中華人民共和国

平成31年4月15日
(写真1)握手する日中両外相
(写真2)日中外相会談の様子

 中国を訪問中の河野外務大臣は,15日正午(現地時間)過ぎから,王毅国務委員兼外交部長との間で日中外相会談(約1時間15分)及びワーキング・ランチ(約1時間)を行ったところ,概要以下のとおり(先方:孔鉉佑外交部副部長,呉江浩アジア司長ほか,当方:横井駐中国大使,金杉外務省アジア大洋州局長,大菅外務報道官ほか同席。)。

1 冒頭発言

(1)冒頭,王国務委員より,概要以下のとおり発言。

  • ア 昨日の日中ハイレベル経済対話は成功裏に開催され,幅広い分野について意見交換がなされるとともに,いくつかの重要な共通認識に達した。
  • イ また,河野大臣とともに参加した日中青少年交流推進年の開幕式では,若者たちの熱気の中で,日中関係が新たな局面を迎えていることを感じた。
  • ウ 日中関係は,双方の努力により正常な軌道に戻った。引き続き,両国間の意思疎通を強め,次の段階に向けて前に進むべく,現在の良い状態を維持するとともに,さらにプラスのエネルギーを注ぎ,障害を取り除いていきたい。

(2)これに対して,河野大臣より概要以下のとおり発言。

  • ア 日中平和友好条約締結40周年の昨年,両国の関係は,完全に正常な軌道に戻り,幅広い分野における対話・交流が活発化。
  • イ 本年は,昨年来の日中関係の改善・発展の流れを強め,両国関係を安定した形で発展させていく上で,極めて重要な意義を有する一年。
  • ウ 国際情勢及び世界経済が不透明さを増す中,日中両国は,グローバルな課題についても連携を強め,地域と世界の平和と安定のために共に責任を果たしていく必要がある。

2 ハイレベル往来等

(1)双方は,今後の主要な外交日程についても意見交換を行った。その中で,双方は,本年6月のG20大阪サミットの成功に向けて互いに協力していくことで改めて一致した。

(2)双方は,昨年10月の安倍総理訪中の際に河野大臣と王国務委員が署名した外交当局間の対話に関する覚書及びその下で作成された年間計画に基づき,幅広い分野における対話・交流・協力を進め,国際社会の課題に肩を並べ共に取り組んでいくことで一致した。

【参考】2019年の年間計画に含まれている外交当局間の対話
(1)日中戦略対話,(2)日中外交当局間協議,(3)日中安保対話,(4)日中政策企画協議,(5)日中メコン政策対話,(6)日中アフリカ政策対話,(7)日中ラテンアメリカ・カリブ協議,(8)国連に関する日中協議,(9)日中軍縮・不拡散協議,(10)日中国際法局長協議,(11)日中領事当局間協議,(12)日中テロ対策協議,(13)日中外務報道官協議

3 経済

(1)双方は,前日(14日)の日中ハイレベル経済対話における議論も踏まえつつ,経済分野における協力について議論を行った。

(2)河野大臣からは,日本側の関心事項として,日本産食品に対する輸入規制解除及びコメ・牛肉等農産物の対中輸出の実現を改めて強く求めた。これに対して,王国務委員からは,引き続き科学的根拠に基づき検討を進めていきたいとの反応があった。

(3)双方は,開発分野における対話や,気候変動・国際保健・海洋プラスチックごみを含むSDGs等の地球規模課題に関する協力についても議論を行った。

4 国民交流・領事

(1)双方は,本年の「日中青少年交流推進年」を通じ,両国の若い世代の交流を後押ししていくことを改めて確認した。また,その一環として,修学旅行を通じた交流についても強力に推進していくことで一致した。

(2)双方は,日中受刑者移送条約及び日中犯罪人引渡条約の早期妥結に向けて交渉を加速させていくことで一致した。

(3)河野大臣からは,中国国内で拘束されている邦人について,早期帰国を改めて要請した。これに対して,王国務委員からは,関連の法律に基づき適切に対応する旨の反応があった。

5 海洋・安全保障

(1)双方は,昨年,防衛当局間の海空連絡メカニズムや日中海上捜索救助(SAR)協定について具体的な成果が得られたことを歓迎するとともに,海洋・安全保障分野において一層建設的な姿勢で対話・交流・協力を深めていくことで一致した。

(2)河野大臣からは,尖閣諸島周辺海域における中国公船の活動や大型ブイの設置,日本の排他的経済水域における中国海洋調査船の活動等を取り上げ,中国側が日中関係の真の改善に資する行動をとるよう求めた。また,東シナ海の資源開発に関する「2008年合意」についても,実施に向けた交渉の早期再開を改めて求めた。

6 地域・国際情勢等

(1)双方は,北朝鮮情勢について,日中両国の共通の目標である朝鮮半島の非核化に向けて,米朝間のプロセスを引き続き後押ししていくこと及び安保理決議の完全な履行の重要性を確認した。

(2)この文脈で,河野大臣からは,「瀬取り」の問題等について中国側の更なる対応を求めた。また,河野大臣からは,拉致問題の解決に向けた中国の協力を改めて要請した。

(3)河野大臣からは,国際社会の関心を集める中,中国が人権分野全般において透明性を以て意思疎通を行う姿勢を示すことが重要である旨を指摘した。


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