欧州連合(EU)
第27回日EU定期首脳協議(概要)
令和3年5月27日



5月27日(木曜日)午後5時頃から約1時間弱、菅義偉内閣総理大臣は、シャルル・ミシェル欧州理事会議長(H.E.Mr. Charles Michel, President of the European Council)及びウァズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長(H.E.Dr. Ursula von der Leyen, President of the European Commission)との間で、第27回日EU定期首脳協議をテレビ会議形式で行いました。本協議は、昨年9月の菅総理の就任後、初の三者での会談です。本協議終了後に、日EU間で共同声明(骨子(PDF)、和文(PDF)
、英文(PDF)
)及び日EUグリーン・アライアンスに関する文書(骨子(PDF)
、和文(PDF)
、英文(PDF)
)を発出しました。定期首脳協議の概要は以下のとおりです。
1 自由で開かれたインド太平洋
- (1) 菅総理から、4月に公表された「インド太平洋における協力のためのEU戦略」を歓迎する旨述べ、双方は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化することが重要であり、これを損なう行動に対しては結束して声を上げていく必要があることで一致しました。
- (2) 双方は、EUがインド太平洋でのプレゼンスを拡大し、日EU協力を進めていくことの重要性を確認すると共にASEANの中心性、一体性と「インド太平洋に関するASEANアウトルック」を支持することを確認しました。
2 グローバルな課題
- (1) 双方は、「日EUグリーン・アライアンス」の立ち上げを発表し、エネルギー移行、イノベーション、途上国の脱炭素移行支援など多様な分野で協力を進め、日EUで気候変動対策、環境対策の取組を加速し、国際社会をリードしていくことで一致しました。
- (2)菅総理から、6月2日に日本政府とGaviが共催するCOVAXワクチン・サミットへのフォン・デア・ライエン委員長の出席を歓迎し、EU及び加盟国の協力への期待を表明しました。
- (3) 菅総理は、EU加盟国からの円滑なワクチン輸出の継続を要請し、EU側の理解を得ました。
3 日EU関係
- (1)双方は、日EU・EPAを引き続き着実に実施すること、WTO改革やデジタル分野でも日EUで連携していくことを確認しました。双方は、日EU・SPAや日EU連結性パートナーシップに基づく協力の進展を歓迎し、安全保障分野を含め、引き続き具体的協力を推進していくことで一致しました。
- (2)菅総理から、本年は東日本大震災から10年という節目の年であることに言及し、EUによる日本産食品への輸入規制を速やかに撤廃するよう改めて要請しました。
- (3)菅総理から、本年夏、世界の団結の象徴として、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を実現する決意を伝え、EU側から東京大会の開催を楽しみにしている旨の発言がありました。2025年に開催予定の大阪・関西万博について、菅総理から、EUの早期の参加表明に期待を述べました。
4 地域情勢
- (1)中国については、双方は、東シナ海や南シナ海の情勢について意見交換を行い、菅総理から海警法を含む最近の中国の動向について深刻な懸念を表明するとともに、双方は一方的な現状変更の試みの継続・強化に強く反対することについて一致しました。また、香港情勢及び新疆ウイグル自治区の人権状況について深刻な懸念を共有しました。双方は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促すことで一致しました。
- (2)北朝鮮については、双方は、北朝鮮の大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄の実現に向けた安保理決議の完全な履行で一致し、菅総理から、拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を求め、EUから支持を得ました。
- (3)他にミャンマー、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、中東情勢等について議論を行いました。
5 次回の定期首脳協議
双方は、次回日EU定期首脳協議を対面で開催すべく調整していくことで一致し、菅総理から、両首脳の訪日を心待ちにしている旨述べました。