フィリピン共和国
日・フィリピン首脳会談
(写真提供:内閣広報室)
(写真提供:内閣広報室)
本30日,午後5時10分頃から約2時間,安倍晋三内閣総理大臣は,訪日中のロドリゴ・ドゥテルテ・フィリピン共和国大統領(H.E.Mr. Rodrigo R. Duterte, President of the Republic of the Philippines)と,日・フィリピン首脳会談を実施したところ,概要は以下のとおりです。会談には,麻生太郎副総理兼財務大臣及び河野太郎外務大臣他が同席しました。
また,その成果として,今後5年間の二国間協力に関する日・フィリピン共同声明が発出されました。
1 冒頭,安倍総理から,訪日を歓迎。1月にフィリピンを訪問して以来の再会を大変嬉しく思う,ダバオでは,自宅にお招きいただき改めて感謝,ドゥテルテ大統領とはこの1年間で4回目の会談となる,頻繁に親交を深められ,非常に喜ばしい,マラウィ市の解放が宣言されたことを歓迎,大統領の指導力に心からの敬意を表する,テロとの闘いを全面的に支持,引き続き可能な限りの支援を行う,2週間後にフィリピンを訪問することを楽しみにしている,ASEAN関連首脳会議の成功に向け,議長を務められる貴大統領を全面的に支援したい旨述べました。
2 また,安倍総理大臣から,本日は,かけがえのない友人として,両国の「戦略的パートナーシップ」の更なる強化に向け,率直な意見交換を行いたい,本年1月,今後5年間で1兆円規模の貢献策を表明,本日は,これを具体化する今後5年間の協力に関する共同文書を発表したい,協力を迅速かつ確実に実施し,両国の強力な「戦略的パートナーシップ」を世界に示したい旨述べました。
3 その上で,両首脳は,マニラ首都圏の鉄道事業整備,地方との連結性強化,ダバオを含む地方都市開発支援,カビテ州産業地域の洪水対策事業を含む自然災害への強靱性強化,電力課題の解決,LNG基地への日本企業の参入実現,二国間通貨スワップ,「産業ビジョンへの提案」について,意見交換をしました。さらに,両首脳は,マラウィ市の解放は,ドゥテルテ大統領の偉大な功績であり,東南アジアをISの拠点とさせないとの明確なメッセージであり,アジア地域全体の安全にとり極めて重要であること,マラウィ市及びその周辺の復旧・復興に最大限の支援を行うことや,ミンダナオ開発支援の強化について議論しました。また,安倍総理大臣は,違法薬物対策に関し,今後5年間の中長期行動計画を議論した他,テロ・治安・海上安全対策の分野では,25日に国家警察への警備車両40台,11月に3隻の巡視艇の就役式と小型高速艇3隻の引渡式が予定されていることについて述べました。さらに,巡視船等の効果的な運用を図るための,沿岸監視レーダー供与や,海上保安庁が今月設立した,能力向上支援のためのチームが11月にマニラで初の研修訓練を行うことについて述べました。防衛協力を一層推進することについても表明しました。
4 これに対し,ドゥテルテ大統領からは,日本からの長年にわたる支援に感謝,本年3月から3回の「経済協力インフラ合同委員会」を開催することで,多くの進展が見られ,今回の共同文書に盛り込まれた成果が達成されたことを歓迎,フィリピンにとってはいずれも重要なプロジェクト,日本は友人として,ミンダナオにも長く積極的に関与,日本とフィリピンとの協力関係は,長い時の試練を経て磨かれたもの,Build, build, build(作って,作って,作って)で形成された案件を,Done, done, done(完成,完成,完成)と実行に移すことが重要,真の友人である日本との「戦略的パートナーシップ」を強化していきたい旨述べました。
5 両首脳は,また,北朝鮮,海上安全保障,来るASEAN関連首脳会議に向けた連携等,日比共通の課題についても,意見交換を行いました。
6 両首脳は,北朝鮮は核・ミサイル開発を継続しており脅威との認識で一致し,関連安保理決議の厳格な履行の重要性を確認しました。また,安倍政権の最重要課題である拉致問題の早期解決に向け協力していくことを改めて確認しました。
7 ASEAN関連首脳会議については,安倍総理大臣から,日本としてドゥテルテ大統領が議長を務めるASEAN関連の一連の会議の成功を全面的に支援するとの方針を伝達し,ドゥテルテ大統領より,謝意の表明があると共に,よく連携して進めていきたいとの発言がありました。