テロ・国際組織犯罪・サイバー犯罪

令和7年1月16日

1 背景

  • グローバリゼーションの進展に伴い、国境を越えて大規模かつ組織的に行われる国際組織犯罪の脅威が深刻化しています。国際組織犯罪は、社会の繁栄と安寧の基盤である市民社会の安全、法の支配、市場経済を破壊するものであり、国際社会が一致して対処すべき問題です。
  • 国際組織犯罪の主な例としては、薬物や銃器の不正取引、人身取引、不法移民、マネー・ローンダリング(資金洗浄)等の金融犯罪、横領等の企業犯罪や経済犯罪、腐敗、オンライン詐欺を含むサイバー犯罪等が挙げられます。また、近年の特徴として、これらの犯罪にIT(情報通信技術)が駆使され、その手口が一層悪質・巧妙化しています。
  • このような国際組織犯罪に対処するためには、各国が刑事司法、法執行制度を強化するとともに、国際的な司法・法執行協力により法の抜け穴をなくす努力が必要です。また、国際組織犯罪は、しばしば司法・法執行制度の脆弱な国を本拠地として活動を展開することから、途上国の刑事司法制度を強化するための支援も重要となっています。

2 国際社会の取組

(1)国連における取組

 国連では、経済社会理事会の機能委員会の一つである犯罪防止刑事司法委員会(CCPCJ(注1))において、国際組織犯罪に対する取組について、様々な角度からの討議が行われているほか、5年ごとに開催される国連犯罪防止刑事司法会議(通称コングレス(注2))においても、国際組織犯罪対策が討議されています。また、古くからある国際組織犯罪の一つである違法薬物取引に関しては、機能委員会の一つとして昭和21年(1946年)に麻薬委員会(CND(注3))が設立され、薬物問題に特化した議論が行われています。国連には、これら両委員会の事務局を兼ねる国連薬物・犯罪事務所(UNODC)(在ウィーン)が設置されており、薬物犯罪その他の国際組織犯罪対策に関する様々な技術協力や調査研究活動を行っています。

  • (注1)平成4年(1992年)設立。40か国により構成。任期3年。毎年開催される委員国による政府間会議であり、国連の犯罪防止刑事司法分野における取組にガイダンスを与えています。
  • (注2)昭和30年(1955年)以来、5年ごとに開催され、参加国、国際機関、NGO及び個人の専門家等が一同に会し、犯罪防止・刑事司法全般にわたってより広い角度から議論を行い、勧告、提言等を行っています。第14回コングレス(令和3年(2021年))は京都で開催されました。
  • (注3)昭和21年(1946年)設立(前身は大正9(1920年)設立)。53か国により構成。任期4年。毎年開催される委員国による政府間協議であり、国連の薬物分野における取組にガイダンスを与えています。

【関連リンク】

(2)G7及びG20の取組

 G7においては、G7各国の刑事司法や法執行等の専門家によって構成されるローマ・リヨン・グループにおいて、実務的な観点から、国際組織犯罪対策と同分野における国際協力を検討してきており、G7首脳等に対して、その成果や検討事項等について報告を行ってきています。近年では、児童ポルノやハイテク犯罪、腐敗対策をはじめ、組織犯罪に有効に対処するための捜査手法や司法協力のあり方などについて議論を行っています。
 G20においては、腐敗は、経済成長と発展の妨げとなり、市場の清廉性を脅かし、公平な競争を弱体化させ、資源の配分をゆがめ、公衆の信頼と法の支配を弱めるものであるとの問題意識に基づき、平成22年(2010年)に腐敗対策作業部会が創設されました。創設10年目の節目に当たる令和2年(2020年)には、腐敗の防止・撲滅に向けた国際協力を一層強化する観点から閣僚会合が初めて開催され、新しい腐敗対策行動計画における優先課題等について議論が行われ、その後、令和5年(2023年)及び令和6年(2024年)にも閣僚会合が開催されました。

3 国際的な法的枠組み整備と日本の取組み

 日本は、前述の国連の委員会をはじめとする多国間の会議に積極的に参加して、国際組織犯罪対策に関する検討に参加するとともに、UNODCなど国際機関への拠出や二国間の支援を通じて国際社会による組織犯罪対策に協力してきています。

 また、国際社会は、国際的な協力体制の確立のために、国際組織犯罪防止条約をはじめ、下記の各課題に対処するための国際的な枠組みの整備にも努めてきています。日本も、これらの各枠組みに参加して国際協力を進めたり、枠組みに参加したりするための手続きを進めています。

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