パレスチナ
日・パレスチナ首脳会談
(写真提供:内閣広報室)
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5月1日午後7時15分から約45分間,パレスチナを訪問した安倍総理大臣は,マフムード・アッバース・パレスチナ大統領(H.E. Dr. Mahmoud Abbas, President of Palestine)と首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。
1 冒頭
アッバース大統領から,安倍総理に対する歓迎の辞,それから日本のパレスチナに対する変わらぬ支援について,深い謝意の表明があり,これに続けてパレスチナを巡る状況について説明がありました。
これに続き,安倍総理から,2年ぶりの再会を歓迎しつつ,今回は,エルサレム問題等,厳しい状況にあるパレスチナに対して,日本は二国家解決を支持しており,また,和平に積極的な役割を果たす決意を伝えるために来訪した旨述べました。
また,第一次安倍政権時に建設に合意したジェリコ農産加工団地,いわゆるJAIPを翌2日に初訪問することに触れ,今次訪問による日本パレスチナ関係の更なる発展を期待する旨述べました。
2 中東和平
引き続き,両首脳は,中東和平について議論をしました。安倍総理からは,日本は,パレスチナにとってエルサレム問題がいかに機微かを良く理解しており,エルサレム問題を含め,これまでの国連諸決議や当事者間の合意に基づき,交渉により解決すべきとの立場であり,日本は大使館をエルサレムに移すつもりはない旨説明しました。また,米国の役割は不可欠であり,米国から提案の提示があれば,これに向き合い交渉につくことが重要であること,最終的には,当事者間の直接交渉がなければ解決には至らない旨指摘しました。さらに,日本は,アッバース大統領の非暴力と平和路線を支持する,交渉を始めるための環境づくりのためできるだけのことをする旨伝えました。
これに対し,アッバース大統領から,日本による一貫した支持,支援に対する感謝の表明があり,中東和平の実現に向けた日本の役割に期待する旨述べました。
3 対パレスチナ支援
次にパレスチナ支援に関して,安倍総理から,日本はこれまで約18.6億ドルのパレスチナ向け支援を実施してきたこと,4月24日に国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への1千万ドルの追加支援を決定したこと,また新規食糧支援も行う用意があること,さらにガザでの水等の基礎インフラは最低限の生活に必須であり,日本は,ガザ中央淡水化プラント建設計画に対し,1千万ドルを上限とした支援を行う旨を既に表明していること等につき説明しました
4 「平和と繁栄の回廊」構想
次に,「平和と繁栄の回廊」構想に関し,両首脳は,JAIPからヨルダン国境までのアクセス道路建設に関する,四者閣僚会合での合意を歓迎し,安倍総理から,日本は,アクセス道路建設を支援する用意がある旨,そして早期着工を期待している旨を述べました。
アッバース大統領からは,このプロジェクトはメイドインジャパンであり,素晴らしいものである,パレスチナに希望を与えるものであり,今後とも協力していきたい旨発言がありました。
5 パレスチナ情勢
安倍総理から,パレスチナ情勢に関し,ガザの人道状況の改善と安定には,パレスチナの和解を通じ,パレスチナ自治政府がガザを統治することが不可欠である旨述べ,これに対して,アッバース大統領から,パレスチナ民族評議会(PNC)の成果を含めた今後の見通しについて説明がありました。
6 北朝鮮情勢
北朝鮮情勢につき,安倍総理から,大量破壊兵器と弾道ミサイルについての完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な非核化(CVID)を実現するため,最大限の圧力を維持しなければならない,中東が制裁の抜け穴となってはならない,さらに拉致問題は最重要課題である,といった日本の立場について説明しました。
アッバース大統領からは,日本の立場を支持する,拉致問題の解決に向けて協力していきたい旨の発言がありました。