3 中南米各国
(1)メキシコ
メキシコでは、6月に大統領選挙が実施され、与党のシェインバウム候補が約60%の高い得票率で当選し、10月に大統領に就任した。また、同日に実施された連邦上下両院議員選挙では、与党連合が両院で改憲勢力をほぼ確保した。
日本との関係では、2月にG20外相会合出席のためにブラジルを訪問した上川外務大臣がバルセナ外相と外相会談を行い、4月には、柘植外務副大臣がメキシコ全国日系人大会及びジャパン・エキスポ出席のためメキシコを訪問した。また、9月から10月にかけて、中曽根弘文特派大使(参議院議員)がメキシコを訪問し、シェインバウム大統領就任式に出席したほか、エブラル次期経済相などと会談を行った。
経済関係では、ニアショアリング(消費地の近くに供給源を設けること)の流れの中で日系企業の進出が続いており、中南米地域で最多の約1,500社に達している。9月の中曽根特派大使(参議院議員)とエブラル次期外相との会談では、二国間関係、特に経済関係の重要性について認識を共有したほか、両国の新政権の下、より一層関係を強化していくことを確認した。
第三国との関係では、伝統的に対米関係、対中南米関係を重視している。9月には、ロペス・オブラドール大統領及びシェインバウム次期大統領が、ルーラ・ブラジル大統領就任式に先立ち、同大統領と会談を行い、10月のシェインバウム大統領就任式には、中南米各国の国家元首や閣僚、国際機関の長が出席し、シェインバウム大統領は、ディアスカネル・キューバ大統領と会談を行った。
(2)中米(エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、ドミニカ共和国、ニカラグア、パナマ、ホンジュラス、ベリーズ)
エルサルバドルとの関係では、2月に2期目の当選を果たしたブケレ大統領の就任式が6月に行われ、穂坂外務大臣政務官が特派大使として出席した。また、10月にはミラ外務副相が6月に続き訪日し、穂坂外務大臣政務官と共に日・エルサルバドル政策協議に係る覚書に署名するとともに、第1回日・エルサルバドル政策協議を開催した。
グアテマラとの関係では、1月に行われたアレバロ大統領の就任式に穂坂特派大使(外務大臣政務官)が出席し、大統領表敬などを行ったほか、5月にはマルティネス外相が訪日して日・グアテマラ外相会談が行われた。

コスタリカとの関係では、8月にチャベス大統領の名代として、ブルネル第一副大統領一行が訪日し、閣僚級では初めて広島平和記念式典に参列したほか、林芳正官房長官との協議を実施し、また副大統領に随行したアンドレ外務・宗務相は上川外務大臣との外相会談を行った。

ドミニカ共和国との関係では、2024年は日・ドミニカ共和国外交関係樹立90周年であり、両国で様々な記念行事が行われた。5月に行われた大統領選挙において現職のアビナデル大統領が再選し、8月に行われた大統領就任式には渡辺博道特派大使(衆議院議員)が出席、大統領表敬などを行った。また、2月に第3回日・ドミニカ共和国政策協議を実施した。
2024年に日・パナマ外交関係樹立120周年を迎えたパナマとの関係では、1月7日の外交関係樹立日に合わせ、首脳間の祝辞交換、日本及びパナマの双方における記念式典、対パナマ短期滞在査証免除の導入発表などが行われた。また、2月には上川外務大臣がパナマを訪問し、コルティソ大統領への表敬などを行った。さらに、5月に行われた大統領選挙において目標実現党(RM)のムリーノ候補が当選し、7月に行われた大統領就任式には今村雅弘特派大使(衆議院議員)が出席し、大統領への表敬や、新旧外相及び運河庁長官との会談などを行った。
ホンジュラスとの関係では、1月に穂坂外務大臣政務官が同国を訪問し、カストロ大統領への表敬を行ったほか、外相や国会議長などと意見交換した。6月にはセラヤ大統領私設秘書官が訪日し、斉藤鉄夫国土交通大臣や穂坂外務大臣政務官などと、同国が推進する「大洋間鉄道建設計画」に関する意見交換を行った。
コスタリカ、パナマ、ドミニカ共和国により設立(2021年)された「民主主義強化同盟」(略称:ADD)(10)は、これを価値や原則を共有するグループと位置付ける米国と協調しつつ、地域における人権を尊重した透明性の高いプロセスによる開発とともに、協力、貿易、投資面の推進を目指しており、7月には、ベネズエラ選挙の実施に先立ち、自由で公正かつ透明性が保証されることを要請する声明文を発表した。
(3)キューバ
主要産業の観光業を始め国内経済の悪化が極めて深刻化しており、10月の全国的な大規模停電や自然災害等により、国民生活は一層厳しさを増した。日本は11月のハリケーン・ラファエルによる被害に対し、緊急援助を実施した。
(4)ブラジル
ルーラ政権は、G20の議長国として、「飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス」の立ち上げなどに取り組んだ。また、環境・気候変動対策を重要な政策課題として掲げ、8月にはブラジル北部ベレンでアマゾン協力条約機構8か国によるアマゾン・サミットを開催し、地球規模課題への対処に取り組んでいる。
日本との関係では、2月にG20外相会合出席のためにリオデジャネイロを訪問した上川外務大臣がヴィエイラ外相と会談を行い、アジア諸国で初となるアマゾン基金(11)への拠出を表明した。5月には、岸田総理大臣が日本の総理大臣として10年ぶりにブラジルを公式訪問した。ルーラ大統領との首脳会談では、環境・気候変動や持続可能な開発に関する協力を更に高い次元に引き上げるため、「日・ブラジル・グリーン・パートナーシップ・イニシアティブ(GPI)」を立ち上げた。また、11月、G20リオデジャネイロ・サミットに出席するためブラジルを訪問した石破総理大臣はルーラ大統領と会談を行い、2025年の両国の外交関係樹立130周年の節目の年に両国関係を更に強固にしていくことを確認した。



このほか、経済関係では、4月に日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議、11月に日本ブラジル経済合同委員会が開催されるなど、官民両方で、両国間での経済関係強化に向けた対話が活性化している。
(5)アルゼンチン
2023年12月に就任したミレイ大統領は、同政権の最優先課題とする経済・財政の立て直しに向け、自由至上主義の信条の下、公約に掲げる緊縮財政や規制緩和などの取組を推し進め、財政赤字の削減やインフレの抑制、また、大型投資推奨制度の施行を通じた投資環境の改善など、一定の成果を上げた。一方、少数与党政権としての議会運営、貧困率上昇への対応、様々な規制の引き続きの緩和、国民が実感できる経済成長の実現などが課題となっている。
日本との関係では、1月に上川外務大臣とモンディーノ外相との間で外相電話会談を行い、3月には同外相が外務省賓客として訪日し、両外相間で、価値や原則を共有する重要な「戦略的パートナー」として、日系社会などを通じた二国間関係強化及び国際場裡での協力の重要性について確認した。さらに6月には、イタリアで開催されたG7プーリア・サミットにおいて、岸田総理大臣はミレイ大統領との初めての接点として立ち話を実施し、国際場裡における両国の協力を推進していくことで一致した。
(6)ペルー
2024年のAPEC議長国として、「エンパワーメント、包摂、成長」をテーマとして掲げ、首脳会合を含め各分野の会合を主催した。
日本との関係では、5月に高村正大(ひろ)外務大臣政務官がAPEC貿易担当大臣会合に、11月には石破総理大臣及び岩屋外務大臣が、それぞれAPEC首脳会議及び閣僚会議に出席するためペルーを訪問した。その際、石破総理大臣は公式訪問として、ボルアルテ大統領との首脳会談を実施し、2023年の外交関係樹立150周年を踏まえ、今後の10年間の幅広い協力を見据えた関係構築に向け、共同声明及びロードマップを採択した。岩屋外務大臣はシアレル外相と外相会談を実施し、更なる二国間関係の強化が必要であることを確認した。



5月、ブラジルを訪問した岸田総理大臣は、10年ぶりとなる総理大臣による中南米政策スピーチを行いました。その中で、日本と中南米との歴史を振り返り、明治維新や戦後といった日本の近代史における節目において、中南米諸国が日本に手を差し伸べてくれたことを想起し、長い友好と協力の歴史を経て、双方の関係が、互いを尊重し、学び合う、重要なパートナーシップに昇華したことを紹介しました。そして、国際秩序が新たな挑戦に直面し、自由や民主主義が脅威にさらされている今こそ、日本と中南米が、これまで共に歩んできた「道のり」を振り返り、より良い未来に向けて新たな「道のり」を示す時であると呼びかけました。対立や分断ではなく協調へ、そのために「多様性」と「包摂性」を問題解決の「道のり」の大前提に置いたのです。

スピーチの締めくくりでは、日本語にもスペイン語にも、「道のり」を謳(うた)った詩があるとして、高村光太郎の「道程(どうてい)」とスペインの詩人アントニオ・マチャードの詩が紹介されました。高村が遺(のこ)した「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」という節は、時期をほぼ同じくしてマチャードが紡いだ「道行く人よ 道があるのではない 道は歩むことにより作られる」という節と見事に共鳴しています。これは単なる偶然でしょうか。日本では、高村の「道程」を多くの児童が小学校で学んでいます。スペインや中南米では、マチャードの「道行く人よ」で始まる節を多くの人々が諳(そら)んじてみせます。つまり、「道のり」を自ら切り拓(ひら)いていくという考えは、地理的距離や文化的違いを超越して、日本と中南米の双方において、人生訓として培われてきたのです。この考えは、日本と中南米が、長年の交流の歴史の中で、価値や原則を共有しながら、多様性を尊重する中で示してきた通奏低音ともいえましょう。


2024年は、ペルーでアジア太平洋経済協力(APEC)、ブラジルでG20が開催されたことや、日・カリブ交流年などの周年行事があったことから、日本と中南米の関係強化の好機として「中南米イヤー」と位置付けられました。しかしながら、いくら好機であったとしても、眼前の「未知」を自らの歩みをもって「道」に変えていく意思と、相手への尊重・信頼がなければ、好機を十分いかすことはできません。
2025年は、日・ブラジル外交関係樹立130周年、日・中米交流年(中米5か国1と日本との外交関係樹立90周年)などの周年となります。また、国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)がブラジルで開催されます。2024年に続き、2025年も合わせて「中南米イヤーズ」と位置付けながら、日本と中南米が共に歩を進め、自国の利益のみならず、国際社会全体の安定や人類共通の課題克服のため、更なる「道のり」を切り拓いていくことが、これまで以上に期待されています。
1 中米5か国:エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、ニカラグア、ホンジュラス
(7)チリ
2022年3月に発足したボリッチ政権は、格差縮小、福祉充実を目指し、年金や税制を始めとする社会保障政策の改革などの推進を掲げているものの、政権を支える左派の与党が上下議会双方で少数派となっていることなどが影響し、諸政策の実現は難航している。新憲法制定プロセスに関しては、2023年6月に創設された憲法審議会を中心に作成された新憲法案が12月の国民投票で否決され、ボリッチ大統領は自身の任期中における制憲プロセスの終了を発表した。
日本との関係では、6月にはデ・ラ・フエンテ外務次官が訪日し、第10回日チリ政策対話が開催された。同政策対話において両国は気候変動、防災、宇宙、ジェンダー平等、海洋といった幅広い分野での協力関係を緊密化することなどで一致した。
(8)ウルグアイ
2020年3月に発足したラカジェ・ポウ政権は、就任当初から任期後半となる現在(2024年末時点)まで、安定した政権運営で高い支持率を維持しており、民主主義指数(12)では、中南米1位を誇っている。経済政策では、自由貿易主義を堅持し、市場の拡大・解放を重視し、対外政策では、民主主義、法の支配、人権擁護の価値に基づく外交を展開している。11月、大統領の任期満了に伴う大統領選挙が実施され、野党拡大戦線のオルシ候補が次期大統領に選出された(就任は2025年3月)。
(9)パラグアイ
2023年8月に就任したペニャ大統領は、引き続き、法の支配、人権の尊重などの価値や原則を擁護し、自由で開放的な経済政策を推し進め、投資誘致・雇用創出に力を入れている。
日本との関係では、3月にラミレス外相が訪日し、林官房長官や上川外務大臣と会談を行った。5月には、岸田総理大臣が、日本の総理大臣として2018年以来2度目となるパラグアイ訪問を行い、ペニャ大統領との間で価値と原則を共有する重要なパートナーとして、幅広い分野において協働、関係強化していくことで一致した。

(10)コロンビア
2022年8月に発足したペトロ政権は、コロンビア初の左派政権として「変革の政府」を掲げ、格差是正のための包摂的な社会改革、脱炭化水素経済への移行、全面和平を主要政策として掲げたが、連立与党内での対立により議会運営は厳しい状況にあり、各種改革法案の成立に向けた目処(めど)が立たない状況にある。また、国内武装勢力との全面和平に向けて、ペトロ政権は国民解放軍(ELN)(13)を始め、武装勢力との和平交渉を進めようとしているものの、全面和平に向けた道筋は立っていない。
日本との関係では、2月にナメ上院議長が参議院の招待により訪日し、衆参両院議長らとそれぞれ意見交換を行った。また、9月には第1回日コロンビア貿易投資・産業協力合同委員会がコロンビアで開催され、両国の官民で対話を行い、二国間の貿易投資促進を推進していくことを確認した。
(11)ベネズエラ
7月に実施された大統領選挙では現職のマドゥーロ大統領が勝利宣言を行ったが、ゴンサレス野党統一候補側は、野党が独自に調査した結果、ゴンサレス候補が67%以上の票を獲得し、大統領選挙に勝利したと主張した。選挙結果をめぐり各地で抗議デモなどが発生し、報道によると20人以上が死亡、1,100人以上が逮捕された。同選挙に対しては国内外から票の集計を含む選挙プロセスの透明性に疑義が呈されている。マドゥーロ政権は、ゴンサレス候補を同選挙の勝者としたアルゼンチン、コスタリカ、ペルー、パナマ、ウルグアイ及び選挙プロセスの透明性に疑義を呈したチリ、ドミニカ共和国のベネズエラ駐在外交官の退去及びこれら各国に駐在する自国外交官の召還を行った。一方、キューバ、ニカラグア、ホンジュラスなどはマドゥーロ大統領を支持しており、中南米域内で、ベネズエラをめぐり深刻な分断が発生している。また、同選挙に関し、日本は、投票した全てのベネズエラ国民の意思が尊重されるよう、投票結果の信頼性を裏付ける上で必要な全ての情報が公表され、大統領選挙プロセスの透明性が確保されることを求めている。
9月には野党統一候補であったゴンサレス氏に逮捕状が請求され、同氏はスペインに亡命した。これに対しては、米国、EU、ドイツ、フランスといった国がマドゥーロ政権に対する非難声明を発出した。また、米国は9月、11月に対ベネズエラ個人制裁の追加対象者を発表した。これに対し、マドゥーロ政権は反発し、両者の対立が強まっている。国内の経済・社会情勢及び人道状況の悪化により、ベネズエラ国民が避難民として引き続き周辺国に流入し、その受入れが地域的課題となっている。日本は、避難民を含むベネズエラ国民及び周辺国に対する1.3億ドルの支援を実施している。
(12)ボリビア
ボリビアは、2025年に行われる大統領選挙をめぐり、大統領選挙への立候補を表明しているモラレス元大統領と再選を狙うアルセ大統領が対立しており、モラレス支持派による道路封鎖や同支持派と警察との衝突が発生するなど、混乱した状況が続いている。また、経済では、天然ガスなどの天然資源の輸出に依存する経済構造に依拠しているが、天然ガスの埋蔵量の急減などを背景に、財政赤字が膨張し、外貨不足が深刻化している。一方、ボリビアにおけるリチウムの推定埋蔵量は世界最大とされており、ボリビア政府は、9月にロシア企業との間で、11月に中国企業との間でそれぞれリチウム工場建設契約を締結するなど、リチウム探査・採掘に向けた動きを活発化させている。
日本との関係では、2024年、日・ボリビア外交関係樹立110周年及び日本人のボリビア移住125周年を迎え、年間を通じて両国において各種行事が開催された。2月には、約11年ぶりとなる日・ボリビア外相会談が開催され、両国関係を更に強化していくことを確認した。また、4月にボリビアで開催された日・ボリビア外交関係樹立110周年記念式典に際し、上川外務大臣は祝意を表すビデオメッセージを発出した。10月には、同国における森林火災被害に対して、人道的観点及びボリビアとの友好関係に鑑み、緊急援助物資が供与された。
(13)エクアドル
2023年11月に発足したノボア政権は、1月の犯罪組織リーダーの脱獄を機に国内全土を対象に60日間の非常事態宣言を発令し、大統領令で国内が犯罪組織との武力衝突状態にあることを宣言するなど、国内の治安回復に向け、大型刑務所の建設や国境及び港の取締り強化などを進めた。また、歴史的な干ばつに伴い、主力の水力発電能力の低下により、計画停電を実施するなどの対応を実施した。
日本との関係では、2023年に続いて、2024年もエクアドルは日本と共に安保理非常任理事国を務めており、両国間で、現在の厳しい国際情勢への対応や、安保理改革を含む国連の機能強化に向けて連携した。
─日・ボリビア外交関係樹立110周年及び日本人のボリビア移住125周年─
日本にとって地球の裏側にあるボリビアは、地理的にはとても遠い国です。しかし、標高4,000メートルを超えるアンデス山脈や世界最大の塩原といわれるウユニ塩湖については、写真などを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。ここでは日本とボリビアが有する長い友好の歴史について紹介します。
2024年、日本とボリビアは、外交関係樹立110周年及び日本人のボリビア移住125周年となる節目の年を迎えました。2月には約11年ぶりとなる日・ボリビア外相会談が行われ、上川外務大臣とソサ外相は両国関係を強化していくことを確認しました。3月には二つの周年を記念するロゴマークが発表され、4月には、ボリビアで開催された外交関係樹立110周年記念式典に、上川外務大臣が祝意を伝えるビデオメッセージを寄せるなど、両国は周年を契機として、更に緊密な関係を築いています。


ボリビアに最初の日本人移民が移住したのは1899年(明治32年)に遡ります。ペルーに向かった日本人移民のうち、一部の人々がアンデス山脈を越えてボリビアに移住したのが始まりです。戦後、東部サンタクルス市近郊に設置された日系人移住地であるオキナワ移住地とサンフアン移住地において、移住者たちは土地の開拓など、大変な困難を経験しましたが、米や大豆の栽培及び養鶏などを通じて、同地域をボリビア国内有数の農業生産地に成長させました。現在、ボリビア国内全体で約1.3万人以上の日系人が暮らしており、日系人は日本とボリビアの友好の架け橋として活躍しています。
ボリビアでは、6月に発生した森林火災が国内で拡大し、死傷者を含む多数の被災民と物的被害が生じました。日本政府は、10月、被災者の方々を支援するために、ボリビアに対して緊急援助物資を供与しました。そのほか、日本はこれまでも長年にわたってボリビアに対する支援を行ってきました。「経済基盤の整備及び生産分野の多様化」及び「社会的包摂の促進」を重点分野とし、サンタクルス市のビルビル国際空港の建設、日系移住地を結ぶ「オキナワ道路」の舗装及び道路改良、再生可能なエネルギー開発、教育施設の校舎建設や医療機材の供与など、様々な分野でボリビアの発展に向けた協力を行っています。

ボリビアの日系人数は中南米地域で5番目に多い数ですが、その中でもボリビアの日系人は日本語教育に熱心であり、若い世代も日本語を話します。また、日系人移住地では日本文化が今も継承され、日本の祭りなども開催されています。
今後も両国が様々な交流を通じて友好の絆を育み、共に協力していくことが期待されます。
(10) ADD:Alliance for Development in Democracy
(11) アマゾンの森林保護を目的としてブラジル政府が設立した基金
(12) 出典:Economist Intelligence Unit's Democracy Index 2022
(13) ELN:Ejercito de Liberacion Nacional, National Liberation Army