中華人民共和国
日中外相会談


ASEAN関連外相会議に出席するためタイ・バンコク出張中の河野太郎外務大臣は,現地時間8月1日,午前11時10分(日本時間:午後1時10分)から約30分間(同時通訳),中国の王毅・国務委員兼外交部長との間で,日中外相会談を行ったところ,概要以下のとおり。
1 冒頭
(1)王毅国務委員兼外交部長から,概要以下のとおり述べた。
ア 日中関係は前向きな発展の勢いを維持しており,これを大切にしていきたい。
イ 先般のG20大阪サミットの際の習近平国家主席訪日を重視したアレンジに感謝。安倍総理と習主席との間では,「新たな時代」にふさわしい多くの重要な共通認識を達成した。特に,安倍総理から来春の習主席の国賓訪問について招請があり,習主席がこれを受け入れたことは大きな意義。
ウ 次の段階に向けて,両首脳の共通認識を実行に移し,日中関係を健全かつ安定した形で発展させていくよう,貴大臣とともに努力したい。
(2)これに対し,河野大臣から,概要以下のとおり述べた。
ア G20サミットにおける中国側の貢献を高く評価。G20の首脳が世界経済,貿易,イノベーション・デジタル化,環境,地球規模課題等について一致したメッセージを発出できたことは非常に重要。まさに,地域・国際社会の課題に肩を並べて貢献する「日中新時代」の在り方を内外に示すことができた。
イ G20サミット前夜の日中首脳会談・夕食会は大きな成功を収めた。特に,来春の習近平国家主席の国賓としての訪日につき原則的に一致できたことは,正常な軌道に戻った日中関係を更に前に進める上で重要な意義を有している。
ウ こうした前向きな流れの中で,来年春に向けて,日中関係をどのように発展させていくべきか,率直に議論したい。
2 日中関係
(1)双方は,大阪G20サミットの際の日中首脳会談・夕食会において,安倍総理と習近平国家主席との間で噛み合った議論が行われ,両者の信頼関係がより一層深まったことを歓迎した。その上で,双方は,来年春の習主席の国賓訪日の成功に向けて共に努力していくことで一致した。
(2)双方は,様々なレベルで間断のない対話を重ねていくことが重要であるとの認識を共有するとともに,本年後半の外交日程について具体的な議論を行った。
双方は,昨年10月の安倍総理訪中の際に作成された外交当局間の対話・交流に関する年間計画に基づき,本年既にラテンアメリカ・カリブ協議,軍縮・不拡散協議,高級事務レベル海洋協議を実施されたことを歓迎し,引き続き各分野における対話・交流を積極的に推進していくことで一致した。
(3)双方は,日中関係全体の雰囲気が大きく改善する中で,互いの関心事項について建設的な相互の動きを作り出していくことが重要であるとの認識で一致した。
王毅国務委員兼外交部長からは,経済分野における実務協力を進めていきたいとして,本年4月に実施された日中ハイレベル経済対話,第三国市場協力,イノベーション協力,環境保護協力等につき言及があった。また,自由貿易を推進する観点から,RCEP交渉の年内妥結を目指すとともに,日中韓FTAについても共に取り組んでいきたい旨の発言があった。
河野外務大臣からは,(ア)尖閣諸島周辺海域における中国公船の領海侵入や資源開発に関する「2008年合意」の実施等の東シナ海における問題,(イ)日本産食品の輸入規制及び農産物輸出拡大,(ウ)邦人拘束事案等について,中国側の前向きな対応を改めて強く求めた。
(4)双方は,年内の立ち上げで一致している人的・文化交流に関するハイレベル対話の枠組みにつき調整を進めるとともに,修学旅行を含む青少年交流の促進の重要性を改めて確認した。河野外務大臣からは,今般決定した査証のオンライン申請や電子査証の導入を通じ,観光等の利便性を更に高めたい旨説明した。