アジア
第8回東アジア首脳会議(EAS)参加国外相会議
1 EAS協力のレビューと将来の方向性
ア 河野大臣から,昨年来,EASは,北朝鮮問題,海洋協力の促進,自由貿易の推進など様々な課題に取り組むに当たって,効果的なメカニズムであることを証明していると述べた。
イ 多くの参加国から,EASを地域のプレミア・フォーラムとして更に強化することの重要性を強調する発言があった。
2 地域・国際情勢に関する意見交換
(1)インド太平洋
ア 河野大臣から,日本が推進している「自由で開かれたインド太平洋戦略」をはじめ,関係国による様々なビジョンは,基本的な原則を共有していると述べ,日本は,その中で,地域の連結性を高めるための「質の高いインフラ」の整備,TPPやRCEPを含む自由貿易の推進,海上法執行や海洋状況把握(MDA)に関する能力構築支援,海賊対処,テロ対策といった平和と安定のための取組を進めていくと表明した。
イ 多くの参加国から,インド太平洋に関するそれぞれの考えや構想についての発言があり,それらの共通点が確認されるとともに,互いに連携させていくために引き続き議論していくべきとの意見が述べられた。
(2)北朝鮮
ア 河野大臣から,北朝鮮の「完全な非核化」に向けた米国及び韓国の努力を賞賛した上で,国連安保理決議に従って,北朝鮮による,全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な廃棄を実現するとの目標に向けて緊密に連携すべきと呼びかけた。また,「瀬取り」対策を含む「抜け穴」を塞ぐ取組の維持・強化の重要性を訴えた。さらに,拉致問題についてEAS参加国の協力を求めた。
イ ほぼ全ての参加国が北朝鮮問題を取り上げ,多くの参加国が,北朝鮮の完全な非核化及び国際社会が引き続き国連安保理決議を履行していくことの重要性を強調した。また,拉致問題の早期解決について理解する旨の発言があった。
(3)海洋安全保障
ア 河野大臣から,南シナ海問題について,深刻な懸念を共有すると述べた。また,一方的に現状を変更する行為は航行の自由を損ないかねないものであり強く反対する旨述べるとともに,関係国に対し,紛争の平和的解決に取り組むべきと訴えた。その上で,南シナ海行動規範(COC)の交渉のような取組が,現場の非軍事化と平和で開かれた南シナ海につながるべきとの期待を表明した。
イ ほとんどの参加国が南シナ海問題を取り上げ,航行及び上空飛行の自由,国連海洋法条約を含む国際法に従った紛争の平和的解決の重要性に言及した。また,現場における最近の動向への深刻な懸念を表明した上で,非軍事化と自制の重要性を訴えた国が多数あった。さらに,多くの国が実効的なCOCの必要性に言及した。
(4)その他
上記のほか,テロ・暴力的過激主義対策,自由貿易の推進,ラカイン情勢等について議論があった。