報道発表
韓国による日本産水産物等の輸入規制に関するWTO協定に基づくパネル設置
1 本28日(現地時間同日),我が国が世界貿易機関(WTO)に対し設置要請を行っていた,韓国による日本産水産物等の輸入規制に関するパネル(小委員会)が設置されました。
2 本件では,韓国が,2011年3月の東京電力(株)福島第一原子力発電所における事故後導入し,2013年9月に強化した日本産水産物等の輸入規制について,WTO協定との整合性が問題となっています。
3 政府としては,本件問題がWTOのルールに従って適切に解決されるよう,今後の手続を進めていくとともに,韓国への二国間での働きかけを継続していく予定です。
(参考1)本件に関する経緯
(1)韓国政府は,2011年3月の福島第一原子力発電所の事故を受け,福島県を含む8県の50種の水産物の輸入禁止を始めとした日本産食品の輸入規制を実施。
(2)2013年9月,福島第一原発における汚染水問題を受け,日本産水産物等の輸入規制を強化した。
(ア)福島県を含む8県(青森,岩手,宮城,福島,茨城,栃木,群馬,千葉)の全ての水産物の輸入禁止。
(イ)全ての日本産食品でセシウム又はヨウ素の放射性物質が少量でも検出された場合,その他の核種(ストロンチウム,プルトニウム等)に関する放射性物質検査結果証明書の提出の義務付け。
(3)我が国は,本年,5月21日にWTO協定に基づく日韓二国間協議を要請。6月24日及び25日,ジュネーブにおいて二国間協議を開催し,8月20日にWTO事務局にパネル設置要請書を提出。8月31日に行われたDSB定例会合では被申立国(韓国)の反対によりパネル設置は行われず。2回目の設置申請となる今回のDSB会合では,パネルを設置しないことがコンセンサスにより決定されなかったため,パネルが設置された(紛争解決に係る規則及び手続に関する了解第6条1)。
(参考2)WTO紛争解決制度におけるパネルについて
他の加盟国による協定非整合的な措置によって不利益を被ったとする加盟国は,当事国間での協議を通じて紛争が解決されない場合,一定の期間を経た上で,パネルに紛争を付託し,問題とされる措置と協定との整合性について判断を求めることができる。なお,パネルによる判断に不服のある当事国は,最終審に相当する上級委員会に対して上訴することができる。