ミャンマー連邦共和国

平成28年5月3日

 本3日(火曜日),現地時間9時30分から約45分間,ミャンマーを訪問中の岸田文雄外務大臣は,ミャンマー外務省において,アウン・サン・スー・チー(H.E. Ms. Aung San Suu Kyi)ミャンマー連邦共和国国家最高顧問兼外相と会談したところ,概要は以下のとおりです。

1 二国間関係

(1)冒頭,岸田大臣から,日本との伝統的な友好関係を有するミャンマーに大多数の国民の支持を受けた民主政権ができたことを歓迎,新政権発足に改めて祝意を表すると述べました。また,新政権発足後,省再編,政治犯の釈放など改革を次々と実行したアウン・サン・スー・チー国家最高顧問の指導力に敬意を表する,日本はミャンマー新政権に官民挙げて協力していくと述べました。

(2)これに対し,アウン・サン・スー・チー国家最高顧問から,お会いできて光栄,岸田大臣の訪問を歓迎したい,岸田大臣とはすでに何度かお目にかかっており,我々は長年の友人であるとして歓迎の意を表しました。また,日本国民がミャンマーに対し常に善意をもって後押し頂いていることに感謝,先般の熊本地震に際し被害に遭われた日本国民にお見舞いの言葉を申し上げたいと述べました。岸田大臣からは,お見舞いの言葉については日本国民に伝えたい旨述べました。

(3)岸田大臣から,これまでお伝えしているとおりアウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外相の訪日を心から期待すると伝えたところ,先方からぜひ次回は日本でお会いしましょうとの発言がありました。

2 経済協力・経済

(1)岸田大臣から,日本政府としてミャンマー政府が重視する雇用創出,農業,保健等の分野で具体的な協力プログラムを策定し,全面的に協力していくことを伝えるとともに,「日メコン連結性イニシアティブ」(注1)の下,インフラ整備に加え,制度改善や人材育成等を通じて連結性強化に貢献することを伝えました。
 さらに,ミャンマー国民と日本の投資家の双方に利益をもたらすような投資環境の整備のために「日ミャンマー共同イニシアティブ」(注2)を進めていくこと,法の支配センターの全国展開に向けて引き続き支援していくこと,人的交流や人材育成を進めていきたい旨を伝えました。

(2)これに対し,アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外務大臣から,法の支配センターに対してはJICAから支援をいただいており,今後,より一層スムーズに支援が進むことを期待,「日メコン連結性イニシアティブ」に関しては,道路・橋等のインフラのみならず,人と人との連結性強化も重要であるとして賛同の意が表されました。さらに,アウン・サン・スー・チー国家最高顧問から,同国の長期的な経済発展に資する雇用創出を重視している,農民が国民の7割を占めることから農業分野への支援に対する期待,また,事業実施に当たり労働者の技術向上につながる配慮に対する期待が表明されました。また,アウン・サン・スー・チー国家最高顧問が関心を有する分野としてヤンゴン都市開発及び鉄道に言及があったほか,シードバンクへの日本の支援は素晴らしいものであり御礼申し上げる,引き続きよろしくお願いしたいとの発言がありました。

(3)なお,今次訪問の機会にあわせて,政府は,ミャンマーの少数民族地域において,民族同士の紛争や昨年の洪水被害に苦しむ住民,避難民に対する支援4件総額約38億円を国際機関と連携して実施することを決定し,交換公文への署名を行いました。これは,新政権が重視する国民の生活向上,少数民族との国民和解に貢献するものです。

3 国民和解

(1)岸田大臣から,ミャンマーにおける国民和解の更なる進展について期待している,日本政府は,笹川陽平国民和解担当政府代表共にミャンマーの取り組みを支えていきたいと述べました。

(2)これに対し,アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外相から,笹川政府代表の貢献に感謝,国民和解でも協力しながら成果を出していきたいとの発言がありました。

4 地域・国際情勢

(1)岸田大臣から,G7広島外相会合の結果を紹介するとともに,ミャンマーのCTBT早期批准をお願いしたい,本年のASEAN関連会議に向けてミャンマーと連携していきたい旨を伝えました。

(2)これに対し,アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外相から,G7において日本がリードしていることを誇りに思う,CTBTの早期批准については前向きに検討していきたい,ASEANではミャンマーとタイのみが批准できていないと承知しているとの発言がありました。

(注1)「日メコン連結性イニシアティブ」
 メコン地域において,インフラ整備とともに,次のステージとして物理的な連結性が十分に活用されるための制度的な連結性,人的な連結性の強化に取り組み,成長の果実を地域全体に波及させることを目的に,岸田大臣が,5月2日,バンコクにおいてのスピーチで提案したもの。

(注2)「日ミャンマー共同イニシアティブ」
 ミャンマーにおける投資環境の整備を促進・迅速化するための具体的な取組を,両国の官民双方の関係者の間で議論するための枠組み。

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像2

ミャンマー連邦共和国へ戻る