アジア
第19回ASEAN+3(日中韓)外相会議



1 冒頭発言
バラクリシュナン・シンガポール外務大臣,王毅中国外交部長,康京和韓国外交部長官の発言に続いて,河野大臣から,(1)ASEAN+3は,東アジア地域の平和,安定,繁栄を確保するための取組であり,過去21年にわたり,ASEAN+3が,食料安全保障,金融・経済, 教育,公衆衛生といった実務的な協力を推進してきたことを評価,(2)世界で保護主義が台頭する中,我が国としては,包括的で,バランスのとれた,質の高い経済ルールの構築のため,東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の早期妥結を実現したい旨述べた。
2 ASEAN+3協力のレビューと今後の方向性
(1)河野大臣から,ASEAN+3協力に関する日本の取組を中心に以下を述べた。
ア ASEAN+3諸国の連携強化のため,日本は,「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下,人材育成と,国際スタンダードに則った質の高いインフラ整備による支援を組み合わせ,インド太平洋地域の連結性を向上させていく。
イ 「産業人材育成協力イニシアティブ(PDF)」の下,日本は人材育成を促進。2015年から2017年の間に,目標の2倍である約8万人の人材育成を達成。今後も,「イノベーティブ・アジア」や「アセアン工学系高等教育ネットワーク(AUN/SEED-NET)」を通じ,ASEANの高度で熟練した技術を持つ人材育成を支援していく。
ウ 「アジア健康構想」では,アジアにおける,バランスのとれた裾野の広いヘルスケアの実現を目指していく。
エ 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け,人と人との交流を促進し,スポーツ交流も続けていきたい。
オ 「JBIC新ファシリティ」により,風力・地熱発電等の再生可能エネルギー分野やスマートシティなどの地球環境保全に資するインフラ整備を幅広く支援。
カ 気候変動は,アジアのみならず地球規模の安全保障及び経済の繁栄に対する脅威。「日ASEAN気候変動アクション・アジェンダ」により,この分野の協力を促進する。
キ 7月の豪雨被害者に対する,各国政府及び国民からの温かい活動やメッセージ,激励に感謝。こうした教訓を踏まえ,日本は,国内外での災害対策を強化している。
ク 「東南アジア災害リスク保険ファシリティ(SEADRIF)」により自然災害に対する財政面の強靱性の向上を図る。2019年中頃にラオス及びミャンマーを対象とした災害リスクプールを稼働させる予定。
ケ 海洋ごみ問題についても,今後,ASEAN+3諸国と協力していきたい。日本が議長となる来年のG20においても,この問題を取り上げる予定。
コ 日本が主導的な役割を果たしてきたASEAN+3緊急コメ備蓄(APTERR)協定(PDF)では,東南アジアの災害地域へのコメの供給実績が積み上がってきている。
サ 東日本大震災から7年以上が経過し,多くの国が既に日本産食品への輸入規制を撤廃している中,今もなお規制を維持している国に対しては,科学的根拠に基づき可及的速やかな規制撤廃・緩和を求めたい。
(2)会議の中で,多くの国から,過去21年にわたる,ASEAN+3での金融,経済,食料安全保障,貧困対策,災害,人と人との連結性,観光等の様々な分野における実務協力の進展を歓迎する発言があった。