日本の安全保障と国際社会の平和と安定

日本のサイバー分野での外交

令和5年9月15日
(写真1)サイバー・イニシアチブ東京2019(令和元年12月12日) サイバー・イニシアチブ東京2019(令和元年12月12日)

日本のサイバー分野での外交

(画像1)外務省における情報セキュリティ対策への取組イメージ

 サイバーが人々の経済基盤として欠かせないものとなる一方で、サイバー空間を利用した侵害行為(サイバー攻撃)の規模や影響は年々拡大しています。また、特定の目的を持つと考えられる高度なサイバー攻撃の一部については、国家の関与が指摘されているものもあります。サイバー攻撃は、匿名性が高く(匿名性)、攻撃側が圧倒的に有利であり(非対称性)、地理的な制約を受けることが少なく容易に国境を越える(越境性)といった特性があります。一国のみで対応することが極めて困難な国際社会共通の切迫した課題であり、国際社会全体との連携や協力が不可欠となっています。

 こうした状況を背景に平成30年7月に閣議決定された「サイバーセキュリティ戦略」に基づき、外務省はサイバー空間における法の支配の推進や、信頼醸成措置の推進、能力構築支援等の取組を進めています(参考:令和元年12月12日サイバー・イニシアチブ東京2019における鈴木外務副大臣スピーチ(日本語(PDF)別ウィンドウで開く)。

参考:国家安全保障戦略(平成25年12月17日)抜粋(PDF)別ウィンドウで開く

 「特に海洋、宇宙空間及びサイバー空間における法の支配の実現・強化について、関心を共有する国々との政策協議を進めつつ、国際規範形成や、各国間の信頼醸成措置に向けた動きに積極的に関与する。また、開発途上国の能力構築に一層寄与する。」

参考:サイバーセキュリティ戦略(閣議決定)(平成30年7月27日)概要(PDF)別ウィンドウで開く

 「『自由、公正かつ安全なサイバー空間』の創出に努め、もって『経済社会の活力の向上及び持続的発展』、『国民が安全で安心して暮らせる社会の実現』、『国際社会の平和・安定と我が国の安全保障』に寄与する。」

 基本原則:(1)情報の自由な流通の確保(2)法の支配(3)開放性(4)自律性(5)多様な主体の連携

サイバー政策重要関連文書

サイバー分野での外交における三本柱

1 サイバー空間における法の支配の推進

 日本は、「サイバー空間において従来の国際法が適用される」との立場から、国連における政府専門家会合(国連サイバーGGE(Group of Governmental Experts))や、サイバー空間に関する国際会議(the Global Conference on Cyber Space:GCCS)等への参加を通じ、官民一体となって国際社会の議論に積極的に取り組んでいます。また、サイバー犯罪対策については、サイバー空間の利用に関する唯一の多国間条約であるサイバー犯罪条約のアジア地域初の加盟国として、この条約の締約国拡大に向けてサイバー犯罪条約関連会合等に積極的に参加しています。

2 信頼醸成措置の推進

 各国との協力・信頼醸成の推進については、米国、オーストラリア、英国、フランス、インド、イスラエル、エストニア、ロシア、EU、ASEAN等との間や、日中韓3か国の枠組みでの協議・対話を実施しています。こうした協議等を通じて、双方のサイバー分野における政策及び取組について情報交換し、相互理解を深め、協力強化や信頼醸成の促進に努めています。また、ASEAN地域フォーラム(ARF)の枠組みにおいてマレーシア、シンガポールとともにサイバーセキュリティに関するARF会期間会合(ARF-ISM on ICTs Security)を立ち上げるなど、サイバー分野における多国間の協力強化にも積極的に取り組んでいます。

3 能力構築支援

 サイバー空間の性質上、一部の国や地域における対処能力の不足が、世界全体にとってのリスク要因となることから、日本の安全を確保する上でも重要であり、日本は、ASEAN諸国を中心に意識啓発や重要インフラ防護、サイバー犯罪対策、CSIRT(注)(Computer Security Incident Response Team)や法執行機関の能力強化等の支援を進めている。
 ((注)CSIRT:コンピュータの安全に関する事案に対処するための組織の総称。そうした事案による被害の最小化を図るため、関連情報、脆弱性情報、攻撃の予兆情報等を収集、分析し、解決策や対応方針の策定、事案への対応等を行う。)

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(画像)2023年サイバーセキュリティ月間 2023年サイバーセキュリティ月間 NISC
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