日本の安全保障と国際社会の平和と安定

日本のサイバー分野での外交

令和6年11月27日
日・ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC)
研修オープニングセレモニー(令和5年6月19日)

日本のサイバー分野での外交

 サイバーが人々の経済基盤として欠かせないものとなる一方で、サイバー空間を利用した侵害行為(サイバー攻撃)の規模や影響は年々拡大しています。また、特定の目的を持つと考えられる高度なサイバー攻撃の一部については、国家の関与が指摘されているものもあります。サイバー攻撃は、匿名性が高く(匿名性)、攻撃側が圧倒的に有利であり(非対称性)、地理的な制約を受けることが少なく容易に国境を越える(越境性)といった特性があります。一国のみで対応することが極めて困難な国際社会共通の切迫した課題であり、国際社会全体との連携や協力が不可欠となっています。

 こうした状況を背景に令和3年9月に閣議決定された「サイバーセキュリティ戦略」に基づき、外務省は、サイバー空間におけるルール・規範の形成・深化の推進、サイバー攻撃抑止の取組、能力構築支援、国際連携といった取組を進めています(参考:令和5年12月8日サイバー・イニシアチブ東京2023における辻󠄀外務副大臣スピーチ(日本語(PDF)別ウィンドウで開く)。

参考:国家安全保障戦略(令和4年12月16日)(PDF)別ウィンドウで開く

 「サイバー空間の安全かつ安定した利用、特に国や重要インフラ等の安全等を確保するために、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる。」
 「同盟国・同志国等と連携した形での情報収集・分析の強化、攻撃者の特定とその公表、国際的な枠組み・ルールの形成等のために引き続き取り組む。」

参考:サイバーセキュリティ戦略(閣議決定)(令和3年9月28日)概要(PDF)別ウィンドウで開く

 「サイバー空間の安全・安定の確保のため、外交・安全保障上のサイバー分野の優先度をこれまで以上に高めるとともに、法の支配の推進、サイバー攻撃に対する防御力・抑止力・状況把握力の向上、国際協力・連携を一層強化する。」

サイバー分野での外交における四本柱

1 ルール・規範の形成・深化の推進

 サイバー空間においても法の支配を確立することは国家間の関係を安定させる上で重要であり、日本は、サイバー空間を利用した行為に対しても既存の国際法が適用されるとの立場から、2021年から2025年までを会期とする国連全加盟国が参加するオープン・エンド作業部会(OEWG)において積極的に議論に参加しています。加えて、2021年にはサイバー行動に適用される国際法に関する日本政府の基本的な立場について表明し、国際的な議論の深化に貢献しています。

2 サイバー攻撃抑止のための取組

 日本は、各国と共にサイバー攻撃主体に対する非難や懸念を公に表明する「パブリック・アトリビューション」を行ってきています。このように公表することは、脅威認識を高め、背景にある国家や犯罪集団の活動を認知し許容しないというメッセージを発し、かつ、国際的なスタンダードを形作る一助となり、サイバー攻撃者の将来の活動コストを高めるなどの効果が期待されます。

3 能力構築支援

 サイバー空間においては事象の影響が容易に国境を越えることに鑑みれば、他国及び地域の能力を向上させることが世界全体の安全を守ることにつながるとの考えから、インド太平洋地域の中核となるASEANを中心に、外務省を含む関係省庁が能力構築支援や国際機関を通じた取組を行っています。

4 国際連携

 サイバー空間におけるこれらの取組を進める上で、国際連携は非常に重要であり、日本は多くの国・地域とサイバー協議などを重ねています。また、日米豪印では、2022年5月の首脳会合で発表した「日米豪印サイバーセキュリティ・パートナーシップ」の下、重要インフラのサイバーセキュリティやインド太平洋地域における能力構築支援の協力などに取り組んでいるほか、米国が主催する、急速に脅威が増大しているランサムウェアに対処するための多国間枠組みである、「カウンターランサムウェア・イニシアティブ」における議論にも積極的に参加しています。

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