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Last Updated: 2011. 04. 01

日本の取組


 日本は、エネルギーへのアクセス向上と地球温暖化対策を目標として、開発途上国における地方電化、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入を積極的に支援している。

パンフレット:エネルギー・アクセス向上のための日本のODA(和文(PDF)PDF

エネルギー分野における政策方針

・政府開発援助(ODA)大綱・中期政策での扱い(抜粋)

ODA大綱(2003年8月)

I. 理念 ――目的、方針、重点
1.目的
さらに、相互依存関係が深まる中で、国際貿易の恩恵を享受し、資源・エネルギー、食料などを海外に大きく依存する我が国としては、ODAを通じて開発途上国の安定と発展に積極的に貢献する。このことは、我が国の安全と繁栄を確保し、国民の利益を増進することに深く結びついている。特に我が国と密接な関係を有するアジア諸国との経済的な連携、様々な交流の活発化を図ることは不可欠である。

3.重点課題
(3)地球的規模の問題への取組
地球温暖化をはじめとする環境問題、感染症、人口、食料、エネルギー、災害、テロ、麻薬、国際組織犯罪といった地球的規模の問題は、国際社会が直ちに協調して対応を強化しなければならない問題であり、我が国もODAを通じてこれらの問題に取り組むとともに、国際的な規範づくりに積極的な役割を果たす。

4.重点地域
中東は、エネルギー供給の観点や国際社会の平和と安定の観点から重要な地域であるが、中東和平問題をはじめ不安定要因を抱えており、社会的安定と平和の定着に向けた支援を行う。

ODA中期政策(2005年2月)

3.重点課題について
(1)貧困削減
(ロ)貧困削減のためのアプローチ及び具体的取組
(c)成長を通じた貧困削減のための支援
(ii)均衡の取れた発展
また、このような地域間格差が存在する都市部と村落地域を結びつける運輸、エネルギー、通信等の基幹インフラを整備する。その際、幹線道路に農道を結びつける等の工夫により、基幹インフラが貧困層による経済・社会活動への参加に役立つよう配慮をする。

 (2)持続的成長
(イ)持続的成長の考え方
(b)国際貿易の恩恵を享受し、資源・エネルギー、食料などを海外に大きく依存する我が国としては、ODAを通じて開発途上国の持続的成長のために積極的に貢献する。このことは、我が国の安全と繁栄を確保し、国民の利益を増進することに深く結びついている。
(ロ)持続的成長のアプローチ及び具体的取組
(a)経済社会基盤の整備
民間セクターの活動を促進する上で、インフラは根本的な重要性を有する。我が国は、従来、経済成長の下支えとなる経済・社会インフラの整備を円借款などを通じて積極的に支援し、アジア地域を中心に経済成長の基盤整備に大きな役割を果たしてきた。経済・社会インフラ整備を促進するに当たっては適切な規模の中長期資金が必要であること、また、十分な自己財源や民間資金の流入を確保し得る開発途上国がまだ一部に限られていることにも留意する必要がある。この観点から、途上国の制度政策環境や債務管理能力などに留意しつつ、道路、港湾等の運輸インフラ、発電・送電施設、石油・天然ガス関連施設等のエネルギー関連インフラ、情報通信インフラ、生活環境インフラといった貿易・投資環境整備等に資する経済社会基盤の整備を支援する。また、インフラの維持管理と持続性の確保のため、インフラ整備への支援と併せて、分野ごとの課題に関する政策策定・対話の推進、人材育成等、インフラのソフト面での支援も行う。
(d)経済連携強化のための支援
地域レベルの貿易・投資の促進は、各国の経済成長に直接貢献するとともに、開発に必要な資金の動員や民間セクターの技術水準向上等に寄与する。このため、国や地域に跨る広域インフラの整備を行うほか、貿易・投資に関連する諸制度の整備や人材の育成を積極的に支援する。我が国が経済連携を推進している各国・地域に対しては、知的財産保護や競争政策等の分野における国内法制度構築支援や、税関、入国管理関連の執行改善・能力強化支援、情報通信技術(ICT)、科学技術、中小企業、エネルギー、農業、観光等の分野における協力を行う。

 (3)地球的規模の問題への取組
地球温暖化を始めとする環境問題、感染症、人口、食料、エネルギー、災害、テロ、麻薬、国際組織犯罪といった地球的規模の問題は、国境を越えて個々の人間の生存にかかわる脅威である。国際社会の安全と繁栄を実現するために、我が国はODAを用いて積極的に貢献する。中期政策では、これらの地球的規模の問題のうち、特に貧困削減と持続的成長の達成に密接かつ包括的に関係する環境問題、及び2004年12月に発生したスマトラ島沖大地震及びインド洋津波災害を踏まえ、地震、津波を始めとする自然災害への対応を取り上げる。
(ロ)環境問題への取組に関するアプローチ及び具体的取組
1)再生可能エネルギー、省エネルギーといった温室効果ガスの抑制・削減(京都メカニズム活用のための支援を含む。)、気候変動による悪影響への適応(気象災害対策を含む。)などの「地球温暖化対策」、2)大気汚染対策、水質汚濁対策、廃棄物処理などの「環境汚染対策」、及び、3)自然保護区の保全管理、森林の保全・管理、砂漠化対策、自然資源管理などの「自然環境保全」の3つを重点分野として、以下のアプローチ及び具体的取組により協力を推進する。

 (4)平和の構築
(ロ)平和の構築に向けたアプローチ及び具体的取組
(a)紛争前後の段階に応じた支援
(iii)紛争後の復興支援
復興支援においては、人材育成を支援しつつ、紛争により破壊された病院、学校、道路、公共交通、上下水道、エネルギー関連施設などの社会資本を復旧して、経済社会活動を軌道に乗せるための環境を整備することが必要である。このため、我が国は、社会資本の復旧を支援するとともに、政府の統治機能の回復のための選挙支援、法制度整備に関する支援、民主化促進のためのメディア支援等を実施する。

・イニシアティブ・資金コミットメント

京都イニシアティブ(1997年12月)
・概要(和文英文
・本文(和文英文
  ODAを中心とした温暖化対策途上国支援として発表。温暖化対策関連分野として、省エネルギー、新・再生可能エネルギーがあげられています。

第2回東アジア首脳会議(EAS)における日本のエネルギー協力イニシアティブ(2007年1月)
・概要(和文
 「エネルギー貧困の解消」
エネルギー需要の急増が見込まれる東アジア地域におけるエネルギー安全保障向上のため、日本は、協力パッケージの実施を表明しました。

エネルギー分野における事例

日本は、エネルギーへのアクセス向上と地球温暖化対策を目的として、開発途上国における地方電化、省エネルギー、新・再生可能エネルギーの導入を積極的に支援しています。

・電力供給への支援

電力供給は、開発途上国の産業発展や生活水準の向上に欠かせません。特に開発途上国の電気が通じていない地域への電力供給は、生活水準の向上や産業振興、雇用創出に貢献しています。僻地や離島への電力供給のためには、配電網に依存しない小規模発電の導入が有効であることが多いとされています。

シエラレオネ「フリータウン電力供給システム緊急改善計画」(無償資金協力、2008・2009年度、16.51億円)

シエラレオネでは、内戦や発電所設備の老朽化により、首都フリータウンとその周辺地域の電力供給が極めて脆弱です。このため計画停電が日常化し、一般家庭ではほとんど電力供給を受けられない状態(1週間に1日、数時間程度の電力供給)にあります。そこで日本は、フリータウンの首都機能の維持および周辺地域住民に対する安定した電力供給を行うため、必要な施設整備および増強に関して必要な資金を無償資金協力により供与しています。

フィリピン「地方電化プロジェクト」(技術協力、2004~2009年度、3.3億円)

フィリピンでは再生可能エネルギーの導入により離島や僻地の電化に取り組んでいます。日本は、小規模水力発電や太陽光発電に関する技術移転や能力開発を支援することによって、フィリピンにおける持続的な地方電化の達成を目指しています。

インドネシア「地方電化計画」(有償資金協力、1993年度、1996年度、150.9億円)

インドネシアでは、小型ディーゼル発電施設の設置、地方配電網の整備等により、ジャワ島以外の外島の1562村落の電化を達成しました。これにより、生活環境の改善や、地域産業の活性化、雇用創出、所得向上等に貢献しました。

・省エネルギーへの支援

省エネルギーは、開発途上国のエネルギー節約やエネルギー安全保障、さらに地球温暖化対策にも貢献します。特に、日本は2度にわたる石油危機をきっかけに世界最高水準の省エネルギー技術を保有しており、比較優位の高い分野であるとされています。

タイ「エネルギー管理者訓練センタープロジェクト」(技術協力、2002~2005年度、4.5億円)

タイでは、省エネルギー促進法において工場等のエネルギー管理者の配置を義務づけています。日本は、専門家派遣や研修の実施を通じて、エネルギー管理者の省エネ実施計画の策定等の能力向上を支援し、法の指定工場及びビルの効率的なエネルギー管理に貢献しました。

トルコ「省エネルギープロジェクト」(技術協力、2000~2005年度、6.7億円)

トルコでは、日本は専門家派遣や研修の実施を通じて、トルコ行政機関の政策提言能力や、工場の省エネルギー努力を診断する能力の向上を支援しました。こうした支援により、トルコの産業部門の協力期間5年間の省エネルギー効率は最大5%改善したと試算されています。

・新・再生可能エネルギー導入への支援

開発途上国のエネルギーへのアクセスを高めるとともに、温室効果ガスや大気汚染物質の発生を抑え、持続可能な開発を実現させる上で、小規模水力や風力等の新・再生可能エネルギーの活用が重要とされています。

エジプト「ザファラーナ風力発電計画」(有償資金協力、2003年度、134.97億円)

エジプトは、化石燃料への依存度を下げるために新・再生可能エネルギーの活用促進に取り組んでいます。日本は、紅海沿岸のザファラーナ地区の120MWの風力発電所の新設を支援しました。この発電所の稼働によって、同規模の火力発電所を稼働させた場合に比べ、年間約25万トンのCO2排出削減することができると期待されています。このプロジェクトは、2007年6月22日に国連CDM理事会の承認を得て、CDM事業として登録されています。2009年7月に完成しました。

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