報道発表

WTO紛争解決「韓国による日本産水産物等の輸入規制」
上級委員会報告書及びパネル報告書の採択

平成31年4月26日

英語版 (English)

  1. 1 本26日(スイス時間同日),世界貿易機関(WTO)紛争解決手続に基づいて,我が国が韓国に対して申立てを行っていた紛争案件「韓国による日本産水産物等の輸入規制」に関して,WTOは,紛争解決機関(DSB)会合を開催し,同会合において上級委員会報告書及び上級委員会によって一部訂正されたパネル報告書が採択されました。

    2 報告書の採択に際し,伊原純一在ジュネーブ国際機関日本政府代表部大使が,以下を内容とする発言仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)を行いました。

    (1)上級委員会報告書は,被災地復興の努力に大きく水をさすものであり,きわめて残念。

    (2)今回の報告書において上級委員会は,(ア)明確な科学的根拠から導かれたパネルの判断を軽視するとともに,(イ)分析が十分でないとしてパネルの判断を取り消した一方,上級委として韓国による輸入規制措置の協定整合性の判断には入っておらず,問題である。

    (3)上級委員会は,本事案ではパネル判断を棄却したのみで,結果として紛争解決に資するものとなっていない。こうした問題について,今後,WTO加盟国・地域とともに議論が必要。

    (4)日本産食品の安全性についてのパネルの事実認定については争いがなく,我が国は輸入規制を継続している国・地域に対し,引き続き早期の措置の撤廃を求めていく。

    (5)今後,(ア)不当な輸入規制の除去に向け取り組むとともに,(イ)現在行われている紛争解決制度に関する議論においても建設的に関与していく。

    3 同会合では,10を上回る国から,我が国の問題提起について前向きな発言がなされました。例えば,日本は科学的根拠に基づき,韓国の措置がWTO協定に非整合的であるとの挙証責任を果たしたにもかかわらず,上級委員会が実質的な理由なく判断を覆したのは遺憾であるとの発言がありました。また,別の国からは,日本に専門家を派遣し,調査した結果,日本産食品の安全性が確認されたため,輸入規制措置を解除しており,日本産食品は安全であるとの発言がありました。

    【参考】本件の経緯と概要

    (1)2011年3月の東京電力(株式会社)福島第一原子力発電所における事故後,韓国は日本産水産物等への輸入規制を順次導入。更に2013年9月に輸入規制を強化した((ア)8県産水産物(注)全面輸入禁止及び(イ)追加的な放射性核種検査要求の対象を水産物を含む全ての日本産食品に拡大)。
     (注)8県:青森,岩手,宮城,福島,茨城,栃木,群馬,千葉

    (2)こうした措置がWTO協定上の義務に違反しているおそれがあるため,2015年5月,我が国は韓国に対してWTO紛争解決手続に基づく協議を要請し,同年6月に協議を実施した。同年8月,我が国は,WTOにパネル設置要請を行い,翌9月パネルが設置された

    (3)2018年2月,パネルは,韓国による日本産水産物等の輸入規制措置は「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」(SPS協定)に非整合的であると判断し,韓国に対して措置を同協定に適合させるよう勧告する報告書を公表した

    (4)WTO紛争解決制度においては,紛争当事国はパネル報告書について上級委員会に申立てをすることができる(いわゆる二審制)。2018年4月,韓国はパネルの判断を不服として上級委員会へ申立てを行った。

    (5)4月11日に発出された上級委員会報告書は,パネルの判断(上記3)の一部を取り消した。

    (6)上級委員会報告書は,WTO紛争解決了解の規定により,本26日開催されたWTO紛争解決機関(DSB)の会合において採択された(上級委員会報告書に関する更なる申立てはできない。また,採択においてはネガティブ・コンセンサス・ルールが適用され,会合出席国の全てが反対しない限り,報告書は採択されることとなる)。


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