
(写真2)日中外相会談の様子
(写真3)日中共同記者発表の様子

 茂木敏充外務大臣は、24日午後5時30分頃から、王毅(おう・き)国務委員兼外交部長との間で日中外相会談(約1時間30分)及びワーキング・ディナー(約1時間10分)を行ったところ、概要以下のとおり(先方:孔鉉佑・駐日中国大使、呉江浩・外交部部長助理ほか、当方:森外務審議官、滝崎アジア大洋州局長ほか同席。)。また、夕食会に先立ち、茂木大臣と王毅国務委員は、テタテ会談(双方通訳のみ同席、約30分)を行った。

1 冒頭発言(日中外相会談)

  • (1)茂木大臣から、概要以下のとおり述べた。
    • ア 王毅・国務委員の来訪を歓迎。2月以来の対面での外相会談の開催を嬉しく思う。今回の王国務委員の訪日が、新型コロナ感染拡大により中断していた日中の要人往来の再開であるとともに、菅政権発足後初の日中ハイレベルの対面での会談となる。
    • イ 日中両国の安定した関係は、地域・国際社会にとっても極めて重要である。また、共に責任ある大国として、コロナ対策、気候変動、貿易・投資など国際社会が直面する重要課題に取り組み、貢献していく必要がある。それは、日中関係の強化にもつながると考える。
    • ウ 本日も二国間、地域・国際社会における互いの関心事項について、忌憚のない意見交換を行いたい。
  • (2)これに対し、王毅国務委員兼外交部長から、概要以下のとおり述べた。
    • ア 改めて日本を訪問することができ大変嬉しい。本日、新型コロナ感染症にもかかわらず、初の対面での会談を実現できたが、それは大変時宜にかなったことであり、大変有意義である。
    • イ 新たな情勢の下、日中双方は、感染症対策などの各分野における協力を深化させ、新時代の情勢に合致する日中関係の構築を確実に推進し、地域、引いては世界の平和・安定の発展を促進するために貢献していくべきである。

2 日中関係総論

  • (1)双方は、安定した日中関係が地域及び国際社会の平和、安定、繁栄にとって重要であり、日中両国が共に責任ある大国として、地域・国際社会の諸課題に取り組み、貢献していくことが日中関係の更なる強化につながることを確認した。
  • (2)双方は、王毅国務委員兼外交部長の訪日による要人往来の再開を歓迎しつつ、引き続き、ハイレベルでの意思疎通の重要性を確認した。この関連で、双方は、本年に続き策定した「日本国外務省と中華人民共和国外交部との間の2021年の交流・協力の年間計画」(和文(PDF)別ウィンドウで開く)に基づき、引き続き、様々な分野の外交当局間の対話を前進させることで一致した。

3 経済・実務協力

  • (1)双方は、新型コロナに関し、自由・透明・迅速な形での情報・教訓・知見の共有をはじめ、両国が外交当局間を含む様々なルートで引き続き連携していくことを確認した。
  • (2)茂木大臣から、来年3月に東日本大震災から10年目の節目を迎えることも踏まえ、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を改めて強く求めた。その上で、双方は、この解決に向けた協議を加速すべく、「日中農水産物貿易協力メカニズム」を立ち上げることで一致しました。また、日本産牛肉の輸出再開及び日本産精米の輸出拡大の早期実現を改めて要請しました。
  • (3)双方は、今般、外相会談で、日中間の人の往来の仕組み、ビジネス・トラック、また、レジデンス・トラックを11月中に開始することで合意に至ったことを歓迎した。この関連で、茂木大臣から、今回の合意が日中経済の再活性化に資するとともに、相互理解の促進にもつながることを期待する旨述べた。
  • (4)茂木大臣からは、日中経済の更なる発展のためには、真に公平、公正かつ安定的なビジネス環境の構築が不可欠である旨述べつつ、日本企業のビジネス活動を守り、また、公平な競争条件を確保することを改めて要請した。
  • (5)双方は、農産品貿易、人的往来・観光、環境・省エネ等、双方の関心や方向性が一致している分野において協力を更に進めていくことで一致した。また、気候変動問題に関し、日中間で話し合いの枠組み作りも含め、意思疎通を強化していくことで一致した。

4 人的・文化交流

 双方は、来夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会、再来年冬の北京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功のために協力していくことを確認した。また、日中国交正常化50周年を迎えることも念頭に、両国の交流促進についても議論し、中長期的な両国関係の発展のため、青少年交流を後押ししていくことを確認した。

5 海洋・安全保障

  • (1)茂木大臣からは、尖閣諸島周辺海域等の東シナ海における最近の情勢を踏まえ、個別の事象にも言及しつつ、我が国の懸念を伝達し、海洋・安全保障分野について、中国側の前向きな行動を強く求めた。また、大和堆周辺水域における中国漁船の違法操業について、再発防止や漁業者への指導の徹底を改めて強く要請した。
  • (2)双方は、これまでハイレベルにおいて確認してきた、東シナ海を「平和・協力・友好の海」とするとの方向性を改めて確認し、海洋・安全保障分野での取組を推進していくことで一致した。日中防衛当局間の海空連絡メカニズムに基づくホットラインについて、開設に向けた調整が進展していることを歓迎した。

6 国際社会への貢献

  • (1)双方は、先般署名に至ったRCEP協定について、早期発効に向けて協力していくことで一致した。
  • (2)茂木大臣から、日中両国が共に大国としての責任を果たしていくとの観点から、債務問題、資金協力、気候変動、貿易・投資、軍備管理・軍縮といった分野における中国側の取組を促した。

7 邦人拘束

 茂木大臣から、邦人拘束事案について、中国側に前向きな対応を改めて強く要請した。

8 国際社会の関心事項

  • (1)香港情勢に関しては、茂木大臣から、立法会議員の資格喪失の件を含む一連の動向への懸念を伝達し、「一国二制度」の下、自由で開かれた香港が繁栄していくことが重要であり、中国側の適切な対応を強く求めた。
  • (2)茂木大臣から、地域・国際社会に共に貢献していく上で、自由、人権の尊重や法の支配といった普遍的価値を重視していると述べた上で、国際社会からの関心が高まっている新疆ウイグル自治区の人権状況について中国政府が透明性を持った説明をすることを働きかけた。

9 地域情勢

  • (1)北朝鮮情勢
     双方は、最近の北朝鮮情勢について意見交換を行い、朝鮮半島の非核化に向けて連携していくこと、及び安保理決議の完全な履行の重要性について一致した。また、拉致問題に関し、茂木大臣から、早期解決に向けた理解と支持を求めた。

  • (2)南シナ海
     茂木大臣から、国際社会の関心事項である南シナ海問題について、現状への懸念を述べるとともに、法の支配や自制の重要性を指摘した。

  • (3)米中関係
     双方は、米中関係についても意見交換を行い、茂木大臣からは、安定した米中関係は地域・国際社会の利益であることを述べつつ、中国側がそうした観点から適切に対応することを求めた。

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