経済協力開発機構(OECD)
経済協力開発機構(OECD)の概要
1 沿革
OECDの前身は、第二次世界大戦後の1948年に発足したOEEC(欧州経済協力機構)で、マーシャル・プランに基づく欧州諸国側の援助の受け入れ体制の整備等、欧州経済の復興と発展に貢献しました。その後、OEECを改組し、1961年に世界的視野に立って国際経済全般について協議する目的でOECDが設立されました。日本は1964年に、原加盟国以外で初めて、また、非欧米諸国として初めて加盟しました。
2 加盟国(以下の38か国)
(1)原加盟国
オーストリア、ベルギー、デンマーク、仏、独、ギリシャ、アイスランド、アイルランド、伊、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英、米、カナダ
(2)その後の加盟国
日本(1964年)、フィンランド(1969年)、豪(1971年)、ニュージーランド(1973年)、メキシコ(1994年)、チェコ(1995年)、ハンガリー、ポーランド、韓国(以上1996年)、スロバキア(2000年)、チリ、スロベニア、イスラエル、エストニア(以上2010年)、ラトビア(2016年)、リトアニア(2018年)、コロンビア(2020年)、コスタリカ(2021年)
3 設立目的
(1)経済成長
資金循環の安定を維持しつつ高度の経済成長を持続すること、雇用の増大及び生活水準の向上を図ること。
(2)開発途上国支援
経済発展の途上にある地域の健全な経済成長に貢献すること。
(3)自由かつ多角的な貿易の拡大
国際的義務に従い、多角的かつ無差別な基礎に立った世界貿易に貢献すること。
4 特色
OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)は、経済成長、開発援助、自由かつ多角的な貿易の拡大を目的とする国際機関(本部はパリ)で、「共通の価値」を共有する38か国が加盟しています。OECDは、経済政策・分析、規制制度・構造改革、貿易・投資、環境・持続可能な開発、公共ガバナンスなど多岐にわたる経済・社会分野において、調査、分析、政策提言を行うことから「世界最大のシンクタンク」とも呼ばれています。
OECDは経済・社会分野の政策協調の場であり、加盟国間の議論を通じ、質の高いスタンダードの形成や先進的課題への対応・ルール作りを先取りしてきました。加盟国は、こうしたOECDの活動に参加することを通じ、自国の経済・社会政策や制度を調整・改善する機会を得ています。
5 事務局(パリ)
- (1)事務総長(任期5年):マティアス・コーマン(ベルギー生まれ・豪国籍、2021年6月就任)
- (2)事務次長:武内良樹(日本出身、2021年就任)、ファブリジア・ラペコレラ(伊出身、2023年就任)、メアリー・ベス・グッドマン(米出身、2024年就任)
- (3)事務局職員総数は3,959名。事務局専門職員及び特別職職員2,338名中、88名(3.76%)(JPOを含む)を日本人職員が占めています(2023年末現在)。
6 日本にとってのOECDの意義
(1)国際的なルール作りへの参画・主導
OECDは、AIや自由なデータ流通などのデジタル分野や気候変動分野、さらに企業活動(コーポレート・ガバナンス、責任ある企業行動、国際課税)に関する分野等のグローバルな課題の共通のルール作りに関する議論を行っています。日本はOECDを通じて、国際社会の先進的課題に関するルール作りを主導していきます。
(2)豊富なデータと信頼できる分析の活用
OECDは2,000人を超える専門家を擁し、豊富なデータと信頼できる分析を各国に提供しています。日本も、世界経済の見通しや、少子高齢化に伴う雇用・労働力の問題、学校教育のあり方等についてOECDの分析を国内の政策策定に活用しています。
(3)インド太平洋地域へのアウトリーチ
日系企業の主要な投資先の1つであるインド太平洋地域にOECDのルール・スタンダードを普及させることは、域内諸国の投資環境整備に繋がり、日本企業の活動・進出基盤を強化することにも繋がります。
日本は、2014年の閣僚理事会で日本が立ち上げを主導し、2024年に10周年を迎えたOECD東南アジア地域プログラム(Southeast Asia Regional Programme:SEARP)を通じて、OECDによる東南アジア地域へのアウトリーチを一層後押ししていきます。