ベトナム社会主義共和国
日・ベトナム首脳会談
本28日、安倍晋三内閣総理大臣は、総理官邸において、G7アウトリーチ会合に出席するため訪日中のグエン・スアン・フック・ベトナム社会主義共和国首相(H.E. Mr. Nguyen Xuan Phuc、Prime Minister of the Socialist Republic of Viet Nam)と、17時40分から約20分間の少人数会合及び18:00から約50分間の日・ベトナム首脳会談を実施し、引き続き夕食会を19:15から約1時間開催したところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
安倍総理から、改めてフック首相の訪日を歓迎し、フック首相の首相就任と、先般の党大会の成功に祝意を伝えました。また、G7サミット・アウトリーチ会合出席と、議論への積極的な発言に謝意を示し、「広範な戦略的パートナーシップ」に基づき、会合で取り上げられた分野においても、ベトナムとの協力を強化したい旨伝えました。
フック首相は、安倍総理のG7及びG7アウトリーチ会合における議長としての役割に高い評価を示し、また、総理官邸における丁重なおもてなしに対する感謝の意を述べました。(新体制に移行した)ベトナムは、引き続き日本を長期的且つ最優先のパートナーとして重視しており、二国間関係の発展に努力したい旨述べました。
2 二国間関係
(1) 要人往来等
双方は、活発な要人往来や、国際会議やフォーラムの場での二国間会談の実施、また、既存の日越協力委員会等の対話を通じ、二国間協力や地域・国際場裏における課題において、緊密に協力を実施していくことで一致しました。
(2)自然災害
安倍総理からは、ベトナムの干ばつ・塩害にお見舞いを伝え、日本が今般、250万ドルの緊急無償資金協力を決定したことを伝え、フック首相からは、深い謝意が示されると共に、被害に苦しむ住民を支援するため、引き続き関心を有して欲しい旨述べました。また、フック首相からは、ベトナム政府及び国民を代表し、先般の熊本地震に対するお見舞いが示されました。安倍総理からは,お見舞いの言葉に対する謝意が表明されました。
(3)質の高いインフラ
安倍総理は、フック首相に対し、今般発表した総額約2,000億ドルの「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」を通じて、世界全体の質の高いインフラ整備に一層貢献する考えを紹介すると共に、その観点から、ホーチミン市都市鉄道1号線への円借款供与について本日書簡を交換する旨伝達しました。また、同1号線については、ベンタイン地下街開発と一体的に工事を行い、両プロジェクトが日ベトナム協力の象徴となることを期待する旨述べました。フック首相からは、日本のベトナムに対するこれまでのODAに謝意が示され、また、連結性を強化していく上でも日本企業のインフラ開発プロジェクト等への参画を歓迎する旨発言がありました。また、両首脳は、日越大学の開設やベトナムへの高専教育導入等、人材育成分野の協力を進めることで一致しました。
(4)海上法執行能力強化、防衛交流
安倍総理は、ベトナムの海上法執行能力強化は喫緊の課題であり、日本はしっかり支援していくことを伝え、中古船供与に向けた手続き、新造船供与に向けた調査についても、スピード感をもって取り組むことを表明しました。これに対し、フック首相からは、海上法執行機関に対する中古船の供与に謝意が表明されると共に、人材育成及び新造巡視船の供与といった協力について、強い期待が表明されました。
防衛協力については、両首脳は、様々な分野における防衛協力・交流が着実に進展していることに満足の意を表明し,引き続き協力を推進していくことで一致しました。
(5)その他
両首脳は,TPPやRCEP等についても意見交換したほか,日越農業協力中期ビジョンに基づき更なる協力を進めることで一致しました。
3 地域・国際場裏の協力
(写真提供:内閣広報室)
安倍総理は、昨日のオバマ米大統領と広島を訪問し、核兵器のない世界に向けた決意を改めて発信したことを紹介し、国連の場等も通じ、核兵器のない世界を実現するため、ベトナムとも連携を強化したい旨伝えました。
首脳は、南シナ海における大規模かつ急速な埋立て、拠点構築その軍事目的での利用を含め、一方的な現状変更の試みの更なるエスカレートに対する強い懸念を共有し,海における法の支配,航行及び上空飛行の自由,紛争の平和的解決の重要性を確認しました。また、両首脳は、北朝鮮の諸懸案の解決に向け、日本とベトナムが共に連携していくことを確認しました。
また、両首脳は、本年のASEAN関連会議における連携を確認し、安倍総理は、ASEANの一体となった行動を期待する旨述べました。