食料安全保障
食料安全保障・栄養に関するG7国際シンポジウム(概要と評価)
平成28年10月26日



1 シンポジウム概要
- (1)10月25日及び26日,東京において,外務省主催によりG7伊勢志摩サミットのフォローアップとして「食料安全保障・栄養に関するG7国際シンポジウム」を開催(プログラム(PDF)
)。G7各国政府,国際機関,市民社会,民間企業,在京大使館等から,2日間でのべ200名以上が参加した。開会挨拶として安倍昭恵内閣総理大臣夫人が「地域に根ざし自然を尊重する形で,持続可能な農業を進め安全・安心な食を確保する個別の取組が,いずれ集合体となり大きな渦となって社会を変えることを目指したい」と述べ,また,薗浦健太郎外務副大臣が「G7伊勢志摩サミットの成果と日本のビジョン(英文 (PDF)
/和文仮訳(PDF)
)」について基調講演を行った。
- (2)G7は,2015年にドイツで開催されたG7エルマウ・サミットにおいて,「2030年までに開発途上国において5億人を飢餓及び栄養不良から救い出す」という野心的な目標を掲げ,その達成に向けた「食料安全保障及び栄養に関する広範な開発アプローチ」を発表した。そして,本年,日本で開催された,「G7伊勢志摩サミットにおいて,このアプローチに基づき,「食料安全保障と栄養に関するG7行動ビジョン」(英文(PDF)
/骨子(PDF)
/仮訳(PDF)
)(G7行動ビジョン)を発表し,G7が協働して取り組む重点行動分野((1)農業及びフードシステムにおける女性のエンパワーメント,(2)人間中心のアプローチを通じた栄養改善,(3)農業及びフードシステムにおける持続可能性及び強靱性の確保)と,具体的な行動を示した。これらのG7の行動は,「アディスアベバ行動目標」を含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(2030アジェンダ)の実施にも貢献する。
- (3)この国際シンポジウムは,G7行動ビジョンに関するパネル・ディスカッションを通じ,G7伊勢志摩サミットの成果を発信するとともに,今後の食料安全保障・栄養分野の取組に関する国際的な議論をさらに深めることを目的として開催した。シンポジウムでは,政府,国際機関,市民社会,民間企業等の多様なステークホルダーが参加し,世界の20億人以上(つまり3人に1人)にも上るといわれる栄養不良(飢餓,肥満,微量栄養素不足を含む)の深刻な問題を解決するために国際社会がとるべき行動について,G7行動ビジョンが示した重点分野をはじめ,実施強化のためのデータの向上,資金動員や説明責任の強化といった側面も含めて活発に議論した。
2 評価
- (1)食料安全保障・栄養分野で活動する多様な参加者が,それぞれの知識と経験を共有しながら,2030アジェンダの実施と持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて,G7行動ビジョンの下にG7が推進する取組が果たす役割や,G7とその他のステークホルダーの連携強化の在り方について議論することができた。また,昨年採択された気候変動に関するパリ協定,本年8月にブラジルで開催された「成長のための栄養イベント」やケニアで開催されたTICAD VIから生じた機会も踏まえ,食料安全保障と栄養に関する国際的な取組の加速化に資するものとなった。
- (2)シンポジウムには,G7政府や国際機関の関係者のみならず,ブラジル,ボツワナといった在京外交団大使ら,民間企業や市民社会からも多くの参加があり,G7伊勢志摩サミットの成果であるG7行動ビジョンを一般にも広く発信するとともに,パネル・ディスカッションの議論の他,ランチ・レセプション等の場において,参加者間で新たな人的ネットワークが構築され,食料安全保障・栄養分野における互いの取組に対する理解と国際協力の促進に貢献することができた。
- (3)TICAD VIの成果も含め,食料安全保障,栄養及び持続可能な農業に関する日本の途上国支援の経験やイニシアティブ,また,日本企業による社会貢献としてのグッド・プラクティスを共有し,この分野における日本の官民双方のリーダーシップを内外に示すことができた。
3 プログラム
10月25日(火曜日)
開会挨拶
安倍昭恵 内閣総理大臣夫人
基調講演
- 伊勢志摩サミットの成果と日本のビジョン(英文 (PDF)
/和文仮訳(PDF)
)
薗浦健太郎 外務副大臣 - 持続可能な開発のための2030アジェンダ達成の文脈における食料安全保障と栄養の強化の重要性
コスタス・スタモーリス 国連食糧農業機関(FAO)事務局長補代理(経済社会開発局)
テーマ1:農業及びフードシステムにおける女性のエンパワーメント
- パネル・ディスカッション(モデレーター:FAO)
日本(資料(PDF)),カナダ(資料(PDF)
),EU,FAO(資料(PDF)
),世界銀行/Gender Innovation Lab.(資料(PDF)
),オイスカ・ジャパン(資料(PDF)
)
テーマ2:人間中心のアプローチを通じた栄養改善
- パネル・ディスカッション(モデレーター:UNICEF)
日本/JICA(資料(PDF)),イタリア,UNICEF(資料(PDF)
),ブラジル(資料(PDF)
),WHO(資料(PDF)
),GAIN(資料(PDF)
),NEPAD(資料(PDF)
)
ランチ・レセプション:基調講演
- 民間企業の取組(資料(PDF)
)
木村毅 味の素株式会社取締役常務執行役員
テーマ3:農業及びフードシステムにおける持続可能性と強靱性
- パネル・ディスカッション(モデレーター:IFPRI)
フランス(資料(PDF)),ドイツ(資料(PDF)
),世界銀行(資料(PDF)
),オックスファム・ジャパン(資料(PDF)
),ベトナム農業科学アカデミー(資料(PDF)
),IFPRI(資料(PDF)
)
本日の総括(日本)
10月26日(水曜日)
テーマ4:実施強化のためのデータ向上
テーマ5:より効果的で持続可能な資金動員に向けて
- パネル・ディスカッション(モデレーター:UNDP)
英国,米国(資料(PDF)),UNDP(資料(PDF)
),世界銀行(資料(PDF)
),SUN Movement(資料(PDF)
),IFAD(資料(PDF)
),世界銀行(GAFSP)(資料(PDF)
)
テーマ6:より効果的で持続可能な資金動員に向けて
- パネル・ディスカッション(モデレーター:日本)
日本(資料(PDF)),ドイツ(資料(PDF)
),OECD(資料(PDF)
),ACF(資料(PDF)
),NAM,ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社(資料(PDF)
),IDE-JETRO(資料(PDF)
)