経済協力開発機構(OECD)

令和元年5月23日
2019年OECD閣僚理事会

 5月22日から23日,フランス・パリのOECD本部でOECD閣僚理事会(Meeting of the Council at Ministerial Level: MCM)が開催され,我が国から,河野外務大臣,世耕経済産業大臣,田中内閣府副大臣等が出席したところ,結果概要は以下のとおりです。

[ポイント]

  • 今回の閣僚理事会のテーマは,「持続可能な開発のためのデジタル化の活用:機会と課題」。急速に進むデジタル化による世界経済の変容,デジタル化が開発(SDGs),貿易,教育・雇用,イノベーション等にもたらす機会と課題について,議長国スロバキア,副議長国カナダ及び韓国の下,活発な議論が行われました。
  • 会合の最後に,「閣僚声明仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)」(閣僚理事会開催の事実や,関連文書の採択等の事実関係にのみ言及した文書)及び「議長声明概要(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)」(各政策分野における各国の立場・見解を踏まえ,議長の責任で作成した文書)が発出されました。
  • 本年の閣僚理事会のテーマであるデジタル化は,我が国が議長国を務めるG20大阪サミットの重要アジェンダの一つであり,日本は,6月のG20貿易・デジタル経済大臣会合,そしてG20大阪サミットに向けて,これらの課題に関する日本の考え・立場を高いレベルで発信,これら日本の主張の多くが,議長声明に反映されました。
  • 河野大臣は,デジタル経済,イノベーションと開発,貿易,今後のOECDの運営のあり方に関するセッションに出席しました。これらの会合において,河野大臣は,データ流通を含むデジタル経済,「質の高いインフラ」,イノベーションを活用したSDGsの達成に向けた取組,自由で開かれた貿易,公平な競争条件の確保,WTO改革の重要性等について,日本の考え・問題意識を発信したほか,東南アジアの将来的なOECD加盟の重要性を強調しました。
  • また,河野外務大臣は,閣僚理事会の機会に,ライトハイザー米国通商代表や康京和・韓国外交部長官を含む複数の国の首相・閣僚のほか,グリアOECD事務総長,アゼベドWTO事務局長と会談を行いました。
  • さらに,23日には,OECD・ビジネス20(B20)・BIAC(OECD経済産業諮問委員会)主催のB20東京サミット・アウトリーチ会合の閉会式に出席し,G20サミットの日本の優先議題等についてスピーチを行いました。

1 行事概要

(1)日時・場所

  • 5月22日(水曜日)から23日(木曜日),パリ・OECD本部

(2)参加国・機関

  • (ア)OECD加盟国  :36か国
  • (イ)OECD加盟のための国内批准手続中の国 :1か国(コロンビア)
  • (ウ)OECD加盟審査国:1か国(コスタリカ)
  • (エ)キー・パートナー国:4か国(インド,インドネシア,ブラジル,南アフリカ)
  •     中国は欠席
  • (オ)招待国 : 7か国・地域(アルゼンチン,カザフスタン,タイ,ペルー,香港,モロッコ,ルーマニア)
  • (カ)その他(EU,WTO他)

(3)運営

  • (ア)議長国 :スロバキア
  • (イ)副議長国:カナダ,韓国

2 主な議題と概要

 今次閣僚理事会は,「持続可能な開発のためのデジタル化の活用:機会と課題」(Harnessing Digital Transition for Sustainable Development: Opportunities and Challenges)をメインテーマとし,「人工知能(AI)に関する勧告」が採択されたほか,「OECDの戦略的方向性」,「デジタル化の潜在性の開放:政府の役割及び国際協力の重要性」,「持続可能性及び福利のためのデジタル化の約束の実現」「デジタル時代における貿易の便益の享受及び多様化」等について議論を行いました。
 河野大臣は,OECD事務総長の戦略的方向性,デジタル経済,イノベーションと開発,貿易に関するセッションに出席したところ,概要はそれぞれ以下のとおりです。

(1)「OECD事務総長の戦略的方向性」(22日昼:ワーキングランチ)

(ア)冒頭,本セッション議長のペレグリニ・スロバキア首相から開会挨拶があった後,グリアOECD事務総長から,今後のOECDの戦略的な方向性等について説明が行われました。その後,出席者間でOECDの今後の運営のあり方を中心に活発な議論が行われました。

(イ)河野大臣は,リードスピーカーの一人として,今回のMCMのテーマであるデジタル化や貿易分野におけるOECDの活動を評価し,WTOにおいてOECD加盟国の果たす役割等について述べました。また,OECDにおける加盟拡大について,早期のコンセンサスの必要性を指摘したほか,東南アジアの将来的なOECD加盟の重要性を強調しました。

(2)「デジタル化の潜在性の解放:政府の役割及び国際協力の重要性」(22日午後)

(ア)冒頭の全体会合でデジタル経済における課税について議論が行われた後,議題別の3つの分科会に分かれて,議論が行われました。

(イ)河野大臣は,「セキュリティ,プライバシー,信頼等」をテーマとする分科会に出席し,リードスピーカーの一人として,デジタル時代における国際協調やステークホールダーとの関与の重要性,OECDの役割・貢献,データの自由な流通の促進を含む,G20大阪サミットの優先課題,G20とOECDの連携等について発言を行いました。

(3)「持続可能性及び福利のためのデジタル化の約束の実現」(23日午前)

(ア)河野大臣は,全体会合において,リードスピーカーの一人として,科学技術・イノベーション(STI)を活用したSDGsの達成,女性のエンパワーメントや質の高いインフラの国際スタンダード化等のG20大阪サミットにおける優先課題,革新的資金調達等について発言しました。

(イ)全体会合に続き,議題別の3つの少人数グループ会合に分かれて,議論が行われました。

(4)「デジタル時代における貿易の便益の享受及び多様化」(23日昼:ワーキングランチ)

(ア)冒頭,アゼベドWTO事務局長から,デジタル化がもたらす貿易上の便益及び課題について,WTOにおける電子商取引を巡る議論等を紹介しつつスピーチが行われ,その後,出席者間で活発な議論が行われました。

(イ)河野大臣は,リードスピーカーの一人として,日本が引き続き自由貿易の推進の取組を主導していくことを強調した上で,市場歪曲的措置への対処を通じた公平な競争条件の確保や,紛争解決制度を含むWTO改革の重要性のほか,WTOにおいてOECD加盟国の果たす役割等について発言しました。

3 その他

 また,河野外務大臣は,閣僚理事会の機会に,各国閣僚等とのバイ会談(注)を実施し,WTO関連閣僚級会合に出席しました。
 さらに,23日には,OECD・ビジネス20(B20)・BIAC(OECD経済産業諮問委員会)主催のB20東京サミット・アウトリーチ会合の閉会式に出席し,G20サミットの日本の優先議題等についてスピーチを行いました。

[バイ会談実施国・機関]
ペレグリニ・スロバキア首相ライトハイザー米国通商代表ポポリシオ・ペルー外務大臣ソーライデ・ノルウェー外務大臣アラウージョ・ブラジル外務大臣康京和(カン・ギョンファ)韓国外交部長官グリアOECD事務総長アゼベドWTO事務局長


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