国際機関を通じた協力
世界遺産
世界遺産条約
「世界遺産条約」は、正式には「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」といい、文化遺産や自然遺産を人類全体のための遺産として損傷、破壊などの脅威から保護し、保存していくために、国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的とした条約です。1972年のユネスコ総会で採択され、1975年に発効しました。2024年8月現在の締約国は196か国にのぼります。日本はこの条約を1992年に締結しています。
「世界遺産」とは、世界遺産条約に基づいて作成される「世界遺産一覧表」に記載されている物件のことで、建造物や遺跡などの「文化遺産」、自然地域などの「自然遺産」、文化と自然の両方の要素を兼ね備えた「複合遺産」の3種類があります。
2024年8月現在では1223件(文化遺産952件、自然遺産231件、複合遺産40件)の世界遺産が記載されており、このうち日本の世界遺産は26件(文化遺産21件、自然遺産5件)です。
各国が推薦した物件を世界遺産一覧表に記載するか否かは、21か国の委員国で構成される「世界遺産委員会」で決定されます。
世界遺産条約では、世界遺産とは「顕著な普遍的価値」を有するものと規定されており、その具体的な基準は、委員会が定める「世界遺産条約履行のための作業指針」の中に詳細に示されています。こうした基準の他、当該遺産について国内での保護措置が十分採られているか等も記載の判断基準となっています。
世界遺産一覧表に記載された遺産は、「顕著な普遍的価値」を有することが世界的に認知されます。また、遺産の保護は各遺産保有国の義務ですが、その遺産を自国の力だけでは十分に保護できない場合、遺産保有国は世界遺産基金による国際的援助を申請することができます。特に、急激な都市開発や武力紛争、自然災害などにより、重大で特別な危険にさらされている遺産については、世界遺産委員会が「危険にさらされている世界遺産一覧表」に記載し公表することで、当該遺産の保護の必要性を国際社会に訴えることもあります。
日本は1992年に条約を締結して以来、この条約の実施に対して様々な貢献をしてきました。
締結の翌年の1993年から1999年までの間委員国を務め、そのうち1995/1996年は副議長国を務めました。また、1998年には松浦駐仏大使(当時。元ユネスコ事務局長)を議長として第22回世界遺産委員会を京都において開催しました。その後、2003年から2007年まで、2011年から2015年11月まで(2013/2014年は副議長国)、さらに2021年から2025年まで我が国は委員国に再選されました。また、日本は世界遺産基金に対する分担金拠出でも大きな貢献をしており、2023年はおよそ277,402ドル(約3,800万円)を拠出しています。
1972年の採択以降、世界遺産条約の締約国数、世界遺産登録数も飛躍的に増大し、様々な課題にかかわる議論が活発化してきました。採択40周年にあたる2012年には、世界遺産条約のこれまでの成果を振り返り、将来のあり方を考えていく節目の年として、世界各地で関連行事・会合が開催されました。日本は、1年間を締めくくる「世界遺産条約採択40周年記念最終会合」を同年11月に京都において開催し、幅広い議論の上に「京都ビジョン」を発表し、今後の世界遺産条約の展望についても積極的な貢献を果たしました。また、世界遺産条約制定50周年を記念し、2024年1月には、文化遺産国際協力コンソーシアム及び文化庁と共に「世界文化遺産の50年:日本の貢献のこれまでとこれから」を開催しました。
- ユネスコ第46回世界遺産委員会における「佐渡島の金山」の審議に際する日本政府代表ステートメント (和文)(令和6年7月27日)
- 「佐渡島の金山」の世界遺産一覧表への登録決定について(外務大臣談話)(令和6年7月27日)
- 「佐渡島の金山」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定(第46回ユネスコ世界遺産委員会における審議結果)(令和6年7月27日)
- 「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産一覧表への登録決定について(外務大臣談話)(令和3年7月27日)
- 「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産一覧表への登録(第44回世界遺産委員会拡大会合における審議結果)(令和3年7月27日)
- 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界遺産一覧表への登録決定について(外務大臣談話)(令和3年7月26日)
- 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界遺産一覧表への登録(第44回世界遺産委員会拡大会合における審議結果)(令和3年7月26日)
- 世界遺産推薦中の「北海道・北東北の縄文遺跡群」に関する国際記念物遺跡会議からの評価結果及び勧告(令和3年5月26日)
- 世界遺産推薦中の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」に関する国際自然保護連合からの評価結果及び勧告(令和3年5月10日)
- 「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産推薦に係る推薦書(正式版)のユネスコへの提出(令和元年12月19日)
- 「百舌鳥・古市古墳群」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定について(第43回ユネスコ世界遺産委員会における審議結果)(外務大臣談話)(令和元年7月6日)
- 「百舌鳥・古市古墳群」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定(第43回ユネスコ世界遺産委員会における審議結果)(令和元年7月6日)
- 我が国推薦資産の世界遺産一覧表への記載推薦に関する国際記念物遺跡会議からの評価結果及び勧告(令和元年5月14日)
- 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界遺産推薦に係る推薦書(正式版)のユネスコへの提出(平成31年1月17日)
- 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定について(第42回ユネスコ世界遺産委員会における審議結果)(外務大臣談話)(平成30年6月30日)
- 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定(第42回ユネスコ世界遺産委員会における審議結果)(報道発表)(平成30年6月30日)
- 新潟県知事一行による中根外務副大臣表敬(平成30年6月15日)
- 我が国推薦資産の世界遺産一覧表への記載推薦に関する諮問機関からの評価結果及び勧告(平成30年5月4日)
- 「百舌鳥・古市古墳群」の世界遺産推薦に係る推薦書(正式版)のユネスコへの提出(平成30年1月16日)
- 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定について(第41回ユネスコ世界遺産委員会における審議結果)(外務大臣談話)(平成29年7月9日)
- 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定(第41回ユネスコ世界遺産委員会における審議結果)(平成29年7月9日)
- 我が国推薦資産の世界遺産一覧表への記載推薦に関する国際記念物遺跡会議の評価結果及び勧告(平成29年5月6日)
- 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」及び「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界遺産推薦に係る推薦書(正式版)のユネスコへの提出(平成29年1月19日)
- 「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定(外務大臣談話)(平成28年7月17日)
- 「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定(第40回ユネスコ世界遺産委員会における審議結果)(平成28年7月17日)
- 我が国推薦資産の世界遺産一覧表への記載推薦に関する国際記念物遺跡会議の評価結果及び勧告(平成28年5月17日)
- 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の世界文化遺産推薦に係る推薦書(正式版)のユネスコへの提出(平成28年1月14日)
- 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の世界文化遺産推薦に係る推薦書(暫定版)のユネスコへの提出(平成27年9月8日)
- 「『「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定(第39回世界遺産委員会における7月5日日本代表団発言について)(平成27年7月14日)
- 「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」及び「国立西洋美術館」(「ル・コルビュジエの建築作品」)の世界文化遺産推薦に係る推薦書(正式版)のユネスコへの提出(平成27年1月14日)
- 「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」及び「国立西洋美術館」(「ル・コルビュジエの建築作品」)の世界文化遺産推薦に係る推薦書(暫定版)のユネスコへの提出(平成26年9月17日)
- 「富岡製糸場と絹産業遺産群」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定について(第38回ユネスコ世界遺産委員会における審議結果)(外務大臣談話)(平成26年6月21日)
- 「富岡製糸場と絹産業遺産群」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定(第38回ユネスコ世界遺産委員会における審議結果)(平成26年6月21日)
- 我が国推薦資産の世界遺産一覧表への記載推薦に関する諮問機関の評価結果及び勧告(平成26年4月26日)
- 「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」世界遺産認定書伝達式(平成26年4月21日)
- 文化遺産及び自然遺産を世界遺産登録に向けて推薦する場合の取扱い等(平成26年1月17日)
- 「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の世界遺産推薦(平成26年1月15日)
- 「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の推薦書(暫定版)のユネスコへの提出(平成25年9月20日)
- 「富士山」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定(第37回ユネスコ世界遺産委員会における審議結果)(平成25年6月20日)
- 「武家の古都・鎌倉」の世界遺産一覧表への推薦取下げの決定(平成25年6月4日)
- 我が国推薦資産の世界遺産一覧表への記載推薦に関する諮問機関の評価結果及び勧告(平成25年4月30日)
- 「富岡製糸場と絹産業遺産群」の推薦書(正式版)のユネスコへの提出及び世界遺産暫定一覧表への「奄美・琉球」の追加記載(平成25年1月31日)
- 世界遺産条約採択40周年記念最終会合報告書(日本語版)(PDF)
- パンフレット「40周年を迎える世界遺産条約 世界遺産と持続可能な開発 地域社会の役割」(PDF)
- 世界遺産条約採択40周年記念最終会合(ユースプログラム)(平成24年11月20日)
- 世界遺産条約採択40周年記念最終会合(概要と評価)(平成24年11月9日)
- ボコバ・ユネスコ事務局長の訪日(世界遺産条約採択40周年記念最終会合)(概要と評価)(平成24年11月9日)
- 世界遺産条約採択40周年記念最終会合の開会(平成24年11月7日)