アメリカ合衆国

平成29年11月6日
握手を交わす両首脳
(写真提供:内閣広報室)
儀じょう隊による栄誉礼及び儀じょう
(写真提供:内閣広報室)
儀じょう隊による栄誉礼及び儀じょう
(写真提供:内閣広報室)

 6日,安倍晋三内閣総理大臣は,ドナルド・トランプ米国大統領(The Honorable Donald Trump, President of the United States of America)と日米首脳ワーキングランチ及び日米首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。

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    儀じょう隊による栄誉礼及び儀じょう
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    赤坂迎賓館を散策する両首脳
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    赤坂迎賓館の池で鯉の餌やりをする両首脳
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1 日米首脳ワーキングランチ

(1)6日午後12時10分頃から約70分間,安倍総理は,トランプ米国大統領とワーキングランチを行いました。日本側から,河野外務大臣,西村官房副長官,谷内国家安全保障局長,佐々江駐米大使ら,先方から,ティラソン国務長官,ケリー大統領首席補佐官,ライトハイザー通商代表,マクマスター大統領補佐官,ハガティ駐日米国大使らが出席しました。

(2)冒頭,安倍総理から以下の旨を述べました。
 テキサスでの銃乱射事件で命を奪われた方々,負傷された方々,そして大統領に対し,心から哀悼とお見舞いを申し上げる。改めてトランプ大統領とメラニア夫人の訪日を心から歓迎したい。昨日は大統領とゴルフを楽しみ,そして夕食を共にすることができ,大変楽しい一日を過ごすことができた。本日は北朝鮮の問題を始め,世界の様々な課題について率直な議論をしたい。日米同盟はアジア太平洋地域,そして世界の平和と安定の礎である。今回の大統領の訪日を機会に,日米同盟を更に確固たる,揺るぎないものにしていきたい。

(3)これを受け,トランプ大統領から以下の旨を述べました。
 この二日間は,本当に素晴らしい二日間になった。安倍総理とは非常に親しい友達となることができた。安倍総理,昭恵夫人と一緒に過ごすことはとても特別である。松山選手を交えてゴルフをプレーできたのは本当に楽しかった。一緒に過ごした時間はとても生産的で楽しかった。これから貿易,北朝鮮等について議論したい。この二日間は本当に特別だった。アメリカを代表して総理始め日本に対し,感謝を申し上げたい。これから関係が更によくなることを期待している。

(4)引き続き両首脳は,北朝鮮,地域情勢,沖縄を含む二国間の安保情勢について議論を行いました。

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    ワーキングランチ
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    ワーキングランチ
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2 日米首脳会談

(1)ワーキングランチに続いて,午後1時30分頃から約35分間,日米首脳会談が開催されました。ワーキングランチの出席者に加え,日本側から,麻生副総理,世耕経産大臣らが出席しました。

(2)冒頭,安倍総理から,先ほどのワーキングランチでは,北朝鮮問題,国際的な問題について深い議論をすることができた,この首脳会談では引き続き地域情勢や経済問題,二国間関係について議論したい旨を述べました。

(3)これを受け,トランプ大統領から,先ほどのワーキングランチでは,北朝鮮や貿易等について,非常に生産的な議論ができ,非常にいい会合であった,貿易の不均衡の是正等が実現することを確信している,日本とは素晴らしい友好関係を有している旨の発言がありました。

(4)首脳会談では,ワーキングランチに引き続き,地域・国際情勢について議論されるとともに,経済についても議論されました。

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    握手を交わす両首脳
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    日米首脳会談
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3 成果

 日米首脳ワーキングランチ及び日米首脳会談の成果は以下のとおりです。

(1)北朝鮮

ア 総論

 両首脳は,日米両国が北朝鮮問題に関し100パーセント共にあること,日米同盟に基づくプレゼンスを基盤とする地域への米国のコミットメントは揺らぎないことを確認するとともに,核及び通常戦力の双方によるあらゆる種類の米国の軍事力を通じた日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを改めて確認しました。

イ 圧力強化

 両首脳は,今は対話ではなく北朝鮮に最大限の圧力をかける局面であるとの考えで一致するとともに,北朝鮮が朝鮮半島の非核化に向けて政策を変更しない限り,北朝鮮に明るい未来はないとの認識を共有しました。
 安倍総理から,我が国として更なる対北朝鮮措置をとる考えである旨述べ,トランプ大統領は,これを歓迎しました。
 両首脳は,より多くの国々が,北朝鮮との「外交」関係や経済関係を縮小し,北朝鮮籍海外労働者の受入れなどを減らすための措置を取ったことを高く評価するとともに,引き続き緊密に連携して働きかけることで一致しました。
 両首脳は,日米韓3か国の連携が深まっていることを歓迎するとともに,こうした協力を更に前に進めていくことを確認しました。
 両首脳は,北朝鮮に関する関連安保理決議の完全な履行が不可欠であるとの認識を改めて確認し,各々の相手方への直接の関与を含め,中国,ロシアを含む関係国に働きかけ,国際社会全体で北朝鮮に対する圧力を最大限まで強化していくことを確認しました。

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    拉致被害者御家族との面会
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    握手を交わす両首脳
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(2)地域・国際情勢

ア 自由で開かれたインド太平洋戦略

 両首脳は,法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が,国際社会の安定と繁栄の基礎であることを確認するとともに,全ての国に,航行及び飛行の自由並びに国際法に適法な海洋の利用を尊重することを求め,両国が,国際法で認められる飛行,航行及び行動を行うことを再確認しました。両首脳は,莫大な人口と経済的ダイナミズム等の観点から,世界の活力の中核であるインド太平洋地域が有する重要性を強調しました。
 また,両首脳は,日米が主導してインド太平洋を自由で開かれたものとすることにより,この地域全体の平和と繁栄を確保していくため,以下の三本柱の施策を進めることを確認し,関連する閣僚,機関に具体的な協力策の検討を指示しました。

  • (ア)法の支配,航行の自由等の基本的価値の普及・定着
  • (イ)連結性の向上等による経済的繁栄の追求
  • (ウ)海上法執行能力構築支援等の平和と安定のための取組

 両首脳は,こうした考え方に賛同するいずれの国とも協働して重層的な協力関係を構築していくことを確認しました。

イ 東シナ海及び南シナ海

 両首脳は,東シナ海及び南シナ海における状況について懸念を表明し,現状を変更し緊張を高める,威圧的な一方的行動への反対を再確認しました。両首脳は,海洋紛争が国際法に基づき平和的に解決されなければならないことを再確認しました。両首脳は,南シナ海における行動規範(COC)に関する議論の進展に留意し,南シナ海の係争ある地形の非軍事化の重要性を強調しました。

ウ 中国

 両首脳は,中国が地域及び国際社会の平和と繁栄のため積極的に貢献していくことを歓迎し,中国政府と建設的な対話を継続することの重要性を確認しました。

エ 国連安保理改革

 トランプ大統領は,改革された国連安全保障理事会において日本が常任理事国となることに対し,米国の変わらぬ支持を表明しました。

(3)日米関係

ア 安全保障

 両首脳は,地域の安全保障環境が厳しさを増す中,日米同盟の抑止力・対処力の強化に引き続き取り組んでいくことで一致しました。その観点から,両首脳は,8月に開催された日米安全保障協議委員会(日米「2+2」)成果を評価するとともに,関係閣僚に対して,その成果の着実なフォローアップを指示しました。両首脳は,在日米軍の運用能力及び抑止力を維持する観点から,これまでの取決めに従って在日米軍再編を進めるとのコミットメントを改めて確認しました。特に,普天間飛行場の辺野古崎沖への移設が同飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることを確認するとともに,一層の遅延が平和及び安全を提供する能力に及ぼす悪影響に留意しつつ,普天間飛行場代替施設(FRF)の建設計画の着実な実施を求めました。また,安倍総理は,事件・事故等に関する地元の懸念に対応することが重要であると述べ,両首脳は,地元に訓練の目的について周知し,安全に対する懸念を軽減する重要性を再確認しました。

イ 経済

 両首脳は,10月16日に開催された日米経済対話第2回会合において,麻生副総理及びペンス副大統領が二国間の経済,貿易及び投資関係強化の重要性を確認した(PDF)別ウィンドウで開くことを歓迎し,日米両国が,地域に広がる高い基準の貿易投資ルール作りを主導し,第三国の不公正な貿易慣行に対するエンフォースメントに係る協力を進め,地域,ひいては世界における開発及び投資に関する支援の面で力強くリードしていく考えであることで一致しました。
 加えて,両首脳は,日米経済関係を更に強化するために,貿易・投資分野において,以下のとおり取り組むことを確認しました。

  • 自動車分野に関し,両国は,二国間で,また,必要に応じて,自動車基準調和世界フォーラム(WP29)を含む国際的フォーラムにおいて,基準と,規制に関する良い慣行の促進において協力を強化することを確認しました。加えて,米国安全基準のうち日本より緩やかでないと認めた項目については日本の基準を満たすものとみなすとともに,輸入自動車特別取扱制度下での輸入車に政府の財政的インセンティブの同等の機会を提供することとしました。
  • ライフサイエンス・イノベーションに関し,日本側は,中央社会保険医療協議会における業界団体の意見陳述時間を延長する等国内制度において透明性を高めることとしました。
  • また,米側は,蒸留酒の容器容量に係る規制を改正することを検討していることを確認しました。
 両首脳は,日米経済対話の枠組みの中で,「日米戦略エネルギーパートナーシップ」を進めていくとの認識で一致しました。また,両首脳は,新興市場における開発を支援するため,エネルギー,インフラその他の重要な分野における投資機会に関し協力するとのコミットメントを強調しました。また,両首脳は,第三国のインフラ整備を共同で進めるための関連機関の連携で一致しました。
 さらに,両首脳は,日本企業から米国への投資が高い水準で推移していることを歓迎し,日米双方向で投資を促進していくことで一致しました。
 両首脳は,保健分野及び高齢者の住まいに関する分野における協力覚書の署名に留意しました。また,両首脳は,日米間の宇宙協力を認識し,来年3月に東京で開催される「第2回国際宇宙探査フォーラム」に留意しました。両首脳は,宇宙探査,保健,「エイジング・イン・プレイス」等の分野における更なる協力を推進していくとの認識で一致しました。

ウ グラスルーツの取組

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    共同記者会見
    (写真提供:内閣広報室)
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    共同記者会見
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    共同記者会見
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