岸田外務大臣
岸田外務大臣とアウン・サン・スー・チー・ミャンマー国民民主連盟議長との意見交換及び夕食会(概要)
平成25年4月16日
16日(火曜日)午後8時過ぎから約1時間40分にわたり,岸田文雄外務大臣は,外務省による招へいにて訪日中のアウン・サン・スー・チー・ミャンマー国民民主連盟議長(Hon. Ms. Aung San Suu Kyi, Chairperson of the National League for Democracy)と意見交換及び夕食会を行ったところ,概要以下のとおり。
1 冒頭,岸田大臣から同議長の27年ぶり訪日を歓迎しミャンマーの民主化を長年牽引してきた功績に敬意を表する旨述べた。これに対し,アウン・サン・スー・チー議長から,アジアで進んだ民主主義国家である日本からの正しい支援を得て,ミャンマーを正しい道に進ませたいとの期待が表明された。
2 岸田大臣から,日ミャンマー協力関係について,民主化,開発協力及び国民和解,持続的な経済発展に向けた民間投資を中心に,概要以下のとおり述べた。
(1) 歴史的に国民同士の縁が深いミャンマーにおいて民主化が進展し国際社会に復帰することを歓迎する。同時に,ミャンマーの改革は道半ばであるとの認識は貴議長と共有していると思う。民主化・国民和解が進めば豊かになることをミャンマー国民が実感できるよう,日本としても支援していきたい。
(2) ミャンマーの改革努力を支援するため,我が国は,(1)少数民族への支援を含む民生向上・貧困削減,(2)人材育成・制度整備,(3)持続的発展のためのインフラ整備の分野について,ODAを活用しつつ幅広く進めていく。また,国民和解が不可欠との観点から,少数民族支援に注力している。
(3) 経済・社会の持続的な発展には民間企業の役割が重要であり,我が国はティラワ経済特別区の開発,二国間投資協定の交渉,官民から成る両国関係者同士の協議の立ち上げ等,投資環境の整備を開始している。また,環境や社会に配慮した技術で国民生活向上に貢献できると考える。日本のODAによる支援と民間投資が車の両輪として東南アジア諸国の経済発展に役割を果たしたことを踏まえ,ミャンマーに適した形で国づくりを支援したい。
3 これを対し,アウン・サン・スー・チー議長から,ミャンマーの発展には,法の支配を含む,ミャンマーの国民が信頼し安定した政治的な仕組みと社会制度の発展が重要である旨指摘があるとともに,特に注力すべき分野である農業分野においてミャンマーがかかえる課題について,概要以下のとおり述べた。
(1)国際市場において競争力ある農作物を如何につくりだしていくかが,ミャンマー国民の6~7割を占める農業分野におけるミャンマーの課題の一つであり,取り組むにあたって日本の知見と支援を得たい。
(2)ミャンマーの農民,特に零細農家は,高利の借金を抱えながら農業経営を行っている結果,多大な借金に苦しんでいる。農民が借金を返済するため土地を失い都市部に流入する結果,社会全体の不安定化にも繋がっており,その対策のためにも雇用を生み出すことが重要である。この面でも日本の知見と支援を得つつ取り組みたい。
4 最後に岸田大臣から,アウン・サン・スー・チー議長からの説明を踏まえ,今後,意見交換を深めながら,我が国として如何なる支援が可能か,ミャンマーのニーズと日本が持つ技術を踏まえ,適正な形で協力すべく検討していきたい旨述べた。