国連外交

令和2年9月25日

 日本は国連加盟国中最多となる11回目の安保理非常任理事国の任期を2017年末に終えました。非常任理事国であった2年間(2016年1月~2017年12月)世界の平和と安定のために、幅広い課題に積極的に取り組んできました。

北朝鮮への対応

 日本が安保理理事国を務めた2年の間、北朝鮮は3回の核実験に加え、米国東海岸も射程に収める長距離弾道(ICBM)級を含む、40発もの弾道ミサイル発射を強行しました。我が国は米国などの関係国と緊密に連携し、安保理における安保理決議採択に関する議論を主導しました。その結果、我が国の任期中に北朝鮮に対する制裁措置を前例のないレベルにまで一層高める強力な安保理決議第2397号を含む計6本の決議が採択されました。
 また、2017年12月には河野外務大臣が安保理議長として「不拡散(北朝鮮)」に関する安保理閣僚級会合を主催しました。同会合では、国際社会は核武装した北朝鮮を決して受け入れず、全ての国連加盟国による安保理決議の完全履行が不可欠であるとの一致したメッセージを発出しました。

アフリカ・中東を始めとする地域情勢への対応

 日本はアフリカ・中東情勢をめぐる安保理の活動にも積極的に貢献をしました。安保理の議題の約6割はアフリカの問題であり、我が国は、流動的な地域情勢を客観的かつ正確に見極めるべく努力し、アフリカの紛争予防と中長期的な発展・安定のために、安保理を効率的かつタイムリーに活用することに努めました。特に、2016年7月には安保理議長国として「アフリカにおける平和構築」に関する公開討論を開催しました。同会合では、多数の参加国が日本のイニシアティブを評価し、アフリカにおける平和構築のために、制度構築、人材育成、信頼構築、法の支配、科学技術を活用することの重要性を強調する国連安保理議長声明が採択されました。
 また、中東情勢に関しても、シリアやイエメン、中東和平、アフガニスタンなどの難しい課題に前進を得るべく、シリアの人道状況やアフガニスタンに関する決議案等の作成を主導するなど、積極的に活動に貢献しました。

安保理の機能の拡大

 近年、安保理が伝統的な国家間の紛争や内戦に加え、気候変動、飢饉、感染症等の幅広い問題について会合を開催してきた流れを踏まえ、2017年12月には、「国際の平和と安全に対する複合的な現代的課題への対処」に関する安保理公開討論を主催しました。日本は、このような複合的な現代的な脅威に対し、安保理が国際の平和及び安全の観点から効果的に対処できるよう人間の安全保障や平和の持続の考え方にも基づきつつ議論に貢献していきます。

安保理の作業方法改善のための取組等

(写真1)「安保理閣僚級会合にて議長を務める河野外務大臣」(2017年12月15日、米国・ニューヨーク) 「安保理閣僚級会合にて議長を務める河野外務大臣」
(2017年12月15日、米国・ニューヨーク)

 日本は、国連加盟国中最多(11回目)となる非常任理事国としての経験を生かし、安保理の文書手続作業部会の議長として、特に、安保理入りを控えた非常任理事国が事前に安保理の手続に習熟し、より効率的に準備を行えるようにするなど、安保理の透明性向上や運営改善といった作業方法の改善に向けた議論を主導してきました。2016年7月には安保理議長国として公開討論を開催し、その後の議論を踏まえ、2017年8月、安保理作業方法に関する包括的、体系的な議長ノートを改訂しました。

 今後も、国際社会の平和と安全の維持に貢献し続けるために、日本の常任理事国入りを含む安保理改革が実現するまでの間、可能な限り頻繁に理事国となるべく努めていく考えです。この観点から、非常任理事国としての任期が終わる2017年12月、日本は、2022年安保理非常任理事国選挙(任期は2023~2024年)への立候補を発表しました。

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