日本の安全保障政策
防衛装備移転三原則について
平成26年4月1日、政府は、平成25年12月に定められた「国家安全保障戦略」に基づき、防衛装備の海外移転に関して、武器輸出三原則等に代わる新たな原則として、「防衛装備移転三原則」(PDF)を策定しました。
1 防衛装備移転原則の策定趣旨
我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることなどに鑑みれば、国際協調主義の観点からも、我が国によるより積極的な対応が不可欠となっています。我が国の平和と安全は我が国一国では確保できず、国際社会もまた、我が国がその国力にふさわしい形で一層積極的な役割を果たすことを期待しています。これらを踏まえ、我が国は、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定を実現しつつ、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していくこととしています。
こうした我が国が掲げる国家安全保障の基本理念を具体的政策として実現するとの観点から、防衛装備の海外移転に係るこれまでの政府の方針につき改めて検討を行い、これまでの方針が果たしてきた役割に十分配意した上で、新たな安全保障環境に適合するよう、これまでの例外化の経緯を踏まえ、包括的に整理し、明確な原則を定めました。
2 防衛装備移転三原則の主な内容
我が国としては、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念及びこれまでの平和国家としての歩みを堅持しつつ、防衛装備移転三原則に基づき防衛装備の海外移転の管理を行っています。主な内容は以下のとおりです。
- (1)移転を禁止する場合の明確化(第一原則)
ア 当該移転が我が国の締結した条約その他の国際約束に基づく義務に違反する場合、イ 当該移転が国連安保理の決議に基づく義務に違反する場合、又はウ 紛争当事国(武力攻撃が発生し、国際の平和及び安全を維持し又は回復するため、国連安保理がとっている措置の対象国をいう。)への移転となる場合は、防衛装備の海外移転を認めないこととしています。 - (2)移転を認め得る場合の限定並びに厳格審査及び情報公開(第二原則)
上記(1)以外の場合は、移転を認め得る場合を、(ア 平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合、又は(イ 我が国の安全保障に資する場合等に限定し、透明性を確保しつつ、厳格審査を行います。
また、我が国の安全保障の観点から、特に慎重な検討を要する重要な案件については、国家安全保障会議において審議します。国家安全保障会議で審議された案件については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)を踏まえ、政府として情報の公開を図ります。 - (3)目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保(第三原則)
上記(2)を満たす防衛装備の海外移転に際しては、適正管理が確保される場合に限定しています。具体的には、原則として目的外使用及び第三国移転について我が国の事前同意を相手国政府に義務付けています。
政府としては、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国際社会の平和と安定のために積極的に寄与していく考えであり、防衛装備並びに機微な汎用品及び汎用技術の管理の分野において、国際輸出管理レジームの更なる強化に向けて、引き続き積極的に取り組んでいきます。
防衛装備移転三原則に関する更なる詳細については、内閣官房ホームページを御覧下さい。
3 防衛装備移転三原則及び運用指針の改正
令和5年12月22日、政府は、令和4年12月に策定された新たな「国家安全保障戦略」を踏まえ、「防衛装備移転三原則」及び「防衛装備移転三原則の運用指針」の改正を行いました。改正した「防衛装備移転三原則」等の関連資料は、内閣官房にて掲載しています。