外交青書・白書
第2章 地球儀を俯瞰する外交

第2節 北米

総論

日米両国は、基本的価値及び戦略的利益を共有する同盟国である。日米同盟は、日本の外交・安全保障の基軸であり、アジア太平洋地域のみならず世界の安定と繁栄にも大きな役割を果たしている。

5月に、オバマ大統領は、米国の現職大統領として初めて広島を訪問した。この訪問は、戦没者を追悼し、「核兵器のない世界」を目指す国際的機運を再び盛り上げる上で、極めて重要な歴史的機会となり、同時に、戦後70余年の間築き上げられてきた日米同盟、「希望の同盟」の強さを象徴するものになった(特集「オバマ米国大統領の広島訪問」14ページ参照)。

12月には、安倍総理大臣によるハワイ訪問が実施された。この訪問において、安倍総理大臣は、二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないとの未来に向けた決意を新たにするとともに、かつて敵国として戦った日米両国を、戦後、価値を共有する同盟国へと変容させた日米の和解の力を世界に向けて力強く発信した(特集「安倍総理大臣のハワイ訪問」67ページ参照)。

日米首脳会談でオバマ米国大統領と握手する安倍総理大臣(12月27日、米国・ハワイ 写真提供:内閣広報室)
日米首脳会談でオバマ米国大統領と握手する安倍総理大臣(12月27日、米国・ハワイ 写真提供:内閣広報室)

2016年には、オバマ大統領による広島訪問、安倍総理大臣によるハワイ訪問に加え、G7伊勢志摩サミットにおける日米首脳会談G7広島外相会合における日米外相会談など、日米要人間で緊密な意思疎通が行われた。こうした機会を通じ、日米両国は、日米同盟を一層強化させ、アジア太平洋地域での協力を始めとして、気候変動、テロ対策といった地球規模の課題への対応においても緊密に協力し、国際社会の喫緊の課題に日米が連携して対処する姿を強く示した。

2017年1月、トランプ大統領は、第45代米国大統領に就任した。その直後の2月、安倍総理大臣は、米国を訪問し、トランプ大統領との間で大統領就任後初めての首脳会談を行い、その際に共同声明を発出した。また、麻生副総理兼財務大臣とペンス副大統領の下での経済対話の立ち上げについても決定した。この訪米では、両首脳は確固たる個人的な信頼関係を築くとともに、日米同盟は揺るぎないとの明確なメッセージを世界に向けて発信した。トランプ大統領が率いる米国新政権と共に、この揺るぎない日米同盟を更に確固たるものにし、日米の絆(きずな)を一層強化していく。

トランプ米国大統領の出迎えを受ける安倍総理大臣(2017年2月10日、米国・ワシントンDC 写真提供:内閣広報室)
トランプ米国大統領の出迎えを受ける安倍総理大臣(2017年2月10日、米国・ワシントンDC 写真提供:内閣広報室)

日本とカナダは、基本的価値を共有するアジア太平洋地域の重要なパートナーであると同時に、共にG7のメンバーであり、政治、経済、安全保障等、幅広い分野で密接に協力している。

安倍総理大臣は、3月及び5月にトルドー首相との間で首脳会談を行い、「日加協力新時代」を切り拓(ひら)いていくことで一致したほか、地域情勢や国際場裏での協力等についても認識を共有した。

経済面では、5月の首脳会談で安倍総理大臣はTPP協定の重要性を強調し、それぞれ国内で議論を進めていくことを確認したほか、日・カナダ次官級経済協議(JEC)を進化させることで一致した。

岸田外務大臣は、4月、ディオン外相と会談を行い、安全保障分野での協力を含め、日・カナダ関係を更に強化することで一致したほか、4度目となる11月の会談では、「日加協力新時代」の具体化を更に進め、日・カナダ物品役務相互提供協定(日加ACSA)締結に向けた議論を更に進めることで一致した。

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