ベトナム社会主義共和国

日・ベトナム首脳会談

平成29年1月16日

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 16日,ベトナムを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は,グエン・スアン・フック首相(H.E.Mr. Nguyen Xuan Phuc, Prime Minister of the Socialist Republic of Viet Nam)による歓迎式典に引き続き,同首相と首脳会談を実施し,午後3時頃(現地時間)から約30分間の少人数会談と,午後3時30分頃(現地時間)から約60分間の全体会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。

1 少人数会合

(1)アジアを巡る情勢

 フック首相より,アジアの平和と安定に日本が果たしている役割に謝意と高い評価が表明され,南シナ海問題や朝鮮半島情勢等に対し引き続き積極的役割を期待する旨発言がありました。また,海洋安全保障面でベトナムに対する支援を引き続きお願いしたいとの意向が表明されました。更に,経済面で,貿易・投資の拡大,ODAの供与,日本のソフトパワーの広がり等を通じて,アジアの繁栄を牽引してほしいとの期待も表明されました。

 これに対し、安倍総理より、50周年を迎えたASEANの平和と繁栄が維持されるよう、その中心性、一体性を支持する、連結性や格差是正支援等、積極的に協力を行っていく、南シナ海や北朝鮮等地域の安全保障に関わる問題について、ベトナムと緊密に連携していきたい旨述べました。北朝鮮の核・ミサイル開発については、安保理決議の厳格な履行を共に求めていくことで一致しました。また、安倍総理から拉致問題の早期解決につき、理解と協力を求めたところ、フック首相から、拉致を非難する旨の発言がありました。

(2)米国

 両首脳は,米国のトランプ新政権との関係では,アジアの平和と安定及び経済発展に果たす米国の役割の重要性について,トランプ次期大統領の理解を得ることが重要であり,その関連でフィリピンにおけるASEAN首脳会議やベトナムが主催するAPECにおいて,米国が積極的役割を果たすことを期待するとの認識で一致しました。そのためにトランプ次期大統領に対してアジアの政治安全保障の状況について説明するとともに,TPPを含むアジアの経済がもたらす利益について理解を得ることが重要との考えを共有しました。

2 全体会合

(1)冒頭

 フック首相より,敬愛する安倍総理の2017年新年早々の訪問を心から歓迎,自分は,昨年5月のG7アウトリーチ会合に参加した際,貴総理とも会談したが,共同ビジョン声明の精神に沿って,両国関係は,勢いよく発展してきた,ベトナムは一貫して,日本を長期的かつ最優先のパートナーとすることを確認する旨述べました。

 これに対し,安倍総理より,9月にラオスでお会いして以来の再会を嬉しく思う,自分はベトナムを重視しており,総理として3回目の訪問,今年最初の訪問先としてベトナムを訪問したのは重視の表れ,日本とベトナムのパートナーシップをフック首相と手を携えて力強くあらゆる分野で発展させていきたい,ベトナムが議長国を務める本年のAPECの成功に向け,全面的に支援したい旨述べました。

(2)二国間関係総論

 フック首相より,両国間の政治的信頼関係の強化のため,ハイレベルの交流を強化したい。天皇皇后両陛下のベトナム御訪問を大変重視しており,万全にお迎えできるよう準備をしている,また,2017年APECの際,貴総理をご招待したい旨述べました。

 安倍総理より,世界的に政治,安全保障,経済面での不確実性・不透明性が増す中,「広範な戦略的パートナーシップ」の下,良好な日ベトナム関係を更に強化したい,今春の天皇皇后両陛下のベトナム御訪問は,両国の友好・親善の象徴,成功に向けあらゆる面で協力をお願いしたい旨述べました。

(3)安全保障

 フック首相より,安全保障,国防分野の協力を強化し,防衛装備品の装備移転を促進したい旨述べました。また,日本政府からの海上法執行能力強化に対する積極的支援に感謝している,人材育成とともに,新造巡視船の早期供与をお願いしたい旨述べました。

 安倍総理は,特に海洋分野を中心に,安保・防衛協力を一層強化したい,フック首相から要請いただいた新造巡視船(6隻)の供与を決定した,両国海上法執行機関間の協力を具体化し,更に進展させたい,また,日本が提示した指針(ビエンチャン・ビジョン)に沿い防衛協力を充実したい旨述べました。

(4)経済,経済協力

 フック首相より,日本は貿易,投資,ODA分野でのパートナー,経済の連結性強化を促進したい,農業分野でも協力を進めたい,質の高いインフラ整備や気候変動対策への支援も要請したい旨述べました。本日,初めての試みとして,同行している日本企業関係者とベトナムの地方の代表者と対話を行う,今回の訪問を通じ,日本企業がベトナムにおいて投資機会を見つけることができることを確信している旨述べました。更に,高効率石炭火力やエネルギー分野等のインフラ分野での投資を歓迎する,ベトナム産の赤い果肉のドラゴンフルーツ,ライチ等の日本への輸入をお願いしたい,日本の梨は解禁手続きを終えた旨述べました。

 安倍総理は,1,600社を超える日本企業が,投資,雇用創出及び技術移転等を通じ,ベトナムの発展に貢献しており,今次訪問にも,20社以上のCEO等が同行している,日越共同イニシアティブや法制度整備支援等を通じ,引き続き投資環境が改善され,投資と貿易が更に拡大することを期待する旨述べました。また,日本産梨の日本からの輸出及びベトナム産の赤い果肉のドラゴンフルーツの日本への輸出が本日(16日)解禁されたことを歓迎する旨述べました。安倍総理は,日本はベトナムの最大の支援国,今年度署名に至った協力はこれまで約1,300億円に上る,今回新たに決定した円借款4件約1,200億円もビジネス機会を作り出す,引き続き「質の高いインフラ」整備を中心に,官民を挙げてベトナムの経済発展を力強く支援する,また,保健分野等社会的課題も支援していく旨述べました。更に安倍総理は,原子力協力は二国間エネルギー協力の柱,中止の決定は大変残念だが,高効率で環境に優しい石炭火力やLNGの新規導入の協力パートナーとして貢献していきたい,また,二国間の象徴的な案件と成り得るインフラ整備に,日本企業の高い技術と知見を活用して協力したい,衛星案件の迅速な実施について協力をお願いしたい旨述べました。安倍総理は,ベトナムの国営企業改革を引き続き支援していく,国営企業に日本企業が戦略的投資家として一層参画できるよう協力をお願いしたい,また,米国の利上げに伴う資本流出リスクに鑑み,チェンマイ・イニシアティブ等の金融セーフティネット整備を進めたい旨述べました。

 これに対しフック首相より,ベトナムの国営企業に日本企業がパートナーとして参加していることも大変よかった,戦略的投資家として日本がベトナムの大手企業と協力して参加することを心から歓迎する旨述べました。

(5)TPP・RCEP

 フック首相は,TPPについては,日本は承認した最初の国であり,総理の決意と努力を評価している,ベトナムもTPPを重視し,批准に向けて準備中,またRCEP交渉でも緊密な連携をお願いする旨述べました。

 安倍総理は,自由貿易こそが世界の進むべき道であり,日本はTPP協定の国会承認を得た,早期発効に向けてベトナムの国内手続の進捗を強く期待,RCEPは,ベトナムと緊密に連携し,質の高い協定の早期妥結を目指したい旨述べました。

(6)人材育成,文化交流

 フック首相より,教育,人材育成,文化交流についても推進したい,産業人材育成のためのODA供与をお願いしたい,また,日越大学を通じた協力も行っていきたい,ベトナムの人材育成で日本と協力したい旨述べました。また,現在日本への留学生は4万人に達している,貴国においては,技能実習法案が改正されたと承知,ベトナムへの配慮をお願いしたい旨述べました。

 安倍総理より,各地でのお祭りや日本紹介番組等を通じた人的交流の急速な拡大を歓迎,本日同席している杉特別大使にも御尽力いただいている,訪日観光客の更なる増加と相互理解の促進に向け,積極的な文化・青少年交流も行いたい,特に「文化のWAプロジェクト」への協力をお願いしたい旨述べました。更に,昨年,両国議連の支援を受けた日越大学が開学し,初等教育における日本語教育が開始したことを歓迎し,日本式のものづくり技術・知識を伝える寄附講座や「日本型教育」等を通じ人材育成に貢献したい旨述べました。また,不適正な人材送り出し機関を排除し,実習生の保護等を図るため,速やかに政府間取決めの作成の協議を開始したい,ベトナム人留学生についても,質の高い留学生交流を促進すべく日越で連携したい旨述べました。

 これに対しフック首相は,観光客の双方向の増大に向け,努力していきたい,杉大使が二国間の青少年,文化交流促進のために果たされている役割を歓迎し,高く評価する旨述べました。

(7)その他

 安倍総理より,2025年大阪万博への支持を求めたところ,フック首相よりその場で,支持する旨のやりとりがありました。また,安倍総理より,「自由で開かれたインド太平洋戦略」について紹介し,ベトナムの協力を得つつ推進したい旨述べました。

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    共同記者発表
    (写真提供:内閣広報室)
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    共同記者発表
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    共同記者発表
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    ベトナム主催歓迎晩餐会
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    ベトナム主催歓迎晩餐会
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    ベトナム主催歓迎晩餐会
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