1 東部アフリカ地域

(1)ウガンダ
ウガンダは、1986年以来、ムセベニ大統領による長期政権の下、安定した内政を背景とした経済成長を維持しており、東部アフリカの主要国として地域の安定に貢献している。国内北部に滞在する南スーダン難民数が100万人を超え、ウガンダ政府の負担が増加する中、6月、グテーレス国連事務総長とムセベニ大統領の共催で難民連帯サミットが同国で開催され、日本からは岸外務副大臣が参加した。
また、8月にモザンビークで開催されたTICAD閣僚会合の際には、河野外務大臣とクテサ外相との間で会談が行われ、両国の友好協力関係が確認された。

(2)エチオピア
東部アフリカ地域最大の人口(1億人強)を有するエチオピアは、アフリカ連合(AU)本部が置かれるほか、同地域8か国から成る政府間開発機構(IGAD)の議長国を務め、域内で重要な政治的役割を果たしている。2017年1月から2年間、国連安保理非常任理事国を務めている。経済面では堅調な成長を続け、中所得国入りを目指している。
8月には河野外務大臣がエチオピアを訪問し、ウォックナー外相との間で会談を行ったほか、9月には北朝鮮による核実験実施を受け、外相電話会談が行われた。また、11月には佐藤外務副大臣がエチオピアを訪問した。エチオピアからは、6月にデメケ副首相が訪日し、安倍総理大臣を表敬し、両国の友好協力関係の強化が確認された。

(3)ケニア
東部アフリカの玄関口であり、同地域の経済を牽引(けんいん)するケニアは、「自由で開かれたインド太平洋戦略」上の重要国である。2017年には、ケニヤッタ大統領が再選を果たした。
5月に訪日したアミナ外務長官は、安倍総理大臣を表敬し、岸田外務大臣との間で会談を行った。8月のTICAD閣僚会合の際には、河野外務大臣とアミナ外務長官との間で会談が行われた。日・ケニア投資協定が発効する等、両国関係は一層緊密化している。

(4)ジブチ
ジブチは、インド洋を挟んでヨーロッパとアジア諸国を結ぶ世界貿易の大動脈に面しており、地域の物流ハブを目指している。また、国際安全保障上の拠点であるとともに、「自由で開かれたインド太平洋戦略」上の重要国でもある。
ジブチは、2011年から海賊対処行動のための自衛隊の拠点を受け入れており、二国間関係は非常に良好である。8月のTICAD閣僚会合の際には、河野外務大臣とユスフ外務・国際協力相との間で会談が行われ、二国間関係の一層の強化が確認された。

(5)ソマリア
内戦からの再建に向け、日本を含む国際社会は、ソマリアの国造りを支援している。2月に新大統領が選出され、5月にソマリアに関するロンドン会合が開催された。干ばつ等の影響による人道危機や、アル・シャバーブ(AS)の活動は継続しているものの、治安の安定化や経済発展に向けた取組が進められている。
2月に岸外務副大臣がアルテ副首相と、5月に武井外務大臣政務官がガラド外務・国際協力相と、9月に薗浦総理大臣補佐官が同大臣とそれぞれ会談を行った。
(6)スーダン
スーダンは、南スーダン情勢を含め、東部アフリカ地域の安定において重要な役割を果たす国である。スーダンのダルフール地方等では治安が改善傾向にあり、国連・アフリカ連合の合同PKO(UNAMID)の規模が縮小されつつある。また、10月には、米国の経済制裁が解除される等、欧米諸国との関係も改善しつつある。
8月のTICAD閣僚会合の際には、堀井学外務大臣政務官とアタルマナーン外務担当国務相との間で会談が行われ、関係強化に向けた協力が確認された。
(7)タンザニア
安定した政治と経済成長、東部アフリカ地域で第2の人口(5,700万人強)を有するタンザニアは、経済面でも、過去10年以上にわたり高い成長率を維持し、民間企業の有力な貿易・投資先として注目を集めてきた。独立以来、内政が安定し、周辺諸国から長年多くの難民を受け入れる等、大湖地域の平和と安定にも貢献している。
日・タンザニア投資協定の交渉が行われており、9月には第4回会合が開催された。
(8)マダガスカル
東部・南部アフリカに近接したインド洋上に位置する資源豊かなマダガスカルは、「自由で開かれたインド太平洋戦略」上の重要国である。
日本との関係では、7月に官民インフラ会議がマダガスカルで行われた。また、12月には、ラジャオナリマンピアニナ大統領が訪日し、首脳会談が行われたほか、同行のラバリ・ンジャカ外相と河野外務大臣の間でも会談が行われ、二国間関係の一層の強化が確認された。
マダガスカルにおける、世界最大級のニッケル・コバルト地金の一貫生産事業には、日本企業が進出している。日本政府は、資源の積出し港となる国内最大のトアマシナ港の拡張工事を円借款で支援している。

(9)南スーダン
2011年7月にスーダン共和国から分離独立した南スーダンでは、首都ジュバ以外の一部地域において、武力衝突や殺傷事件が引き続き発生しているが、5月以降は、政治的な対話を通じて問題解決を目指す動きが活発化している。国内各地で国民対話が進んでいるほか、12月には、2015年の「衝突解決合意」を再活性化するための会議が、東部アフリカ地域8か国から成る政府間開発機構(IGAD)の主催で開催された。
日本は、5月末に国連南スーダンミッション(UNMISS)から自衛隊施設部隊を撤収する一方(司令部要員の派遣は継続)、IGADの活動や国民対話への支援、人材育成、人道支援等を継続している。8月のTICAD閣僚会合の際には、河野外務大臣とデン・アロール外相との間で会談が行われた。また、12月には、佐藤外務副大臣がジュバを訪問し、キール大統領への表敬等を行った。

(10)モーリシャス
モーリシャスは、インド洋委員会(IOC)や環インド洋連合(IORA)の本部事務局が置かれており、「自由で開かれたインド太平洋戦略」上の重要国である。同国は、IT産業や金融分野を中心に産業の多角化を進め、世界銀行のビジネスのし易さに関するランキングでアフリカ第1位を維持している。
1月に在モーリシャス日本国大使館が開館したことを受け、6月には薗浦外務副大臣、7月に末松信介国土交通副大臣が訪問し、経済・インフラ関係を始めとする二国間関係の一層の強化が確認された。
(11)ルワンダ
1994年に発生した大虐殺の傷跡からの復興を目指し、2000年に就任したカガメ大統領のリーダーシップの下、経済開発及び国民融和に向けた努力が続けられている。8月の大統領選挙で再選されたカガメ大統領は、農業中心の経済からの脱却を目指した施策を講じており、特に情報通信技術(ICT)分野において急速な発展が見られる。
8月のTICAD閣僚会合の際に、河野外務大臣とムシキワボ外務・地域協力・東アフリカ共同体(EAC)相との間で会談が行われた。
