外務大臣談話
ミャンマー政府による独立調査団の設置及びラカイン州北部での活動に関する
同国政府と国連機関との間の覚書に関する合意について
(外務大臣談話)
平成30年6月1日
- 5月31日(現地時間同日),ミャンマー政府は,(1)昨年8月25日以降のラカイン州北部における人権侵害等の問題に関する,国際専門家を含めた独立調査団を設置すること,及び(2)ラカイン州北部への避難民の帰還・再定住に向けた,ミャンマー労働・入国管理・人口省,国連開発計画(UNDP)及び国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の三者間の覚書(MOU)の内容に合意したことを発表しました。
- 日本政府は,ラカイン州北部における人権・人道状況の改善及び避難民の「安全,自発的で尊厳のある」帰還に向けた鍵となる重要な進展として,これらを歓迎します。
- 日本政府は,ミャンマー政府に対し,ラカイン州北部における人権侵害疑惑に関する事実調査を実施するよう,繰り返し働きかけてきました。今後,独立調査団により,信頼性と透明性のある調査が実施され,その結果,適切な措置が取られることを期待します。
- また,UNDP,UNHCRとの覚書については,これらの国連機関が,昨年8月のラカイン州北部での襲撃事件以降初めて同地域で活動するための基盤となるものです。日本政府は,避難民帰還の早期かつ着実な実施の重要性に鑑み,今次覚書の早期締結のため,ミャンマー政府と国連機関との橋渡しを行ってきました。日本政府は,今次覚書に基づき,これらの国連機関が速やかに同地域での活動を開始し,ミャンマー政府が帰還民の受入れのための環境整備を加速し,実際の帰還・再定住の進展につながることを強く期待します。
- 日本政府は,ラカイン州情勢の改善に向け,国連機関等とともに,ミャンマー,バングラデシュ両国政府の取組を引き続き支えていきます。
[参考]ミャンマー・ラカイン州北部の情勢
2017年8月,ラカイン州北部における連続襲撃事件及びその後の情勢不安定化により,バングラデシュに多数の避難民が流出するとともに,人権・人道状況の悪化が指摘されていた。
ミャンマー政府は,国内世論等に配慮し,2017年3月の国連人権理事会にて派遣が決定された国連事実調査団(FFM)の受入れを拒否。日本政府は,人権侵害疑惑に関する事実調査が不可欠であるとの考えから,ミャンマー政府に対し,同国政府自身が,国際社会からの助言や関与を得て,信頼性と透明性のある調査を実施するよう求めてきた。
また,事件発生後,多くの国連機関は,同地域での活動を認められていなかったことから,日本政府はミャンマー政府に対し,避難民の「安全,自発的で尊厳ある」帰還の実現のため,国連機関の関与や支援の早期受入れを働きかけてきた。